« ピアノ騒音殺人事件 1/3 | メイン | ピアノ騒音殺人事件 2/3 »

2017年7月 5日 (水)

カモがネギを背負ってやってきた

文章から見る人相

 私は文章の一字一句や体裁、表・グラフの書き方等から、その文書、稟議書、計画書等のレベルを評価して、作成者の人物像・能力を占っている。スキのない書類は、各面への考慮が滲み出ているから,当然その文書の本質では充分に検討がしてあり、信頼に耐えうると判断できる。当然の結果として、作成者は仕事の出来る人である。

 

 ところがこれが逆だと、内容はおろか,そのデータの信頼性まで疑ってかからねばならない。この情報が含まれている前提で文書をチェックすると、落とし穴にはまる危険性が少ない。普通の住居でゴキブリが一匹目についたら、その家には100匹のゴキブリが住むと言われる。同じように書類で一つの間違いが目につくと、他にも多くの間違いがあると考えるのが自然である。そんな書類をそのまま上司に出したら、チェックした自分の能力や仕事の責任が問われる。

 

 旅館の女将や水商売の女は、客の靴を見て人物を判断するそうだが、ビジネス文の判断でも同じ手法でものが言えると思う。私はこの手法で文書内容や著者の誠意を計る大きな判断指標の一つにしている。経済や自然界の事象でも、僅かな変化と材料でその将来や全体像を推しはかる能力が求められている。文章の内容判断でも同じことである。

 

 これは小さな依頼業務の出来ばえで、その人の仕事能力、神経、熱意が全てわかると同じである。これこそ全てのビジネスの事象に適用できる。それが分からなければ、貴方の感性が鈍く、危機管理意識が薄いのだ。僅かな変化やおかしいと感じる力、これも危機管理である。それが自分や組織への危機を未然に防いでくれる。社長の自分一人では、なにもできない。そのとき誰に何を頼むかで、プロジェクトの成否が決まる。社長の貴方はそういう風に見られているし、見なければならない。だから自分の仕事を決して手抜きをしてはならない。それこそが、危機管理の基本原則である。

 

 

カモがネギを背負ってやってきた。

 

 2017年5月末、簡易書留で私宛てに脅迫状まがいの文書が届いた。その内容は私の所有地と相手側の境界線に絡む問題であった。しかしその内容を見て笑ってしまった。あまりのお粗末さに呆れ、正規の対抗処置を司法書士と相談しながら、牙を磨いていた。その後、6月初旬、2回目の脅迫状が内容証明付きでやってきた。こんどは大笑いである。文書のプロの私に、こんなレベルの文書を私に送り付けるのは、カモがネギを背負ってくるようなもの。

 その文書も公式文書として通用しない。私が「恐れながら…..」と相手に社長に訴え出れば、この欠陥文書を送り付けた店長の首は間違いない。

 このように、文書の書き方如何で、人の首さえ切ることができる。自分が切られる恐ろしさもある。別に刀が無くても文書で人を殺せる。ビジネスマンの武器は文書である。ご用心、ご用心。鉄砲は、目の前の敵だけが相手であるが、文書は全世界を相手に戦える飛び道具である。それが私の商売である。

 

一通目の文書は、下記問題と齟齬が多すぎて公式文書として通用しない。

・民法に照らして、間違った住所の記載では対象物件の住所が特定できない、

・指定された物件は「駐車場」でなく「車庫」(駐車場は建物がない物件)、

・自社の会社名をも間違えている(濁点の変換ミス)、

・日付がない、

・管理文書番号がない、

・会社代表者の印がない(上司承認印がない)、

・担当者のフルネームがない(姓名だけ)、

・担当者の印がない、

・担当者が現地を確認していない(事実誤認がある)、

・まだ被害が出ていない段階で、損害の話をするのは脅迫まがい、

・一方的な施行指示の文書である、

・文書のタイトルがない、

・日本語がお粗末な文章でおかしい、

・この物件は50年間以上もどこからも苦情を受けていない。

問題があるなら、この問題を売買契約書で「重要告知」で承認したはず。

 

