エイリアンとの闘い
マイクの位置決めで一騒動
2017年12月3日、大垣フォーラムホテルでの「クリスマスコンサート2017」のリハーサルで、ヴァイオリニスト天野千恵さんの演奏風景を撮影した。そのとき、私は天野さんの後ろ上部のマイクスタンドの姿が気になって、その位置を変えるように音響担当者にクレームを付けた。ところが、「ヴァイオリン演奏の収録では、この位置が常識で、公共放送の演奏会でもこの位置だ」と変更に抵抗をされた。
天野さんに私が撮影した画像をカメラ液晶画面で見せたら「イヤ~だ! まるで後ろからエイリアンに操られているようだ」という。それから、マイクの位置を、前や下や横に色々と変更してみて、やっと目立たず、収音にも影響のない位置を見出して、天野さんも納得して演奏を開始することができた。いままで何年もこんな不細工な風景のマイクスタンドで人目に晒していたのかと呆れた。
音楽という芸術作品
後でこの件を確認すると、公共放送の演奏会でのマイク位置は、確かにその位置ではあるが、その位置はずっと上で、上から吊り下げてあった。そのため、カメラには映らない様になっていた。今回のホテルの会場では、そのマイクを上から吊り下げるのではなく、マイクをステージ上のスタンドからぶら下げる構成であったので、その姿が演奏者を後ろから襲うエイリアンの姿であった。音響担当者は、あくまで音だけに関心があり、全体でどういう風に観客の目に映るかには、気が回らないようだ。私は、演奏の風景の絵として、美しくなく雰囲気が台無しだと感じて苦情を呈した。音響効果担当者も芸術家の範疇である。芸術家なら、音楽という作品作りで、自分の音響の分野だけの視野ではなく、もっと広い視野で、物事を観察して欲しい。音響効果担当者も、もっと美的センスを持って欲しい。見た目の美しさ、照明の全てに対して、美的感覚で気を使って欲しいと思う。どんな美味しく素晴らしい食材でも、センスの悪い器では、その味が不味く感じる。
これは全ての仕事の通じる話である。プロなら、自分の担当分野だけでなく、関連分野にも気を使うべきだ。
エイリアン(営利闇)
専門家は、自分の分野だけの損得で視野が狭くなりがちである。それがエイリアン(営利闇)で、己の利益しか考えない姿である。現在のグローバル経済主義者も同じく、エイリアンである。自分達だけ儲かればと、社会全体の利益には考えが及ばない。己たちだけの利益を確保するゲーム理論分野で、ノーベル賞が授与される経済学者が頻出しているが、実際の社会では貧富の差は拡大して、多くの人が不幸になっている。なにかおかしい。ノーベルさんも墓場の中でお嘆きだろう。
2017-12-05
久志能幾研究所 小田泰仙 e-mail : yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp
HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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