佛が振るチェッカーフラグ
一生を人間として生きたい。周りが自分の老いを教えてくれる。自分の愚行を佛様が老いだと教えてくれる。それは天の声である。人生道第四コーナ突入で、チェッカーフラグを佛様が振る。その旗の合図を見落とすと、コース逸脱して、人間失格となる。
「人間」とは人と人の間で生かされる存在である。生あるものは生老病死、何時かは老いる。その状況で、己はどう戦ったのか。その老いる中、少しでも世の為に恩返しをしたい。老いても生を楽しみ、健康状態を保って天寿を全うしたい。健康とは体と心の健やかさをいう。寝たきりや、認知症に罹るとは、人間としての死である。それは己が鬼となって家族を生き地獄に突き落とす非道の行為である。
65歳以上になれば15%は認知症である。己が老人の惚けを笑っても、いつかは笑われる身となる。人間としての誇りとして、笑われないような生き方をしたい。その為の健康管理に最大限の精進をしたい。惜しまれて、良き思い出を残して、最後まで現役として逝くべし。最終周回コースでの走行では、佛様は順位ではなく、完走を望まれている。
全日本学生フォーミュラ大会で沈没
『ものづくりによる実践的な学生教育プログラム』として全日本学生フォーミュラ大会が、自動車技術会の主催で毎年9月に静岡県エコパ(小笠山総合運動公園スタジアム)で開催されている。その中で完走するチームは30%と少ない。準備不足で、ゴール直前で沈没するチームを多く見る。中には火災まで起こすチームがある。人生のマサカである。そこに人生のゴール間際の象徴を見た。まず、完走することの難しさが体験できる全日本学生フォーミュラ大会へのチャレンジである。
私は自動車技術会の会社事務局として、この大会運営のお手伝いのため出張した。いわば佛として、学生たちの1年間の卒業研究のプロジェクトの成果を拝見する立場であった。事前にやるべきことはフォーミュラカー運営規約で公開されているが、100余のチーム中で、その車検が通らないチームが10%にも上る。いくら手間暇かけて製作したフォーミュラカーでも、車検が通らなければ、コースに出れず1年が無駄になる。またその中で完走できるは、わずか30%に過ぎない。完成品のエンジンを協賛メーカーから提供してもらって、自作のボディに組み込む。基本的にメーカーからの自動車部品の提供を受けて作り上げるフォーミュラカーである。それは過去15回も実施されいるから、先輩のアドバイスを受ければそんなに難しいことではない。それが走る前の車検で1割のチームが沈没し、走り始めても2/3が途中で沈没である。まるで会社人生の修羅場をくぐって、定年まで完走できる人が1/3であるのと似ている。私の前職の同期も定年時に1/3しか残っていなかった。考えてしまった、よくぞ定年というゴールに無事着いたものだと。自分で自分をほめてやりたい。
犬も認知症になる
単身赴任のSさんが久しぶりに家に帰ったら(2016年)、飼っている犬が自分のことを認識しないのに愕然としたという。もう17年も飼っている犬で、人間に換算すれば80歳にもなる。前に帰ったときは、声をかけると嬉しそうに腹を上にして撫でろとジャレついてきた。それが今回は様子がおかしい。どうも目も見えず、主人の声の記憶も失われたようで、悲しくなったという。人の恩を忘れないという犬さえも認知症に罹る。親でも認知症になれば子供の顔を認識できない。それは最大の子不幸者。
図1 認知症に罹る比率 日本経済新聞 2014/07/09
図2、3 学生フォーミュラ大会で走行中のフォーミュラカー (2008年9月11日) ゴール直前で沈没のチームも多くある。
図4 火災を起こした学生フォーミュラカー
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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