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2020年10月11日 (日)

赤の女王仮説  磨墨知527.

 

 全力で走っていないと取り残される。回りはそれ以上で動いている。取り残されるとは、仲間を失い、自分の時間を失うこと。それで日本は失われた30年が生まれた。挽回には次元の違う道具の選択が必用だ。

 

孫悟空とアリスの戦い

 「私の国では・・・」と、アリスはあえぎながら言いました。「さっきのように長い時間とても早く走れば、普通は別の場所に行けるんですけど・・・」「何というのろまな国じゃ!」と女王は言いました。「この国ではな、同じ場所にとどまりたいと思えば、力の限り走らなければならないのじゃ。もし別の場所に行きたいのなら、少なくともその2倍の速さで走らねばな」

      (ルイス・キャロル『鏡の国のアリス』)1865年

 

 我々の技術開発やビジネスの世界は、まるでお釈迦様に力比べを挑んだ孫悟空の物語を再現しているのかと、『鏡の国のアリス』の引用を読んで思い浮かべた。お釈迦様の掌の外が世界標準で、掌の上が自分たちの世界なのだ。どこにベンチマークを置くかで、世界観が変わる。全力で走っていても(走っているつもりでも)、周りが見えないと所詮は、お釈迦様の掌の上で走り回っている猿と同じである。「開発が出来た、出来た」と、開発部方針書の成果反省欄に書いても、それは雲の中に立つ5本の柱(お釈迦様の指)に、孫悟空が「我ここまで来たり」と自慢げに書き付ける行為と同じである。完成したと思った時、時間は止まり、周りから置いていかれる。

 

大垣版「浦島太郎物語」

 小川敏は、大垣駅前商店街の活性化のため、大垣駅前に大金をかけて「カメの池」を建設しても、それは「死の亀の池」になって、人が寄り付かない。まるで孫悟空のつもりの小川敏が「我ここまで来たり」と自慢げに宣伝しているようだ。

 50年前の浦島太郎に扮して、カビの生えた思想の小川敏が、死んだカメの背中に乗って登場である。そんな考えだから、大垣駅前再開発の玉手箱の蓋を開ければ、寂れ果てた大垣駅前通りが煙となって出現である。小川敏は駅前の超一等地を消滅させた。

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アリスの警告

 グローバル経済主義社会では、全力で走ってやっと現状維持である。50年前の古びた知識で勝負しては負ける。智恵を出さないから負ける。それを150年も前に、『鏡の国のアリス』が寓意で警告している。

 

日本と大垣の失敗

 アベノミクスでも、小手先の経済政策だけで、本質の対策をしなかったので失われた30年を挽回できなかった。米国の成長率は3%、欧州は2%、日本はたった1%である。経済の現実が正しいのだ。

 大垣ではその成長率がマイナス1%である。大垣市政も、「大垣市中心市街地活性化計画」、「死の亀の池設置」、「元気ハツラツ市行事」や「大垣未来ビジョン」で同じ過ちをしている。その結果が、小川敏の無為無策無能政策で大垣の19年間の連続の没落である。

 

お釈迦様に恥じない選択を

 日本や大垣市という閉じた世界で天狗になっていても、グローバル経済主義社会の波に洗われると、天狗の鼻はどん底に突き落とされる。昔はよかったなどは、負け犬の遠吠えである。世界の価値観が変わって、競争するための道具が変わったのだ。それに日本と大垣は気が付かず、30年の失われた期間が生じた。今回の新型コロナ危機は、「それを見直せ、何かを変えよ」とお釈迦様は警告する。お釈迦様は親切なのだ。間違っていれば、それを教えて下さる。

 新しい世界では、そこで通用する新しい札束を得ないと飯が食えない。世界は新しい円札を求めている。それを旧円の札束を出しても受け取ってもらえない。それは、封建社会、士農工商、学歴社会、上位下達、滅私ご奉公、多時間労働、男尊女卑、重厚長大ではない。

 

発想の転換を

 日本は、新幹線で世界最速の時速320キロ走って優位に競争しているつもりが、競争相手は次元の違い世界で勝負をかけている。光ファイバー網で情報をやり取りして、光の速度で競争している。それでは日本が勝てるわけがない。古い考えでエンジンの出力を倍にしてもダメなのだ。発想を変えて、道具を変えないと勝てない。

 

日本の未来、中国の未来

 不況とは、好況と好況の間にある1~2年間の調整期間である。10年も20年も続く失われた30年を不況とは言わない。昔は考えなくても、作れば売れたのだ。しかし今は、人並みにやっていれば、漸減である。要は、時代が変わった。世界を相手に競争する道具が変わったのだ。それに頭の古い為政者は理解できない。だから古い考えの為政者は速やかに退場すべきだ。

 下記は、私が2005年に新入社員教育で使った資料である。そのヒントは、リコーさんの業務改革プレゼン資料である。前職の中国の現地法人の新入社員にも英語と日本語のチャンポンで、テレビ会議方式で講義をした。

 

末路

 それから15年後の想定外の結果は、中国が日米の技術を盗用、ウイグル族を使って奴隷労働、それを使って激安製品の輸出、ウイグル族から臓器摘出でカネ儲け、軍事拡大、高利貸しのような「一路一体」政策、等の想定外の方法で経済成長したこと。お釈迦様もそこまでは見通せなかった。それは人間のやることではないからだ。

2

 技術教育資料「IT時代のナレッジと自己研鑽」(2005年)

 

2020-10-11 久志能幾研究所通信 1782 小田泰仙

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