閻魔様の前の待合室で
2018年2月26日、前職の会社の同期会が、定年退職後に初めて開催されたので刈谷に出かけた。中には45年ぶりの再会の仲間もいた。昭和48年に入社した26名中、22名が出席で和気あいあいの同期会であった。
ビジネス戦争の戦死者
その内1名が仕事上で欠席だが、残りの3名が音信不通である。同期のネットワークで、中途退職者の大半に連絡がつき、今回、1名以外は参加なので、多分、3名は死去していると推定される。この同期会の直前に面会した現在59歳の仕事仲間が、同期生50名中で既に3名が病死しているという。だから3名が音信不通は、死去していると確信した。先年に開催された中学の同窓会では、クラス仲間の2割が亡くなっていた。67歳で11%の死亡率は、妥当な数かもしれない。
思えば、昭和48年はオイルショックの年で、今後どうなるのかと不安を抱いて始めた会社人生であった。バブル崩壊、911、湾岸戦争、社内リストラ、リーマンショック、会社合併で会社消滅、と波乱万丈の日本経済の状況の中で、会社の振り回されながらも会社人生を無事に生き延びてきたね、と今にして感慨を新たにした。
人生も生老病死
どんな人生も生老病死である。会社の人生も生老病死。生が入社で、死が退職である。長い人生で言えば、退職後の期間にも、生老病死があり、そこでの生き様が、次の界の行き先が決まる。退職して今の界に位置した時が生で、そのまま本当の死を迎える人も、身近で数多かった。私は66歳から出版業を始めて、少し誇りに思う。儲からないのが辛いが…….。何事も始めるのに遅すぎることはない。始めるに必要なのは決断だけである。退職後に、もうやることがないと、ボケーとすごしていると、閻魔様との早期面談通知が舞い込むのも故あること。
団塊世代のアンカー
昔、仕事で張り合った口煩い喧嘩仲間もお人好しの爺になってしまい、構えて向かい合ったら「貴方は誰でしたか」と言われて、こちらがずっこけてしまった。同期の仲間では、突出して偉くなった人もおらず、皆さんも38年間の会社人生で、会社を支えてきた自負だけはある。会社を消滅させた責任ある役員には、誰も就任していないのが幸いであった。昭和48年組は、団塊の世代の最後の組で、過当競争でのし上がった強者どもの団塊世代には椅子取り合戦で負けて、その後にその座に座ろうとしたら、年齢的に賞味期限切れで、後の世代がその座に座った。それは能力の差ではない。この世は、全てめぐり合わせである、を実感した。人として、その時に最大の努力をすればよいのであって、成果は仏様の差配の世界である。
生涯現役の願い
同期会で集まって、病気の話しや介護の話しが多いのは哀しい。今何をやっているかと聞いても、「別に何もやっていない」のと話では、話が進まない。後ろ向きの話ばかりでは、楽しくない。
今回の同期会参加者22名中で、明確に仕事をしているのは、4名のみ。その中で、社長として仕事をしているのは3名のみであった。その仲間は外見も話し方にも精気がみなぎっている。これでは閻魔様も呼びつけるのに遠慮をするだろう。他の仲間を見ると、何時お呼びがくるのやらと心配になった。まるで閻魔様の審判の下る前に、その待合室のベンチに座って、前世の世間話しに盛り上がっているようである。そんな待合室には行くまいと心に誓った。私はまだこの世でやることがある。行くなら閻魔様の前に直行である。
同期会で話を盛り上げるなら、未来の夢の話をして場に花を咲かせたいものだ。8年ぶりに再会して、病気や介護の話ばかりでは、哀しい。私は馬場恵峰師とご縁ができて、生涯現役という教えを師の後ろ姿で学んだ。馬場恵峰師は現在、92歳、現役である。感謝。
2018-02-27
久志能幾研究所 小田泰仙 e-mail : yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp
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