愛すべき「108人の敵」
人間は108の煩悩を持つ身内の敵を抱えている。その敵が無くなった時が成仏であるが、それでは人間でなくなってしまう。欠点があっても、精神の浄化があれば、その欠点が人間味となる。
人間だもの、欲に駆られて思いっきりその方向に振れればよい。その振れに気が付いたら、自制心で元に戻せばよい。その欲をプラスのエネルギーに変換すればよい。
それが出来なくなったのを、老いという。できないのが餓鬼、小人である。青春であれば、煩悩を正のエネルギーに変換できる。煩悩を負のエネルギーに倍増するのを老いの醜態という。
人間が総て神・佛ばかりでは、ドラマも小説も生まれない。脚本家が失業である。批判家が失業である。私も路頭に迷う。
自分が美しいと自惚れないと、美人コンテストでも優勝できない。驕り自惚れてこそ、美しさが磨かれる。いくら美人でも、私は美しくないと思い陰気な表情では、美人コンテストで優勝できない。
人をうらやむから、それを凌駕しようと努力するから成長する。
人に劣っていると劣等感を抱くから、学ぶのだ。しかし人が学ばないと、人は人間ではなくなる。人は動物界に堕ちていく。
嫉妬心でも、こんがり焼けば、味が出る。それでこそ人間だ。
色欲がなければ、人類が滅んでしまう。それでは世間が味気なくなる。
生きる欲が無くなれば、死んでしまう。
人間は、欲を適宜、制御して自省しながらうまく活用して成長すればよいのだ。人間は完ぺきな状態(神、佛)を目指してはならない。神になれば、人ではない。人でなしだ。そうなれば誰も酒を飲もうと誘ってくれない。友達もできない。
108の煩悩
1 苦締貪 執着心
2 苦締瞋 怒り
3 苦締癡 道理が分からず愚痴を言う
4 苦締慢 おごり、高ぶり
5 苦締疑 正しい事を疑う
6 苦締有身見 身体への執着
7 苦締辺執見 極端な思考
8 苦締邪見 因果応報を知らない
9 苦締見取見 間違いを正しいと思い込む
10 苦締戒禁取見 誤った考えを信じ込む
11 集締貪 欲望
12 集締瞋 憎しみ
13 集締癡 悪行を行う
14 集締慢 他人に誇りたがる
15 集締疑 真実を疑う
16 集締邪見 果報は無いと思う
17 集締見取見 自分が最も優れている
18 滅締貪 激しい欲求
19 滅締瞋 いら立ち
20 滅締癡 無知による行い
21 滅締慢 傲慢
22 滅締疑 正しいことが信じれない
23 滅締邪見 因果関係を認めない
24 滅締見取見 誤った見解を信じ込む
25 道締貪 何かを求める心
26 道締瞋 怒りで心が安定しない
27 道締癡 愚かな行為
28 道締慢 自慢したがる
29 道締疑 真実を信じれない
30 道締邪見 自分の行いに果報は無いとする心
31 道締見取見 間違った考えに執着する
32 道締戒禁取見 誤った決り事を信じ込む
33 色界苦締貪 魂からの欲望
34 色界苦締癡 愚かな行為
35 色界苦締慢 自身こそが凄いと宣伝したがる
36 色界苦締疑 正しい教えを疑う
37 色界苦締有身見 身体への執着
38 色界苦締辺執見 極端な考え方
39 色界苦締邪見 因果応報は無いとする
40 色界苦締見取見 自分だけが正しい
41 色界苦締戒禁取見 間違いを正しい事と勘違いする
42 色界集締貪 必要以上に欲する心
43 色界集締癡 愚かな行い
44 色界集締慢 他者に誇りたがる気持ち
45 色界集締疑 正しい事を信じられない
46 色界集締邪見 善悪の果報があることを認めない
47 色界集締見取見 自分が正しく他が間違っている
48 色界滅締貪 湧いてくる欲
49 色界滅締癡 愚行
50 色界滅締慢 優越感
51 色界滅締疑 なにも信じない
52 色界滅締邪見 因果応報を認めない
53 色界滅締見取見 誤った教えに執着する
54 色界道締貪 精神的な欲求
55 色界道締癡 悪い考え
56 色界道締慢 他人に自慢したがる
57 色界道締疑 真実を疑う
58 色界道締邪見 善悪の果報は無いとする心
59 色界道締見取見 自分が正しく、他が間違っている
60 色界道締戒禁取見 間違った教えに執着する
61 無色界苦締貪 精神的な欲望
62 無色界苦締癡 怒りからの憎しみ
63 無色界苦締慢 自分が優れている事を知らしめたい
64 無色界苦締疑 正しい道を信じれない
65 無色界苦締有身見 心身を思い通りにできる
66 無色界苦締 辺執見 バランスを欠いた思考
67 無色界苦締 邪見 因果応報は無いとする
68 無色界苦締 見取見 誤った見解を正しいと思い込む
69 無色界苦締戒禁取見 誤った見解に固執する
70 無色界集締貪 魂からの激しい欲望
71 無色界集締癡 愚かな行為
72 無色界集締慢 慢心
73 無色界集締疑 真理を疑う
74 無色界集締邪見 自分の行いが自分に帰ってくることを信じない
75 無色界集締見取見 自分は正しいが、皆が間違っていると思う心
76 無色界滅締貪 無意識に生まれるの欲求
77 無色界滅締癡 真理に対する無知
78 無色界滅締慢 己の凄さを誇りたがる
79 無色界滅締疑 正しい教えに疑問を持つ
80 無色界滅締邪見 罪・公徳による果報を信じない
81 無色界滅締見取見 間違いを正しいと信じ込む
82 無色界道締貪 欲求
83 無色界道締癡 悪行
84 無色界道締慢 悪意
85 無色界道締疑 疑心
86 無色界道締邪見 所行が自分に帰ってくると知らない
87 無色界道締戒見取見 間違いに執着する
88 無色界道締戒禁取見 妄信
89 修惑欲界貪 生来持っている欲求
90 修惑欲界瞋 生来持っている怒り
91 修惑欲界癡 生来持っている悪行
92 修惑欲界慢 生来持っている慢心
93 修惑色界貪 自制しがたい欲望
94 修惑色界癡 自制しがたい愚行
95 修惑色界慢 自制しがたい慢心
96 修惑無色界貪 抑えられない欲
97 修惑無色界癡 抑えられない悪行
98 修惑無色界慢 抑えられない慢心
99 十纏無慚 自分に対して恥じる心が無い
100 十纏無愧 他者に恥じ入る事が無い
101 十纏嫉 ねたみ・嫉妬
102 十纏慳 物惜しみ
103 十纏悔 後悔
104 十纏眠 身体が自由に動かない
105 十纏掉挙 心が騒がしく、静まらない
106 十纏惘沈 心が滅入ってふさぎ込む
107 十纏忿 憤怒
108 十纏覆 罪を隠そうとする
2020-10-20 久志能幾研究所通信 1793 小田泰仙
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