「4つの1つ」のコミュニケーション
2018年10月26日、伏見の名古屋電気文化会館「ザ・コンサートホール」で、弦楽四重奏の宵「4つの1つ」が開催された。その演奏会にバイオリニスト小坂井聖仁さんが参加するので、リハーサルの撮影に出かけた。
出演者は、波馬朝加(ヴァイオリン)、小坂井聖仁(ヴァイオリン)、福井萌(ヴィオラ)、荒井結(チェロ)(敬称略)。
「4つの1つ」
今回、初めて管弦楽四重奏を聞いた。今までピアノ曲中心で聞いていたが、全て管弦楽というのは、あまり聞いてこなかった。4人の表情、目の動き、体の動きが、一つのハーモニーになって、カメラマンとしては興味ある対象であった。
4人が4人共、異なる目の合図でお互いのコミュニケーションをして協奏をするさまは興味深い。それも音楽の一部である。お互いのコミュニケーションが成立しないと、よい演奏はできまい。意思が合致すると笑みが生まれる。それはリハーサル会場だけで、本番では決して見えない笑顔である。それは4つが楽器を一つとして鳴らせる和が完成した時である。
波馬朝加さん
福井萌さん
小坂井聖仁さん
1年ぶりのホールに再会
このホールは耐震工事を含めて1年ほど休館であった。前回、2017年11月27日、小坂井聖仁さんの帰国記念コンサートを、私は初めてこのホールで撮影した。思い出のホールである。その後、このホールは耐震工事で、1年間の改修工事に入り、私には1年ぶりの再訪となった。今回、ホールの天井や他の部分を改築することで、音の抜けが良くなったという。私はその音の響きの比較対象ができなかったので、これが正常な音としか聞こえないのが情けない。このホールの工事を担当した方から説明を聞いて納得した。
舞台上の演奏家が出入りするドアは大理石製である。これを入れ替えるのは、再現が難しいので、そのままにしたという。舞台上の周りも大理石でおおわれている。大理石は音の残響の点でよい材質だという。オーストリアの楽友協会ゴールデンホールの音が良いのは、石の作りで反響音が違うようだ。
このホールは定員390名で程よい大きさの良いホールであると感じた。1000名を超える観客席数の名ホールも多くあるが、大きすぎるホールは、何か落ち着かない。京都のアルティ、大垣の音楽堂等、中ホールが聴きやすいと思う。
私は、かなわぬ夢として小ホールを建てることを夢見ている。その視点で、各ホールを見て回るのは楽しい。
この世の迷い
この撮影で用意したカメラ機材は、最高レベルであるはずだが、ホールの照明が暗く、F4.5~5.6、100~400mm望遠レンズでは往々にオートフォーカスのピントが迷ってしまうケースが多い。感度もISO12,800迄上げているが、照明の暗さとレンズの暗さの影響が大きいようだ。聞けば、このホールはカメラマン泣かせとか。これは私だけの問題ではないようだ。その対策を検討中である。
コンピュータでも光が不足すると、ピント合わせに迷うのだ。まして生身の人間の人生の問題での選択では、対象に光を十分に当てて観察することが大事だ。それを疎かにするから、焦点が合わず、間違った選択をするのだ。対象に多くの光を当てて凝視しよう。
2018-11-03 久志能幾研究所 小田泰仙
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