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2017年8月19日 (土)

インプラント 33(経営スタイル)

3.33 経営スタイルから判断

PS経営(president satisfaction)と CS経営・ES経営

  この医院の経営はPS経営(=ワンマン経営)ではないかと思う。従業員(歯科医師)は院長の方ばかりを見ていて、患者(顧客)を見ていない。それは、院長の言動、今回の歯垢取り処置での苦情、院長写真、 デンタルガイドブックからの分析である。トップの言動、思考が組織の行動を決める。その背景には、利益率の高いインプラント手術を手がけるので、実際に儲かり、経営が甘くなり、天狗になっていると思われる(市内の某社長も天狗との表現で批判をした)。

 

顧客不満足度100%

 顧客の商品に対する不満足は商品そのもの質の問題ではなく、客として人間性無視の扱いをされた場合の影響が極めて高い。それがその組織のトップがする行為は、その組織の全体を象徴している。

 歯垢を取る処置で4本目の歯にかかった時、向こう側の席にいた院長が「○○くーん、ちょっと来てくれ~」との声が聞こえ、その男性歯科医は今の処置をおっぽり出し、その院長のところへ飛んでいった。処置中の患者には一言の断りもなく、である。院長は直前に私を診察して、部下の医師に歯垢を取る処置を任せたのだから状況を知っているはずなのに、である。私の人間性無視の行動である。院長は、処置中の患者のことは全く考えていない。

その後、女性の歯科医が引き継いで歯垢を取る処置にかかったが、彼女からも一言の挨拶も説明もなかったし、医師同士での何処まで終わったかの引継ぎの基本的な会話も聞こえなかった。不安になったが、弱い立場の患者の身ではいかんともしようがない。患者はまな板の上の鯉の立場である。慌てて引き継いだためか、女性の歯科医は男性の歯科医よりも技量が低いのか、いつもより数多くの痛い思いをさせられて歯垢取りの処置が終わった。まるで工場のコンベア作業のようで、この医院にとって患者とは養鶏所のお金の卵を産む鶏と同じであると悟った。その時は不快感を抱きながらもそのまま黙って帰宅したが、今は思い出すたびに怒りがこみ上げてくる。

 

 後述の「経営理念」の項目でも内容を検証したが、理念が不完全であるので、こんなことが起こるのだろう。企業経営の貴重な研究事例となった。理念では歯の恒久的維持は謳っているが、そのために患者の人間性は無視されている。歯の恒久的維持とはインプラントを念頭に置いた概念のようだ。それが経営理念に反映しているようだ。

 

従業員満足(ES)

 医療部門での経営だから、一般の経営とは違うが、最近従来の顧客満足(CS)に対して従業員満足(ES)の側面の価値を問う経営が注目されている。例としてネッツトヨタ南国の経営目的は、顧客の満足度を高めての車販売数増大ではなく、従業員の幸福度の向上である。その過程で、従業員が自主的に会社をよくする改善・活動を展開し、結果として顧客満足度が上がり、車の販売が最高になるという新しい経営価値を創造した。その成果を評価して「日本経営品質賞」を受賞している。ネッツトヨタ南国の経営は、モノ余りの時代に対応した車販売での新しい経営方式である。歯科医院が乱立している時代には、それに対応した新しい経営方式が求められる。PS経営では破綻を迎える恐れがある。

 

参考 ネッツトヨタ南国の経営目的

 ネッツトヨタ南国の経営目的は、顧客の満足度を高めての車販売数増大ではない。経営目的は、従業員の幸福度の向上である。その過程で従業員が自主的に会社をよくする改善・活動を展開し、結果として顧客満足度が上がり、車の販売が最高になるという新しい経営価値を創造した。車が最高に販売できたのは、目的ではなく、結果である。お客様は満足(CS)しただけでは商品を買ってくれない。モノ余りの現代では、お客様に感動を与えないと、購買意欲は起こらない。自動車業界また地方企業としては初めて、顧客本位の経営に贈られる「日本経営品質賞」も受賞している(2002年)。あくまで社員満足度が最優先で、その根本が価値観の追求である。その結果が顧客満足度の向上で、その結果として業績が上がる。

 

日本経営品質賞:

日本企業の競争力向上を目的として、お客さま視点に立った企業改革を実現し、卓越した業績を生み出す「経営の仕組み」を持つ企業を表彰する制度・同賞は、米国の競争力回復の因となった「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞」を範として、(財)社会経済生産性本部が主体となり1995年に創設された。

 

2017-08-19

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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