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2020年1月26日 (日)

魅惑の「二号さん」を手に入れ、天国と地獄を見る

 この2年間ほど魅力的な「二号さん」にハマってしまって、人生道を迷ってしまった。最近、「二号さん」に乗らないときの「お手当の額」の余りの大きさに愕然として、「彼女」と別れる決断をした。「二号」さんには、いい思いをしたが、高い買い物であった。しかし佳き人生の極楽を経験して、人生の勉強になった。買ってはダメなものは、実際に買ってみて痛い目を会わないと、智慧にならない。知っているというだけではダメなのだ。

 

「二号さん」の維持費(年間)

 減価償却費 600,000

 自動車税   88,000

 自動車保険  88,000

 車庫代   264,000

 車検    100,000

 ガソリン  100,000

 予備費   100,000

 年間合計  1,340,000円

 

 これとは別に、本妻(車歴20年の車)の維持費も年間70万円ほどかかる。それプラスである「二号さん」の維持費が多額である。しかし二号さんと別れる時の手切れ金(売却損金額)は、想像以上であった。

 しかし、そんなことを気にするような人は、高級車を買ってはいけないのだ。高級車の所有者の9割が法人(会社経営者)である。個人で高級車を保有している人はごく少ない。会社経営者は、会社の経費で落とせるから、高級車に乗れるのだ。要は税金対策である。中小企業の社長は、会社で儲かった利益を圧縮するために、敢えて高すぎる車を買うのだ。

 

税金対策

 例えば、2000万円のベンツSクラスで、1年乗ると、売却価格は半値になる。高い車程、その値下がり率は大きい。中小企業の社長は、ぼろ儲けした利益を圧縮するために、敢えて高い車を買うので、値下がり率など気にしていない。だから不格好なクラウンでも、新車が出るたびに(税金対策で)買い替えている。だからクラウンが売れている。だから各地のクラウンを扱いうトヨタディーラは強気で、個人客を相手にせず、法人客に力を入れる。

 そのトヨタ系ディーラは、今年の5月からトヨタ系全店で全車種を扱うようになるので、淘汰されるだろう。今まで汗をかかない営業をしてきたので、そのツケが回ってくると思う。私はクラウンを扱っていた店に行くつもりはない。

 

妾と別荘

 岡野工業の岡野雅行社長は親父から「いくら成功しても、妾と別荘は持ってはならない」と教えられたという。「なんで?」と聞いたら「一生、維持はできないから」と。岡野雅行社長は痛くない注射針を開発した。

 妾とイチャイチャして妾に乗っているときは楽しいが、乗らないときの維持費が大変なのだ。そして妾から多額のお小遣いをせびられる。別荘も、たまに行っても、その別荘の草取りで時間を取られ、固定資産税等で金ばかりかかる。両方とも、そのうちやっていけなくなる。

 なにせ中小企業は、1年後の生存率は40%、5年後は15%、10年後は6%、20年後は0.3%、30年後は0.02%である。

 それは社長が、創業当初の志を忘れ、会社の利益を交際費や妾や別荘に身を入れ込むから、会社を維持できなくなるからだ。要は天罰である。

 

高級車は妾と同じ

 妾と同じく金がかかるのは、高級車でも同じである。中古のベンツでも、車検は60万円かかる。部品が少し傷んだだけでも、ディーラは「ベンツ規格ですから」と、どんどん部品を交換してしまう。イタリアの某高級スポーツカーの車両価格は、そんなに高くないが、車検60万円、延長補償費40万円で、合計100万円が車検ごとに消える。知人の社長が嘆いていた。だから個人ではとても所有できない。

 

高級中古車の販売価格

 ベンツやBMWやレクサスは、新車価格に対して2年落ちの中古車価格は新車の60~75%ほどで販売されている。しかしそれを売る場合は、ディーラや中古車業者の手数料が間に入るので、現実には30~50%でしか、引き取ってもらえない。それも高級車ほど、値下率が高い。高い車は、おいそれとは業者も売れないから、不良在庫になってしまう恐れがあり、その分が引き取り価格を安く設定される。買う方も、高いほど税金対策が出来るので、中古車よりも高い新車を買うようだ。

 却って、安い500万円くらいの中古高級車が、経年変化の値下がり率が低く、人気があるので売れ筋となり、お買い得という。

 

高級車製造メーカは太鼓持ち

 中小企業の社長は、本来、儲けた利益を税金として納めないといけないのに、それを馬鹿らしいと、高級車を買って利益を圧縮する。それは本来、税金で国のインフラを整備する金が、娯楽遊行費として消えると同じである。車メーカもそれに便乗して、過剰に高い価格設定にしている。自動車メーカが、いうなれば中小企業の社長からピンハネをしているようだ。だから高級車は過剰に高い。

 

税金は社会インフラの使用料金

 企業は、税金で作った国のインフラ(道路、橋、高速道路、通信網)を利用することで、金儲けをしている。企業が納める税金はそのインフラの使用料金である。それを正しく払わないのは、お天道の道に反している。キセル乗車と同じである。税金は沢山払うほど、社会に貢献しているのだ。それを、高級車を買って払うべき税金をちょろまかす根性では、会社経営がうまく行かなくなるのも、故ある事である。天はよく見ている。

 

極楽の心境

 個人の私が、この高級車を出来心で買っても、九州から中部地区におみえになった馬場場恵峰先生ご夫妻を送迎できたし、自分の病気治療のため、通院用に半年運転して、ずいぶん楽な思いをした。恵峰先生ご夫妻にも喜んでもらえた。今でも奥様からその喜びと感謝を伝えられる。自分も通院でも安全に快適に走れてそのメリットは大であった。今は月に2,3回しか乗らないので、それでお役目が終わったと思い、手放すことにした。私は決断すれば、行動は早い。それで今まで知らなかった「高級車の闇の世界」も知ることが出来た。それで後悔はない。普通では買えないものを買えたのは、良きご縁であり、幸せであった。高級車を手に入れ、天国と地獄を見た。人生、何事も経験である。

 

2020-01-25 久志能幾研究所通信 1461  小田泰仙

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