722.「鰻掴み理論」の結論は禁酒
お酒は時間と命を削る鉋
食べ物は胃、腸で消化されるが、酒は薬物を分解する工程の肝臓でしか、分解できないので、世界保健機構(WHO)は薬物として定義している。だから宴会とは薬物パーティである。私は原則、禁酒をしています。「薬物」としてのお酒は、頭の回転を乱し、時間を削る鉋である。そんな薬物に対して、いかに自制するかが時間創造である。そもそも肝臓は、アルコールを9~12mℓ/H時しか処理できない。大人の適量は、日にビール大瓶1本(633 mℓ).日本酒で1~2本、ウイスキーで1~2杯というが、この分量では3時間も「薬物酩酊状態」に陥る。薬物酩酊状態では時間創造は不可能である。
だから、お酒の適量はせいぜいワイン一杯(アルコール度12%)、ビール350 mℓ ( 同5%)、日本酒(同15%)半合である。宴会で禁酒をする場合は、「私は酒が飲めません」と言うか、「私は酒を飲みません(will)」と宣言するかで、意味は違う。あくまでも自分の意志(will)を明確に宣言すべきである。
「時間は最もユニークにして、かつ乏しい資源である。これをうまく活用できないものは、他のどの資源も活用することはできない。」ピーター・ドラッガー
鰻掴みの理論
胃の内面の壁は、ウナギの外皮の状態に似ている。胃は自分の消化液で自身の胃壁の消化を防ぐため,表面にぬるぬるした保護膜で覆われている。それはウナギの外皮に酷似している。手では掴みにくいウナギを扱うため,手に塩を付けるか、アルコールでウナギの外皮を拭くと、容易にウナギを掴める。これと同じ状況が、塩けの多い食品を食べたり,つまみ無しに酒だけ飲んでいる時に、胃の壁に起きている。塩けの多い食品やアルコール単品で胃に入ると、胃の保護粘膜が除去され、自身の胃液で胃が傷められる。この刺激が長年続くと、胃ガンとなる。従来日本人のガンで胃ガンがトップであったのは、濃い味噌汁や漬物に代表される塩辛い食品が原因であった。試験として、純粋アルコールを細胞に注射すると、細胞が萎縮するのが観察される。アルコールを飲む場合は、事前にコーンポコタージュや牛乳を飲んで、胃壁を保護するのが欧米の家庭の知恵である。
2001年初春,父が胃ガンの初期と診断され,その縁で上記「鰻の外皮理論」を後藤悦夫先生から教えられた。知恵は人生の危機に対して予防の杖を与えてくれる。無知は人生に壁を作り、破滅の道に導く。
赤ワインの勧め
中国首都医科大学名誉教授の佐藤富雄氏は、そのお酒の中でも、赤ワインを別格として勧めている。これはあくまで薬としての話である。
酒は「毒にも薬にも」なると評されるが、どんな理由であれお酒は体にとって「薬物」である。薬物を分解するプロセスでしか、お酒は分解できないという宿命をもっているので、世界保健機構(WHO)ではあくまでも薬物として定義づけている。それゆえ肝臓には薬物代謝として確実に負担をかけることになる。
だだし、そのお酒のなかでも、赤ワインだけは薬理効果がある。赤ワインの原料となるブドウの木は、直下型で地下十数メートルまで根を張っていて、その根は地下水を汲み上げている。一方、日本酒やビールの原料となる米や麦の根は、わずかの長さしかない。それでも表土のところからミネラルをはじめとする栄養分を吸収し、穀物としての成分を作っている。しかしブドウの木は10年くらいかけて途中の奥深く根を延ばし、地下水を汲み上げているのだから、果実に蓄積されるミネラルは米麦の比ではない。
ワインは、地下水から吸収する栄養分で育てた果汁だけで、発酵させていく。しかし、日本酒はお米を蒸してそれを麹にして、さらに水を加えて発酵させている。ビールも原料が違うだけで、基本的製法は似たりよったり。こうしてワイン以外のほとんどのお酒は原料である穀物に水を加えて醸造している。だから加水せず、脱皮をしない赤ワインはまさに「純天然」である。
(佐藤富雄著『「積極人間」は早死にする』中経出版(1997))
赤ワインは、鉄分が多く、昔は貧血の薬として使われたくらい血液を補う働きがあり、血行を良くする働きがある。赤ワインは日本薬局方(医薬品の品質に関する国の法令)に収録されている薬です。「血液中の善玉コレステロールLDLに、活性酸素が結びつくと、善玉コレステロールの酸化LDLに変化する。赤ワインはこのLDLが酸化しにくくする作用がある(国立健康・栄養研究所 板倉弘重部長が1995年5月の日本栄養・食料学会で発表)。白ワインはブドウの実だけを搾って作られるが、赤ワインは、ブドウの皮も一緒につぶして作られる。この皮の渋みの成分はポリフェノール類の化学物質で、これが熟成して活性酸素を取り除く薬効が出ると推定される。(『壮快』1995年8月号)
J型曲線のピットフォール(落とし穴)
お酒は脳を不健康にする。そんな研究結果が最近英国のオックスフォード大学から出ました。適量でも長期間継続的に飲酒していた人は、全く飲まない人やほぼ飲まない人に比べて、脳に異常が出てくることがわかったのです。記憶を司る海馬という脳の大切な部位が、お酒を飲むとその飲酒量に相関して萎縮していたのです。すなわち、お酒を飲めば飲むほど記憶力が低下するリスクが高くなるのです。
飲酒と健康についての昔の疫学研究はJ型曲線を示していました。アルコールの消費量を横軸にし、健康アウトカムを縦軸にしたグラフでの結果です。健康アウトカムとして心筋梗塞と脳梗塞をとると、全く飲まない人に比べて、適量の飲酒者は、それらの病気になりにくいという結果を示していました。そのグラフの形がJ型だったのです。
しかしながらこれらの疫学研究にはピットフォールがありました。原因と結果が逆転していたのです。体力が弱って病気の人はお酒も飲めなくなりますね。そのような人々も含めてグラフにするともともと病気の人が非飲酒者群に含まれてしまうことになります。
このような原因と結果が逆転してしまうような現象を取り除いて分析してみるとJ型の形は消失し、正の相関を示す直線となったのです。すなわち少量の飲酒でも心筋梗塞や脳梗塞になりやすくなるということが判明しました。お酒はまた、クモ膜下出血や脳出血のリスクでもあります。
メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』より
http://www.mag2.com/m/0001657727.html?l=aqy09907be
私は医師でないので、正誤は論じられません。私が得た情報を公開します。判断は各自にお任せします。
酒は人類の敵である。聖者曰く「汝の敵を愛せよ」
『時間創出1001の磨墨智』より
2017-08-05
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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