マッチポンプの大垣市長
怠慢を美談に捻じ曲げ
2017年10月29日に配布された11月1日付『広報おおがき』で、10月24日の台風被害での室村町アンダーパス水没の記事が掲載されていた。その内容を読んで、呆れた。この広報では、今回の水没事件の原因が、建設以来62年間も水没に対する対策を放置した大垣市行政の怠慢であることを報ぜず、今後の再発防止策も報道せず、市が積極的な水防活動をしたとして、大垣行政の怠慢が美談に化けていた。適正な事前の防災対策があれば、こんな活動は不要である。記事では単に、市長と国会議員が視察をして防災に力を入れているポーズを見せているだけである。それで「市は、今後その治水対策として何をするか」が未記載である。まさにマッチポンプ的宣伝記事であった。まるでひとごとの様な記事である。過去62年間、大雨が降れば、室村町アンダーパスと林町アンダーパスの水没は頻繁である。大谷川周辺の浸水対策工事も必要なのに、それにはほうかむりして、後追いの視察をしたと大威張りである。なにかおかしくないか。まるで某国の将軍様の視察報道である。『広報おおがき』が市民に対する情報伝達である以上、市民に対して付加価値がある情報でないと、広報紙の無駄使いである。読む方にも時間と人件費というお金がかかっている。情報とは、「情けの報せ」なのだ。
大垣の治水課題
室村町アンダーパスから僅か西630m距離の木戸町アンダーパスは、今回の大雨でも水没はしなかった。それは大雨に対して適正に排水設計がされているからだ。既存の大垣市経済活動の基幹道路にあるアンダーパス(室村町と林町)に同様な改修工事もせず、「節約」と称して何も手を打たないのは、市長として市民に対する裏切り行為である。新市庁舎に大金を投じて建設するより、大雨が降るといつも冠水する地区の治水工事が緊急課題である。それが理解できなければ水の都の大垣市の市長の資格はない。時間がなかったのではない。時間は62年間もあった。「平成29年度 大垣市予算主要事業一覧表」を見ても、「国道・県道の整備促進」の項目でも本件の改善予算の項目はない。
それはまるで下記2000前のシナの居酒屋火事の故事と同じである。消火活動に当たった人だけを褒めて、火事の危険を事前に指摘した人を無視した愚かさを諫めた寓話である。今の市長は2000年前の故事に出てくるシナの居酒屋主人にも劣る。
図1 11月1日付『広報おおがき』
真の恩人はだれか
昔のシナのある国でのお話し。ある国で居酒屋を経営していた店主に、客の老仙がそのお店の囲炉裏の傍に火事になる危険性がある状況を指摘して注意を喚起した。しかしその店主は、「分かった分かった」と言ってそれを無視して商売を続けた。あるとき指摘通りに火事が起こり、その場にいた客が大騒ぎをして火を消し止めた。店主はそれに感激してその客に過分なるお礼をしたという。その危険性を教えた老仙には礼一つ言わなかったという。
真の対策とは
火事が起きたら火を消す対策ではなく、火事が起こらないような体制にする。大雨が出ても水没、冠水、浸水しないような対策をするのが真の対策である。
人生の師は、我々が歩む道先での事故を耳にタコができるほど繰り返し忠告して正しい道を示してくれる。そしてその指摘を無視して弟子は指摘通りの事故を起こし、その火消役の仕事人(医者・消防署・警察署・助っ人)にお世話になって、感謝をする。しかしその火消役は、火事の防止にはなにも貢献していない。本当に礼をすべき人は、自分のことを心配して、口が酸っぱくなるほどに諫言をしてくれた師なのだ。多くの人は、そんな諫言をいう福の神を、貧乏神扱いして遠ざけている。諫言を遠ざけ不運の種を発芽させたのは己である。それを逆恨みさえする類の不祥事がマスコミ上で飛び交っている。昔も今も人間の本質は変わっていない。諫言に耳を塞ぐのは誰か。今の大垣市長は頭が高く、人の話や諫言を聞かない、と言う噂がある。事実がどうかは不明だが、そういう噂を立てられること自体が不名誉で、不徳である。大垣市の不幸である。
図2 耳中常聞耳逆の言 馬場恵峰書
地獄界と天上界を現世から観る
政治とは、そのまま放置すると庶民が地獄に堕ちる世界を天上界に導く手段である。天上界のあるべき姿と現状の乖離を無くする仕事が行政である。無為に過ごせば水害や災害にあいやすい西濃地区を、災害の心配のない生活環境を実現するのが行政の責任である。昔から三大河川が頻繁に氾濫する西濃地区は、輪中という堤防で自分達の村を守ってきた歴史がある。災害に強い国作りと産業の衰退を防ぎ、新しい産業の誘致・振興を援助する役目が行政である。災害が起きたらそれを修復するのは、単なる対処療法である。火事が起きたら消火をする、発熱に解熱剤を飲むのと同じである。根本原因は何も解決していない。その前に対策を打つのが知恵ある行政マンである。アンダーパスが冠水したから通行止めにする、消防団が出て警戒する、では未来に対して何の解決策にもならない。それは後追いの対処療法である。大雨が降れば被害が出ることが明白なのに、市長がしゃしゃり出て視察をして、如何にもやっていますとのアピールをするのはマッチポンプ行為である。消防団が出て警戒しなくてもよい環境、市長が視察に行かなくてもよいような治水環境整備が市長の役目である。
図3 人生の課題と問題 地獄界と天上界
真のあるべき行政
真の行政とは、その存在が意識されないような行政である。昔のシナで天子が身を隠して市井の民に今のまつりごとを質問したら、「天子様のまつりごとなど知らない。おれは幸せに暮らしている」と言った。政治の存在が分からないような政治が、真のよき政治なのだ。このことは2000年前のシナの史書に書いてある。現状とあるべき姿の乖離が課題であり、それを解消する役目が行政の責任者の務めである。問題の火が出てから火を消すのは愚者である。賢者は火が出ないようにする。今回の災害に対して、今の大垣市の姿勢を問いたい。現代の政治家の多くは、問題の真因は放置して、しゃしゃり出て自己アピールをする。黙ってやるべき仕事を遂行して欲しい。経営能力のない政治家がやるべきことをせず、トンチンカンな口出しをするから、おかしくなる。そういえば、東京都政もおかしい。
偉人の治水事業
1966年から1981年まで活躍した故松野幸泰氏が、岐阜県知事、国会議員、大臣を務めていた時には、伊勢湾台風を教訓とした治山・治水等の安全な県・国土づくりを推進させた。当時、大垣市に隣接する安八町を、行政の力で治水工事を完成させて、今まで大雨毎に浸水に泣いていた同地区を水害のない町に変えた。その後、同町の水害は聞かないし、今回の大雨でも無被害である。それでこそ、水を治めるものが国を治める、の鑑である。今の大垣市にはその恵みがない。
図4 大垣市室村町アンダーパス 2017年10月24日撮影
いつも冠水の注意表示がある。
図5 大垣市木戸町アンダーパス 2017年10月29日撮影
10月24日冠水無し。冠水の注意表示なし。
2017-10-30
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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