出版予告「金子みすゞ 詩の世界 55恵峰選集」
上記の馬場恵峰書による写真集の編集が完成して、現在、試し刷り中です。最終校正を経て、12月上旬に出版予定です。A4版、全60頁、予価2600円。
馬場恵峰師による仮名の美しい毛筆の巻物の写真集は、連綿体のお手本となります。
本書は10m巻物に書かれた55の詩を一作品ずつ一頁に収めました。
表紙、裏表紙、前書き、後書きはカラー、本文は白黒印刷です。
本書は2018年10月31日に撮影しました。
馬場恵峰師の前書き
金子みすゞは、昭和5年3月9日、三通の遺書残して、睡眠薬を飲んで10日、26歳の短い生涯を閉じた。私にとって考える時36歳で弟(亡毅)を生んで二日後亡くなった。その事と重ねて見て、私が三歳の時の出来事。「今夜の月のように私の心も静かです。」遺書を残している。
生誕100年記念に出版の本の中から「人と人」「人と自然」「人と自然」「人と宇宙」金子みすゞの詩の世界選55首、この巻物に走り書きした。昭和初期に(昭和2年生まれの私)みすゞは消えた。幻の童謡詩人、私達の心にみすゞの詩が今もこだまのように筆を走らせる度に私の心に響いてならなかった。
「大漁」朝焼小焼だ。大漁だ、大羽鰮の大漁だ。浜は祭りのようだけど、海の中では何万の鰮のとむらいするだろうという詞がある。人の一生、人生の中で、生老病死、諸行無常、生活のあらゆる場面で多くの心の色どり向い合い「怒喜愛楽」人事でない、自己の人生の歩みの中で、チョット立ち止まって、此詞文の心を味わって見たらどうだろう。平成の終らんとする今、静かに回想して見ては。
童謡は大正の半ばから昭和の初めにかけて、錚々たる詩人、歌人達がさまざまな試みをなして大きなうねりを見せる。「創作童謡」は、子供から大人まで幅広く熱い読者をファンを得て、我が国の近代詩史にあっても類を見ない輝く詩歌の黄金時代を形成する。大正期の理想自由教育の流れを共に明治期の文部省唱歌に対置する新しい子供の歌として芸術性の香りを放つ童謡が教育の現場にあっても急速に広まっていった。
が、私の人生で軍国主義時代に入り、歌そのものも厳しく制限、限定され、軍歌なるもの流行、柔軟なる心の表現、統制厳しく制限された。戦後は想像を絶する歌と踊りの世界が展開されている現代。みすゞの詩情等、全く今時ナンセンスかも知れないが、人の活きる日々、お互いが自らの人間の心の動きに反省と勇気、己を大切に延命長寿念じたい。恵峰
馬場恵峰師の後書き
この巻物に想いを込めて書き残して置く。
金子みすゞの詩は私の人生、一生の中で、時、所は異なれど今92歳翁の身で筆を執り、自分の人生の歩みに少なからず相似たる思いあり。こうして一巻に代表的な詩まとめて見た。相似たるとは、私の母は昭和2年私を生み、三歳の時他界した。母の顔知らず、三歳の時、みすゞは26歳で死んでいる。私の一生、ここに書いたみすゞの詩の心が童心の私昔のいろいろの事につながって、今こうして執筆活動・書道の歩みが、母、祖父等々の血脈の中で活き続いている事は、私丈の魂の世界ここに述べられた。それぞれの詩文の中に働いているような気がしてならない・・・・こうした己の主観がついつい此巻物にこうした筆跡となったと思う。
平成30年3月16日午後3時結 恵峰
2018-11-11 久志能幾研究所 小田泰仙
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