刃物の握り方
仏像彫刻の場合、刃物を持つ手の指の関節部の骨の硬い部分で支えると、刃物に力が入らない。指にタコができやすい。その人が握る刃物を引っ張れば、簡単に引き抜くことができる。
それを人差し指の関節部と関節部の間の柔らかい腹の部分と親指の柔らかい腹の部分で抱える様に支え、握ると簡単には指から抜けない。いくら刃物を使って仕事をしてもタコもできない。
これは2018年10月12日に松本明慶先生から教わったこと。明慶さんが握ったノミを、明慶さんは「引いてみろ」と言われたが、私がいくら力をいれてもビクともしなかった。
筆の持ち方
書道における筆の持ち方は、明慶先生の刀の持ち方と相通じるものがある。恵峰先生にとって、筆は刀である。筆を左手で筆の上部を持ち、自然にぶら下がるようにして、力を入れずにそっと右手の3つの指先で抱え、添える様に持つ。そうすると、自由自在に筆を動かせる。筆を握りしめると、動きが制限されて、字がうまく書けない。
これは2006年、明徳塾で馬場恵峰先生から教えてもらったこと。
人の心の握り方
組織を動かすのは人である。組織長は、組織で動いてくれる人の心の握りしめ方を学ばねばならぬ。組織を自分の動かしたい方向ではなく、動かさねばならない方向に向けるには、部下を硬い規則や強い命令でガチガチに縛ると、人はその方向には動かない。それよりも、部下を自由に任せて、優しく柔らかく温かくシッカリと包み込むように抱え、行き先を明確にして、心に火をつければ、部下はその持てる力を全て発揮して動いてくれる。明慶さんが仏像彫刻で、刃物・ノミを扱うのと同じである。良きノウハウを教えていただいた。
心臓を一突き
馬鹿と鋏は使いよう。要点と持つべき部位で優しく掴んで、組織を動かさねば、己に課せられたお役目が務められぬ。力を抜いて、優しく一太刀でズバっと心臓を一突き。それが物事を成し遂げる宇宙根源の法則である。無駄な力を無くせば、短刀直入で、時間が節約できる。人生が儲かる。
魂の握りかた
物事がうまくいかないのは、対象を切る「刃物」の握り方、扱い方が間違っているのだ。物事には精霊が籠っている。その精霊の心臓(魂)を一突きでグサッと刺さないとうまくいかない。失敗とは、「そのやり方では、うまくない」との仏様からのメッセージである。それが、天地が唱える声なき経である。
もっと素直に天地宇宙の声を聴こう。己の魂を天地宇宙の御手にゆだねて、天の使者として天命の仕事をしよう。
2018-10-20 久志能幾研究所 小田泰仙
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