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2018年8月 1日 (水)

大垣の子供達の未来は悲惨(4/5)第三の敗戦

将来の子供たちの年収低下

 全米経済研究所(NBER)が2018年5月、暑さが子どもの学習成果に与える影響を分析した研究を発表した。

 学校の教室の温度が0.6度上がると、学習量が1%減り、試験の偏差値が0.032下がった。12歳の時点で、偏差値が1.0高ければ、生涯年収にして7,000ドル(約79万円)分の価値がある。これを16歳に換算すると8,500ドル(約95万円)となる。それが、1°F(華氏=約0.6℃)室温が上がっても、教室にエアコンがあれば、生徒1人あたり212.5ドル(約24,000円)を挽回できる。週末や夏休みの気温の高さは学習成果に無関係で、授業がある登校日の気温の高さだけが、影響していた。

 

茨木市の検証

 平成30年文部科学省調査「施設整備による教育環境向上の効果について」より、大阪府茨木市の小学校の成績を全国と比べると、エアコン導入後2年間は成績が上がっているが、その後は下がってきている。

 茨木市は検証で、エアコン導入など学習環境の整備を進めたことが「小中学校ともに学力の向上がみられている」と結論付けていた。

 岐阜県池田町では、2016年9月に町内の小学校1校でエアコンを導入したら、前年同期に比べて病気で保健室に行く児童が68人から21人と、7割減った。町内の平均最高気温は、2015年9月は27.3度、16年9月は28.9度だった。

 

さらに格差拡大

 暑さの影響は、不利な環境にある生徒がより多く受けていた。同じ気温でも、所得の下位20%の家庭の生徒では、上位20%の家庭の生徒より学力低下が著しく、3倍の影響を受けていた。親が勉強を教える余裕がない、お金をかけて補習を受ける機会がない、学校や家にエアコンがない、等の理由が挙げられている。調査では、エアコンがないと学習の効率が悪くなり、家庭の所得で格差が広がり、ひいては生涯年収にも影響すると結論付けている。

 

以上は「教室のエアコンの有無が、子どもの将来の年収にも影響する?」を要約・再編集

https://www.huffingtonpost.jp/2018/07/17/school-ac_a_23483652/

 

大垣市小学校だけでの損失試算

 空調基準の26度と現実の大垣市小学校教室の室温34度の差は8度である。つまり大垣市の子供達は、学習量が13%も減り、未来の生涯賃金が31万2千円も下がる。大垣市全小学校の児童総数は7,717人(平成30年)で、エアコン整備までにあと6年以上もかかるので、最低でも、現在の在学小学生だけでも、大垣市全体の生涯賃金では、144億円の得べかりし収入が消える。小川市政を20年間とすると、482億円が消えた。

(144億円=7,717人(全学年)÷6学年×6学年×6年×31.2万円)

 上記のの金額は6年間に限定した試算であるが、この状態が20年も30年も続いているので、今までで膨大な損害が発生している。

 それがエアコンへの設備投資20億円か30億円を前だしすれば、簡単に投資額が回収できる。これは大垣新市庁舎建設よりよほど重要な案件である。大垣新市庁舎建設に凝り固まっている経済音痴の小川敏市長には、この投資計算が分からないようだ。市長としての資格がないと言わざるを得ない。

 

大垣市の第三の敗戦

 教室の暑さ分だけ、勉強量が減り、学習がはかどらない。快適な勉強環境で勉学に勤しんだ子と、劣悪な環境で勉強を強いられた大垣の子供たちが、将来、受験戦争で戦えば、敗戦は濃厚だ。当然、就職にも影響して、将来の収入が下がる。だたでさえ、大垣市民の年収は、全国平均より100万円も低い。子供達の将来は、更に年収が減ると予想される。この全責任は、6年後までエアコンを導入しない決定をした小川敏市長にある。

 敵(他市の子供達)は、快適な環境で勉学に勤しんでいる。その子たちに、将来の受験戦争、就職活動、出世競争で負けるのだ。結果として将来の年収が他市の子供よりも低くなるのだ。太平洋戦争での敗戦、失われた20年のデフレ敗戦、そして30年後に大垣市は、教育敗戦を第三の敗戦として迎えるだろう。戦犯は小川敏氏である。その時に存命なら、その惨状を見ることになる。

 

小学校の先生の証言

 治部れんげ氏の報告書では、小学校の先生は教室の状況を下記に証言している。

 「エアコンがない教室は、朝6時半時点で30℃を超えています。窓を開けて空気を入れ替え、扇風機を回しても、熱い風が入れ替わるだけで、お昼には34℃にまで上がります。校舎の上の階に行くほど、屋上の熱を受けるため、気温は高くなります。子どもは2時間目が終わると暑さでぐったりしています。頭から水道の水をかぶっている子もいます。室内で体調を崩す児童が出てきますから、授業を中断して水分補給をしています。」

「エアコンのない小学校で働く先生の悲鳴 日中は34℃「室内で過ごしていても、子どもが体調を崩す」」より  治部れんげ著 ジャーナリスト、昭和女子大学研究員、東大情報学環客員研究員

https://news.yahoo.co.jp/byline/jiburenge/20180718-00089794/

 

 これは大垣市の小学校の状況も同じであろう。この状況では、子供達は戦えない。子供達の競争相手は、世界の子ども達なのだ。子ども達が勉強できなければ、日本は将来、世界のグローバル経済戦争に負け、貧困国家に落ちぶれるのだ。今の子供達が我々の将来の年金を支えてくれる。大垣市長は、結果として大垣市民の首を絞めていることになる。

 

 少にして学べば壮にして為すこと有り。壮にして学べば老いて衰えず。 老いて学べば死して朽ちず。(第42講 「言志四録その42」 佐藤一斎)

 大垣の子供たちは暑さで学ぶのに障害がある。他市の子供は、暑い中でもエアコンの効いた中で学んでいる。同じ条件なら、他市の子供達は、大垣の子供より多く学んで、その成果として青年期に活躍ができるのだ。今のままでは、大垣の子供たちは、他市の子供に出遅れるのだ。人生のスタートで出遅れれば、良い活躍の場が狭まるのだ。

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  馬場恵峰書 2016年

 

2018-07-27  久志能幾研究所 小田泰仙  

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