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2018年3月14日 (水)

貴方の近くで時限爆弾のチクタクが聞こえる

危機管理11 
カウントダウンの意味


 人生・仕事の危機管理とは、爆発(信用金庫破綻)までのカウントダウンの秒読みが聞こえるかどうかである。危機意識に対する感性の低い人には、この秒読みが聞こえない。仕事を始めれば、自動的に危機状態へのカウントダウンが始まる。また決断を引き延ばしていると、いつの間にか最終カウントダウンの状態に陥る。人生では、いかに早くそのカンウトダウンに気づいて、リセットボタンを押せるかの能力と意欲、およびその訓練の姿勢が問われている。そして危機に気づかず、リセットボタンを押せなかった人が、毎年30,000人ほどが自らの命を絶っている。今はそんな厳しい時代である。

==カウントダウン3==
 上司はやさしい人だ。部下の育成を願い、色々と注意や叱責をしてくれまる。そして3回目迄は許してくれる。でも仏の顔も3度まで。1回目の「督促」は要注意なのだ。「残りはあと2回ですよ」と。2回目になるとイライラした怒りなのだ。「あと一回で爆発ですよ」と。3回目は爆発して、もう「この件に関してはダメ!」との烙印を押すのであり。仏が鬼に変貌する。もう4回目は無いのだ。仕事が他の人に回るのである。まさにリストラの危機である。上司は何回言っても判らない人、言っても仕方のない人には何も言わない。そうしないと、組織全体が危機に陥る。

==カウントダウン2==
 自動車メーカーはもう少し厳しい。1回目の品質問題か納入問題を起こして、キチントした再発防止を打たず、2回目の問題を再発させると、自動的に納入停止である。最悪の場合は取引停止である。そうなれば倒産です。でもそういう厳しさが有るからこそ、トヨタグループ全体としてはなんとか勝ち組みに入っている。

==カウントダウン1==
 怒鳴るお客様は親切です。きちんと間違いを指摘してくれるのですから。なんとか改善してほしいと思っているのですから。
 でも真のお客様はもっと厳しいのです。お客様はお店に来て、一回の不愉快さを感じると、もう来てくれません。なおかつ、何も言わず去って行きます。それが一番冷酷です。そういった危機感を持って仕事を運営しないと、仕事が無くなります。店が潰れます。

==今ここ/カウントダウン0==
 しかし運命の女神様はもっともっと冷たく厳しい方なのです。あの時、あの状況、あの人達との巡り合わせは2度と来ません。今その時に全力を投入しないと、やり残しで悔いが残るのです。失った時間,チャンスは二度と帰って来ないのです。でも積極的に運命に直面する人には女神様は優しいのです。
 決断しない、行動をしない、優柔不断に引き延ばす、こんな行動では、全て悪魔にカウントダウンのスイッチを押させる行為なのです。決断しない、それは決断しなければない項目が目前にあるはず。判っていても、できない。行動しない、頭では行動しなければと思いながらも、動かない、動けない。それこそ悪魔にカウントダウンの時計を弄ばせること。すべて自己の選択の結果です。決断しないという選択をしている。決断・行動をしない人には運命は冷酷なのだ。
 しかし、本物の時限爆弾と違い、人生での危機は、その状況に気づき、それをリカバーする気になれば、遅い速いは別にして、リカバーの手段は無限にある。それが唯一の救いだ。それさえ気づかない人が絶望して命を絶つのだ。

 一期一会とは危機管理の言葉である。人生に、もう一度の機会などはないとの危機感が必用である。悪魔は黙ってカウントダウンのスタートボタンを押す。心耳を澄ませば、あなたの頭上で音もないカンウトダウンが聞こえるはず。それは何のカウントダウン?


==懐かしい思いで==
 私の前の部署の上司で、トヨタから出向されていたO部長には、この件で厳しく指導された。「3回督促して、上司の要求に応えられない時は、もうその件ではダメ!」との烙印を押されるとはその時の指導であった。「これで3回目ですよ。小田さんって、そんな情けない人だったんですか」と言われたことが多々あった。それはなんと辛く情けないことであったか。言い方は優しいが、心にグサッと突き刺さるような厳しさがあった。でもこの厳しさはトヨタ自動車では当たり前で、思えば私にはかなり甘い指導であったようだ。O部長が受けた指導はそんな生半可なものではないようだ。だからトヨタは生き残っている。「リーダーとは厳しく、嫌われてなんぼの世界、それが組織が生き残る条件」と割り切れば、人を厳しくするのに抵抗はない。なまじっか人に好かれようとするから、人を指導できなくなる。自分に甘くては人を指導できない。多くの上司が私の前を通りすぎていった。優しい上司や冷酷な上司は記憶に薄いのだが、厳しく指導をしてくれた上司ほど記憶に残り、厳しさを教えていただいたありがたさを今つくづくと感じる。

  会社を退職してから今の時点で周りの付き合っている人達を見ると、なんと極楽とんぼのような人ばかりかと心配になる。ご縁ある人達のため、敢えて鬼の諫言を伝えている。(初稿 2001年3月16日)

2018年3月14日

久志能幾研究所     小田泰仙

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