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2019年3月23日 (土)

眼の命の代償  命の器

 現代は照明器具や、眼鏡が発達しても、それ以上に情報が氾濫し、活字、テレビ、PC等を使い、ついつい目を酷使する機会が多い。目にも寿命があることを意識して、大事に使わなければと肝に銘じた今回の目の病気(白内障、網膜剥離)のご縁であった。(2014年当時)

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京薩摩焼

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茶碗内面の蝶の絵柄 

京薩摩焼の名品

 この京薩摩焼は細かい蝶の絵柄を金、赤、青、黄の一色ずつ茶碗に色付けをして、焼く工程で仕上げる。色の数ごとに色付けをして、その色ごとに焼くという気の遠くなる職人技であった。色によって融点の温度が違うための必要な工程である。京薩摩焼は富国強兵を急ぐ薩摩藩や明治政府の日本の外貨獲得の貴重な輸出製品の一つであった。当時の職人は電球の無い時代であったため、太陽の下でこの細かい絵付け作業を強いられた。そしてみんな目をやられていった。やらなければ、後ろから刀で見張っている薩摩藩のお役人に殺される。この作品には京薩摩焼職人の眼の命がこもっている。

 

経緯

 ご縁がありこの作品は、2011年に自宅に来たが、その悲惨な製作過程を三好輝行先生に教えてもらって襟を正した。この作品は、明治初期の当時、日本を狙う欧米列強の外圧を撥ね退けるため富国強兵政策として外貨を稼ぐため、職人が命を掛けて作り欧州に輸出された作品である。2010年頃の円高の折、英国の貴族が所有していたこの作品がオークションに出て、日本に里帰りをした。2011年、これに大垣のデパートで出会って、その製作工程の気の遠くなるような凄さに感動して購入を決めた。職人の技の極致である。

 私はいまだかって骨董の陶器など興味がなかったのに、衝動買いである。それ以降も、骨董の陶器は買っていない。それほどの作品である。2019年現在まで、毎年、この展示会を見ているが、これほどの作品にはそれ以降、お目にかかれない。良きものを入手できたご縁を嬉しく思おう。

 この作品にはご縁がある。大老井伊直弼の横浜港での開国の決断のご縁が、これに結びついている。父方のご先祖は、大老井伊直弼の桜田門外の変にご縁があった。

 

   『命の器で創る夢の道』p77より

 2019-03-23  久志能幾研究所 小田泰仙

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