免振装置とのご縁
人生の災難(トラブル、激震)に遭遇しても、自分の心が激動しないように、うまく滑らせてやり過ごすかが、人生のトライボロジー工学である。力んで踏ん張るから、逆に被害が大きくなる。災難に出会ったら、力を抜いてやり過ごそう。
仏像の耐震対策
ご縁で松本明慶先生の聖観音菩薩像が自宅に納佛され(2011年1月)、その直後、東日本大震災が発生した(2011年3月)。それで仏像の転倒対策を心配して免振台(約80万円)を検討して、行き付けの文房具店で発注した。ところがその翌日の朝、いつものように散歩のコースの途中で南園堂に寄ったら、お寺の会報『興福』が置いてあり、その最終頁に興福寺の国宝の仏像の下に滑り方式の新免震台を設置したとの記事が載っていた。早々に興味を持って調べたら、金額が25万円と安価で、理論的にもベアリング式の免震台よりも優れていることが判明した。ベアリング式では端まで振動で台が振れると、衝撃で逆に転倒の危険がある。この開発元のベンチャー会社の社長は積水ハウスの元研究所所長であった。それで直ぐに前日に発注した免寝台をキャンセルして、新免震台を再検討した。この件を知るのが1日遅れていたら、80万円が必要で性能が劣る製品になるところであった。お陰で予算が50万円ほど浮い(ご利益)た。仏様のご配慮としか思えない。
そのためお礼として、興福寺に寄進3万円と南園堂の講堂用に、型は古いがまだ新品同様のエアコン(家庭用では最大の容量品)を寄付させて頂いた。お盆の祭事時は、お堂にエアコンが無く、皆さん暑い思いをされていたが、それが解消されて桐ケ崎町の皆さんに喜ばれた。
免振装置
購入した免振装置はアイディールブレーン社の製品である。東京の展示会で実物を見に購入を決めた。展示会でこの会社の社長(元積水ハウスの中央研究所の所長)に会い、技術的な議論をして納得した。私の前職は工作機械の開発設計者で、振動やトライボロジーの知識が人並み以上であったのが幸いした。これもご縁である。
設置した免震装置(自宅)
2019-03-19 久志能幾研究所 小田泰仙
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