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2017年12月31日 (日)

「大垣市中心市街地活性化基本計画」の絵空事

 この計画書(平成27年~33年)は、大垣市長が新市庁舎建設を正当化するための言い訳書であると思われる。この計画書の裏から透けて見える大垣市長の本音は、新市庁舎建設を建て、そこに座りたい、である。中心市街地活性化などは、どうでもいいのだ。お役人が、大名屋敷のような豪華な新市庁舎に居座りたいがため、予算を消化するため。鉛筆を舐めなめ作った「お作文」の計画書である。

 この計画書を念頭に今まで大垣市活性化政策を進めた結果、小川敏市政17年間で、大垣市は36%衰退した。商店街は消滅し続け、このままの傾向が続けば、あと20年弱で大垣市の駅前商店街は消滅する(年率2.6%の衰退速度)。下記のデータは平成11年から24年の13年間の変化であるので、実質的に半減近くに衰退したと言ってもよい。新市庁舎建設だけは計画通り、オリンピック工事で資材が高騰のおりにも関わらず、着々と進んでいる。以下は平成11年から平成24年のデータ(大垣市公表データ)。小川敏氏は大垣市長に平成13年より就任。それから急激に衰退が始まった。大垣市衰退の責任を取って欲しい。

 

大垣市の惨状  (平成11年 → 平成24年)

駅前商店街の店舗数  560店 → 361店    36%減

駅前商店街の従業員数 2,440人 → 1,901人  23%減

駅前商店街の売上   34,656 → 18,048千円  48%減

駅前商店街の売場面積  59,108 → 37,819 m2 36%減

空き店舗数      44 → 36店(嘘)

           「かくれ空き店舗」が集計に入っていない。

           現在、シャッターを下ろしたお店61%

公示地価の下落   152千円 → 135千円   12%下落

 高屋町1丁目53番地(平成21年~平成26年)資料岐阜県(p14)

             

駅前商店街の商店主へのアンケート調査では5年前に比べて

 顧客数が増えた   3.7%

 顧客数が減った  60.2%

 売上が増えた    3.7%   

 売上が減った   63.0%

 市民の買い物調査では、中心地に買い物に行く頻度が増加したのは36.5%である。つまり残り63.5%は、中心部に買い物に行かなくなった。

(p17~19、36)

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「中心市街地の変化」の欺瞞

 「にぎわいが創出された」とあるが、結果は上記のように惨憺たる没落の結果である。それの反省が全くない。その没落の原因の大きな要素が「元気ハツラツ市」の開催である。それに対してPDCAが回っていない。市の行政の経営者として失格である。

 通行量は目標達成とあるが、目標項目自体が、詐欺まがいである。それよりも経済効果で、どれだけ、売り上げが増え、税収が増えたかを目標値とすべきある。

 

目指す中心市街地像

 「歩いて楽しめるともに住みやすい便利な「大垣らしい」魅力と」あるが、大垣駅前商店街のお店が壊滅状態で、さらにシャッターを下ろす店も増える一方で、立ち寄る店もなく、トイレは日本一汚いし、商店街が寂れて、高齢者の買い物難民が氾濫しているのに、「便利な」とは詐欺まがいのいい草である。地元が潤わない「元気ハツラツ市」では、市の中心部が車の乗り入れ禁止で、買いものにも来られない。市の市街地中心地の住民が買い物をするのは3割である。他の7割はそれ以外から来訪するが、「元気ハツラツ市」では市街地中心部が車の乗り入れ禁止で、売り上げが落ちて、便利とはかけ離れた状態である。それによって中心市街地に大渋滞も巻き起こしている。市役所はそんなことは知ったことではないのだ。大垣市中心市街を寂れさせる愚行は、大垣市長の確信犯なのだ。

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「にぎわいの創出」のまやかし

 元気ハツラツ市で、商店主の63%が、売上減少とアンケートで答えているのに、その問題点の解消のためのPDCAを回さず、強引に「元気ハツラツ市」を7年間も強行して、だれかうまい汁でも吸っているのかと疑ってしまう。「元気ハツラツ市」で大垣への来訪者が増えても、地元の商店街に潤わず、外部の露天商や下請け芸能プロダクションだけが儲かるのでは、市街地の活性化にならない。その会計報告もなく、不正が疑われる。

