大垣市の危機管理室は看板だけ
視野狭窄症の大垣市危機管理室
この2019年4月から、大垣市の生活安全課が分離して、危機管理室が創設された。その内容を確認すると、単に形式的に危機管理室を作り、役職を増やしただけのようだ。期待したのに、がっかりである。
大垣市危機管理室は、あくまで「防災・消防の窓口」である。
看板に、そう明記されている。
大垣市の危機管理室の問題点
1. 市長直轄の部署ではない
企業等の組織の危機管理室は、社長直轄の構成が多い。他市の組織は、市長直轄の組織である場合が多い。相変わらず、市長直轄でなく、刈谷市の組織と大違いである。
2. 本来の危機管理室ではない
しかし大垣市の危機管理室は、生活安全課を二つに分け、単に分離独立させて、名前を付け変えただけの組織である。メンバーも変わらない。以前と何ら仕事の内容が変わらない。
組織図を見ると、「防災政策、地域防災、消防」の機能だけである。総合的な危機管理室の仕事の組織とはなっていない。
3. 全体組織俯瞰図がない
今回の組織変更で、今まであった全体組織の俯瞰図がなくなっている。却って組織全体が劣化したようだ。
4. 位置づけは火葬場の下
組織図でも、重要な部署が最初にくる。葬式の焼香順でも、親族が最初である。それと同じで、重要な部署は最初に来なければならぬ。今回の危機管理室の位置付けは、前と変わらず、上から数えて24番目の重要でない位置付けで、火葬場管理の部署の下に置かれている。いかに大垣市が危機管理室を重要視していないかの証しである。
大垣市の行政機構図(平成29年4月)
これと令和元年の組織図は変わらず。生活安全課から危機管理室が分かれただけ。なぜ、令和元年になって、この行政機構図が廃止されたのか?
大垣市の危機管理室の組織(大垣市HPより)
防災政策 地域防災計画、防災協定
地域防災 防災
消防 消防団
比較
刈谷市の危機管理室の組織(刈谷市HPより)
危機管理係【主な業務】
(1)危機管理の企画調整に関することを行っています。
(2)危機管理指針、計画に関することを行っています。
(3)国民保護に関することを行っています。
(4)地域防災計画に関することを行っています。
(5)その他危機管理に関することを行っています。
防災係【主な業務】
(1)防災対策の企画調整に関することを行っています。
(2)自主防災組織の指導育成に関することを行っています。
(3)防災訓練に関することを行っています。
(4)防災施設に関することを行っています。
(5)消防団に関することを行っています。
(6)衣浦東部広域連合との連絡に関することを行っています。
(7)その他防災に関することを行っています。
二つを比較すると大垣市の危機管理室のお粗末さが際立つ。
「大垣市危機管理指針」に関しては、別途、講評する。
本来のあるべき危機管理室の姿
危機管理室の役割は、単に防災時や危機状態の対応だけではない。将来の市の存亡に影響する事象を検討し、対処するのが、その役目である。だから、危機管理室の大きな役割として、大垣市を俯瞰的な視野で危機管理が必要である。大垣市は、その重要な役目を視野の狭い範囲しか対応していない。全体の部署に責任者を配置するのは、誰が責任者かわからない無責任体制である。
危機管理で必要な機能
全体的な視野で危機管理
危機管理の企画、指導、再発防止
市の行事で市民の安全の事前点検、
個人情報の保護・管理、
組織の情報漏洩の危機管理、
組織の機能不全の時の対応、
職場や学校等の危機管理意識の教育等、
未来を背負う若者への危機に対応、
大垣市の衰退滅亡防止の危機管理、
将来の大垣市消滅の危機への対応
このままの大垣市の体制では人口急減で全国896の市町村が消える。大垣市が消えない都市になるために、何をするかが危機管理として問われている。
増田寛也編著『地方消滅』中公新書
再発防止無し
今回の大垣市の危機管理室の設置は、建前だけの泥縄式対応で、危機管理室を作ったにすぎない。大垣市は、もっと市民のことを考えて欲しいが市民の願いである。
こんな低落だから、2017年11月5日のドローン墜落人身事故を起こすのだ。その再発防止策もいまだ公開されていない。この事故の責任は大垣市にあるが、その大垣市の責任者が、事故の責任を認めず、業者に全責任を押し付けてドローンした。それは犯罪である。それでは将来、同じような事故が起きる。
だから2018年10月23日に、大雨で室村町アンダーパスが水没しても、その原因追及、再発防止をうやむやにして、その責任者は誰かが、わからず、市民には原因も再発防止も広報しない。だから大垣市民は不安で仕方がない。大垣市は、市民の命を軽視している。再発防止という危機管理の基本の基本ができていないのに、「危機管理室」の看板だけを作っても、「大垣市危機管理指針を策定」しても無意味である。
室村町アンダーパス水没事件
危機管理室の位置付け
本来、小川敏大垣市長の暴走を止める仕組みがあってしかるべきである。それが大垣市の最大の危機管理課題である。それを危機管理室として監視して欲しい。現在はそのチェック機能である大垣市議会も堕落して、市長と一緒に大垣市を衰退に導く政策を盛り上げている。そういう点で、危機管理室は、大垣市長の直轄の組織でなく、独立した組織であるのが良いかもしれない。
2019-06-22 久志能幾研究所通信 小田泰仙
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