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2018年11月16日 (金)

浜松国際ピアノコンクール(4) 妖艶な色香にも負けず

 妙齢の美しい女性がピアノを奏でる姿は、非常に魅力的である。ピアノコンクールで、野獣と美女がピアノを武器に死闘をしているという状況を忘れてしまう。しかし参加者達は、自分の人生をピアノに託して戦かっているのだ。激しい曲をピアノの鍵盤を叩きまくって表現する様は、まるで野獣と美女が死闘しているようだ。

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  場外テレビのLIVE配信画面

 

赤頭巾ちゃん、気をつけて

 美女の参加者は、まるで赤ずきんちゃんがピアノを弾くようだ。それを庄司薫さんは『赤頭巾ちゃん、気をつけて』の中で「中村紘子さんみたいな若くて素敵な女の先生について(中略)優雅にショパンなどを弾きながら暮らそうかと思ったりもするわけだ」と書いて、若き中村紘子さんを感激でボーっとさせ、アレグロ的なスピードで庄司薫さんとの恋を成就させた。ごちそうさま。

 その中村紘子さんが庄司さんの小説『赤頭巾ちゃん、気をつけて』に負けたと言わせたのは「なまめかしくて艶っぽくて、キャー、かなわないって印象だった」ためだ。

 その表現を今回のコンクールのピアノ演奏で当てはめると、課題曲を超高速で連打する姿から、その技に、「キャーかなわない」と驚嘆はするが、艶とかなまめかし音とは感じないのだ。これは演奏会ではなく、ピアノの技を追求する競技会なのだ。多分、審査員も聴いて同じ思いで審査しているだろう。

 中村紘子さんは、浜松国際ピアノコンクール審査委員長をつとめ、世界へ向けた「浜松発」の若手育成に情熱を傾けた。中村さんは浜松国際ピアノコンクールでは1994年の第2回から審査員で、第3回から2009年の第7回まで審査委員長をつとめた。

 

靴が光るが、音の艶が光らない

 今回は、外国勢の女性陣の多くが美しいドレスとキンキラきんのカラフルな靴でピアノ演奏をした。思わず音よりもその姿と赤や紫の靴の輝きに目が行ってしまった。最近の演奏はビジュアルも要素が大きい。その点で女性は得である。同じ曲を聴くのでも、美女が輝くドレス姿でピアノを弾くのと、エネルギー溢れる若者が弾くのでは、素人の私の耳には違って聞こえる。

 さすが審査員は、そんな色香には迷わされず第一次審査をしたようだ。私が目を奪わせた美女軍団の多くは、第一次予選を通らなかった。

 なにせ私はかぶりつきのアリーナ席、審査員は舞台から遠くはなれた二階席なのだ。二階席までは、美女の色香や妖艶さは届かない(?)。今年から応募審査でビデオが採用された。以前は録音だけの審査であった。音楽もビジュアルの影響が大きい。それを計算して女性陣は飾っていた。演奏中は撮影禁止なので、その写真が掲載できないのが残念である。ピアノコンクールで演奏会ではないのだから、挑戦者のドレスコードが必要ではないか。

 

エピソード

 どういうワケか、外国勢の男性の靴がピカピカの人が多く、ライトが当たり、ピアノよりも輝いていた。ところが日本人の若者ピアニストは、艶消しの黒の靴が多かった。その対比が、際立っていた。男性のピカピカの靴に、なにか違和感を覚えた。

P1050912     2階席が審査員席 

 2018-11-16 久志能幾研究所 小田泰仙

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