« 教育重視の大垣の家風 | メイン | 習字人生と書道人生の差 »

2017年10月22日 (日)

縁の努力よりも、縁の選択が重要

 敬縁は人生の心がけである。縁を敬う努力は大事であるが、それが良縁か悪縁かを見分ける眼力をつけて、縁の選択がもっと重要である。時にはそれが生死を分ける。悪縁は自分の人生を地獄に引き落とす。2013年2月、ほぼ同時期に、師の奥様と昔の上司の妻からの便りを受け取った。この文面ほど、「文は人なり」を実感した手紙はない。その文面から伝わる人間味の温度差に、人格の格差を感じた。私の母は、苦労して養った彗眼で、当時の上司の妻の言動を見て酷評していた。その正しさが20年経って証明された。

 

師の奥様の温かさ

 80歳の現役(2013年当時)で師の片腕として活躍されている奥様の文面の温かさには感謝です。若い頃、師は原田観峰師(1911~1995)の京都で、月給6万円の薄給で師事し、奥様は長崎で書を教えながら5人の子供を育てる苦労をされた。師が京都から長崎に帰るだけで旅費4万円が飛ぶ。そんな奥様が、私みたいな若造を「小田先生」と呼んでくださる。

 片や、夫が役員であったのを鼻にかけて、昔の夫の部下を上から視線で見下し、冷たい手紙をよこした。知人に見せたら、「上から視線の手紙だね」と知人は感想を言った。還暦を過ぎた大人を捉まえて、文面中で「幸夫さん」とよぶ無神経さである。手紙の書式も、気候の挨拶で、「冷たい天候」との子供まがいの表現である。その手紙で、私が思い出したくもない写真を20年経ってから無神経に送り返してきた。昔の写真などは、自分がネガを持っているので不要である。この妻の人間性と知性が垣間見える。夫が役員であったという色眼鏡を鼻にかけたまま(下を向くと色眼鏡がずり落ちるから)、ふんぞり返ってこの20年間を生きてきた。不幸なのは夫である。

 

会社人事とは上司の好き嫌い

 こんな妻も制御できない人が組織の上に立つと、部下が不幸になる。1974年から1年間、机を並べて、同じ仕事をした仲間が、この上司による好き嫌いの人事異動で、性格的に全く合わない海外の営業部に飛ばされて、それの心労が原因で病気になり、54歳で浄土に旅たった。会社の人事・出世とは、個人の能力差ではなく、上司の好き嫌いに起因する。私は、上司の妻の人格を見抜いていた母のお陰で、命拾いをした。母はそんな上司にも、私のために盆暮れのお中元お歳暮は欠かさなかった。合掌。

Photo  

2017-10-22

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

コメント

コメントを投稿