さよなら空の妖怪、F4ファントム
アメリカ空軍の戦闘機名は、不気味な名前が多い。ファントムとは幽霊、亡霊、妖怪という意味である。ブードゥーは呪術師である。ヘルキャットは地獄猫である。そんな中で、ファントムはなじみの高い「妖怪」である。この50年間、自衛隊の主力戦闘機として、日本の空を守ってくれていた。ファントムも1966年から配属され、現在は世代交代でF15に入れ替わりつつある。その次はF35である。F35はずんぐりむっくり過ぎだし、エンジンの力で強引に飛ぶような雰囲気で、私の好きな飛行機ではない。
ファントムとは
ファントムは1958年に初飛行し、1960年から米軍に正式配属され、1992年まで米軍の主力戦闘機として運用された飛行機である。ファントムは傑作機の誉れが高く、西側国家のほとんどで正式採用された戦闘機であった。ファントムは丈夫で長持ち、見方によっては、不格好だが、それでいて高性能の機体であった。西側陣営で5千機以上が生産された戦闘機はファントムだけである。
妖怪の定年
53年前の1966年から日本の航空自衛隊に配属されたファントムは、現在でも日本の空を守っている。そのF4ファントム部隊も、残すは百里基地の301、302師部隊があるだけで、来年には、日本のファントムは全機が引退である。妖怪にも定年があるのだ。寂しい限りである。今回の岐阜航空祭(2018年11月18日)で、百里基地のファントムが展示されていた。これが、岐阜基地での見納めである。操縦するパイロットも、機体が航空自衛隊に配備された後に生まれたという。
側面の「オジロワシ」の絵がかっこいい。垂直尾翼の部隊マークは、「オジロワシ」は北海道をイメージしている。「三○二」、つまり青い翼が「三」、白い尾羽が「○」、黄色い足が「二」を表している。漢数字であることが日本的でカッコいい。
オジロワシは「タカ目・タカ科」の絶滅危惧Ⅱ類で、50年も日本の防空を担ったファントムも同様に、絶滅の危機にある。
百里基地302部隊
私の人生と共に
1966年からと言えば、私の高校生時代から定年までの人生の主要な時期を、ファントムは、日本の空を守っていた。多くの人は、それに意識をしないが、防空は大事な仕事である。現在では、年間千回前後の領空侵犯事件がある。その大多数が中国とロシアである。平成29年度は904回の領空侵犯である。前年は1,168回である。そのたびごとに、自衛隊の戦闘機がスクランブル発進をして、日本の空を守っている。「妖怪」は仏様の親戚で、日本を守ってくれている。
一回スクランブル発進をすると、ガソリン費を含めて約1千万円の費用がかかる。年間で約100億円である。いわば中国、ロシアはその金(国税)を強奪していると同じである。領土強奪の確信犯の最たるものだ。
家でも戸締りをしなければ、空き巣泥棒の被害にあう。まして、自宅の庭に凶器をもったゴロツキがうろつけば警察に電話をして家を守るのが常識である。国も戸締りをせねば、国土が盗まれる。その国防を否定した野党は、国家の基本概念を理解していない。それでは政権を担う資格がない。実際に民主党が政権を担ったら、とんでもないことになったのは、歴史の証明である。
妖怪とのご縁
ファントムは、私が一番好きな飛行機である。ファントムのソリッドモデル(木製)製作にも凝り、高校生時代に製作した作品は、現在も大事に保管している。キャノピーも手作りです。残念ながら、まだ下塗りの段階で、水平尾翼が未完です。23度の角度を付けて、水平尾翼取り付け用のピート菅は取り付けてある。
風刺コントのペンネームのご縁
新聞の風刺コント「かたえくぼ」にも、「大垣・オバケ」の投稿ペンネームで常連として掲載された。「オバケ」のペンネームもファントムを意識して付けた名前である。それでなにかご縁を感じた飛行機である。
かたえくぼ
『 九大簡単に 封鎖解除』
八百長と違うのか
―― 野球ファン (大垣・オバケ) 1969.10.18 朝日新聞
1968年6月2日、九州大学の校舎にRF-4Cファントム偵察機が墜落した。学生部自治会が、その残骸の撤去に反対して、校舎の屋根にファントムの残骸が宙ぶらりんの状態になり、それが1年6ヶ月続いた。当時は学園のバリケード封鎖が当たり前の風景である。この事件で、九州大学では学生運動が活発化し、1969年3月に予定されていた1968年度の卒業式は中止になった。1969年5月20日からは全学的に各学部自治会が無期限スト、建物のバリケード封鎖を行った。突如、10月14日に機動隊約4,400人が導入されて封鎖を解除した。意外とあっけなく封鎖が解除され、皆さん驚いたもの。この同時期に野球の八百長試合が発覚して、それにかけて風刺しました。
今思うと、当時の学生運動は一体何だったんだ? 妖怪に取りつかれたようだ。幸い、私の通った大学はノンポリばかりで、平和(?)に勉強できた。
鬼太郎のリトグラフ
2018年11月18日、岐阜航空祭で引退まじかのファントムを再発見して、11月28日に境港市で、妖怪たちに会ったのもご縁であろう。そのご縁で、迷っていた鬼太郎のリトグラフを注文する決断ができた。聞けば正真正銘の日本で最後の注文のリトグラフだとか。水木プロは妖怪のリトグラフの注文受付を11月末で打ち切った。その納期は来年である。
2018-12-06 久志能幾研究所 小田泰仙
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