 休日の歩行者・自転車通行量が目標値に達したと誇っているが、それより市街地の活性化の指標なら、商店街の売上、税収の増加を指標にすべきである。「中心市街地活性化基本計画書」で、「各商店の売上向上を図る」と明記しているのだから、その売り上げの増加比率を目標値にすべきである。それなら誰が見ても疑問の余地がない。今は、いくらでも誤魔化しができる目標項目を掲げているので、疑惑だらけある。

 売上高増加比率のほうが経済性で数値が明確である。それが、なぜ通行量が目標値なのか。通行量が増えても売り上げ増に寄与するわけではない。これは詭弁の目標値である。

 

新市庁舎建設が市街地の活性化の疑問

 またなぜ、新市庁舎建設が市街地の活性化になるのか。私も多くの市を訪れたことがあるが、いまだかって市庁舎を観光のため見に行ったことはない。市庁舎は仕事をする場所で、観光施設ではない。これは詭弁の計画である。

 

広場整備事業

 駅前広場の周りにお店が消滅した状態で、誰が広場に集まるのか。商店街を無くしてマンションを建てても、肝心のぶらつくべき商店街が無くなっていれば、お笑いである。駅前の再開発ビルにマンションを買った人も、ビル前のヤナゲン店の食料品売り場のB館が取り壊されて、その利便性が無くなってしまった。住民はその利便性でマンションを買ったのに、詐欺に合ったようなものである。

 

「まちなか住居の推進」のまやかし

 街全体で賑わいを「創出」しても、賑わいで大垣市を訪れる人がお金を落としてくれなければ、それは大垣経済の活性化にはつながらない。街中の住居の推進をするとその分、商店街が減ってしまい、大垣市の活性化の逆の効果となる。 駅前にマンションと予備校が林立し始めたら、それはその街の衰退の始まりを象徴する」は、世の常識である。市長に世の常識は通用しない。

 

 目標値で空き店舗の減少とあるが、現実に61%のお店がシャッターを下ろしている状態で、数値がねつ造されている。駅前の通りだけでも68軒がシャッターを下ろしている(2017年9月)。多分に「かくれ空き店舗」が集計に入っていない。お店によっては週に1度しか開店していないお店もあるという。現実は、お昼の稼ぎ時に閉めている飲食店も多い。この「大垣市中心市街地活性化基本計画書」が、いかにいい加減かが、よくわかる。

 

「空き店舗の減少」のウソ

 空き店舗は増加中である。それを胡麻化している。かくれ空き店舗が増大中である。現実に大垣駅前商店街だけで138軒中で68軒の61%が、シャッターを下ろしている(2017年9月現在)。

 

「まちゼミ」の愚策

 「まちゼミ」をして、だれが喜ぶのか。実務を知らないお役人が書いて絵空事である。「まちゼミ」への参加総人員256名で、どれだけ売り上げが増えるのか。現在の残存店舗数71店舗で割れば、1店舗あたり3.6名が参加の「まちゼミ」で、成功裏に終わったと自画自賛の解説がある。それで、どうして売り上げが増えないのか。何故大垣市が衰退し続けているのか。そんな方策で商店街が活性化すると信じているのか。計画自体が、「絵にかいた餅」が明白である。「まちゼミ」開催には大垣市民の税金が投入されている。顧客は魅力ある商品・店舗を求めているが、現実は大垣市長の愚策のため魅力ある店舗が皆無に近くなった。顧客は、中心街の印象についてのアンケートで、12項目中の最下位の項目で「魅力ある商品・店舗」として4.3%の回答しかない。それだけ商店街に魅力がないのだ(p37)。

 

「p37」等の数値は、「大垣市中心市街地活性化基本計画」(全153頁)の掲載ベージである。

 

添付資料 活性化基本計画 181.pdfをダウンロード  

 

2017-12-31

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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