二通目の文書も、下記の問題があり公式文書として通用しない。

・書いた日付と郵便局受付日に齟齬がある。

・問題となった対象物件の番地が間違っている。

・県名が間違っている。

・代理人の印が明らかに三文判。

  後日、当の委任者に見せたら、この文書は初めて見たとのこと。

・現地の確認、当事者同士の話し合いもない状態で、損害賠償の予告通知を送り付けるのは、日本の常識に照らして脅迫に値する。

・署名欄に会社印もなければ、上司の社長印もない。

・送り付けた封筒に手書きの住所記載(会社なら社の住所印を押す)

・司法書士が調べたら、相手の建屋は登記がされていなかった、、、、

  当事者が騙されて不動産屋から買わされたようだ。

 

またこの会社のホームページを見て笑ってしまった。会社のHP、会社案内、名刺を見れば、その会社の概要とレベルが露見する。著作権の関係で、それが引用掲載できないのが残念。

 

相手の不動産屋の身元調査

 この会社は過去2回の宅地業者として免許が更新されているが(司法書士が調査)、3回目が通るか大いに興味がある。私が、当局に「恐れながら・・」と通告すれば、何らかの影響はあるだろう。そんなバカなことはしませんがね。会社創業10年後に、95%の会社が消える(国税庁資料)。他人事ながら心配になってきた。

 

現地確認・当事者同士の話し合い

 それから、司法書士に相談して、返信の文書を作成してもらい、6月中旬に内容証明付きで当事者に送った。今回のかかった費用は交通費等を含めて3万円弱。だれがその費用を負担してくれるのか、怒れてしまう。まあこれは国防費に相当する必要経費を思わねばなるまい。司法書士に指導されて、その回答書は業者には送らなかった。送れば、相手の思うつぼカモしれない。6月下旬、現地に赴き、業者を除いて当事者同士の話し合いをして、本件は穏便に解決した。相手の当事者は、この手紙の内容を全く知らず、大恐縮の平謝りであった。当事者の本人は直接、私と話したいと相手の業者に言ったが、それを業者は強く止めたとのこと。当事者はその業者に怒り心頭であった。

 

後日談

 本件を訴訟の観点で司法書士に相談したら、「相手は、敢えて会社の印を押さず、非公式文書として、自筆の住所で書類を送り付けたと言い訳する含みがある。あくまで依頼人から依頼を受けて出しただけの手紙で、裁判になっても会社は関係ないと逃げる。そのスジの危ない仕事をやっている不動産屋みたいで、その辺はわきまえている。」と。

 手紙の書き方があまりにお粗末なのは、その業界のレベルである。そんな人しかこの業界には入ってこない。こんなレベルの文書でも、大抵の人はビビッてしまうだろう。この種の問題は、正しい知識で、不当な要求には弁護士や司法書士のプロと相談して、毅然として対処すべきである。また経営者の皆さんは、部下の文書の確実な管理が必要です。それは会社の存亡に関わります。存亡でなくとも、会社の信用問題に発展します。

 本当は、原文をしかるべき部分を塗りつぶして掲載したかったが、相談した司法書士に止められた。あえて身を危険にさらすことは愚かであると納得した。

 

その筋のお方の手口

 ある料理人から聞いた話で、その筋のお方がホテルのレストランで座っていて、コーヒを運んでいたウエイトレスに、わざと動いてそのコーヒを少しこぼさせ己のスーツを汚させたという。普通はクリーニング代だけで済むのだが、そこはその筋のお方「新品のスーツをどないしてくれるんや!」とドスノ効いた声で言いがかりをつけた。ホテルマンは隣の高島屋に連れていかれて、数十万のスーツを買わされて弁償させられたとのこと。その筋のお方は、そういうお金は保険で下りることを熟知しており、ホテル側もわきまえて対応するとのこと。それで誰も損をしない。かようにその筋の方と絡むと恐ろしい目に会うので、早々に手を引いた次第です。持つべきは知識と、弁護士、弁理士、司法書士である。素人の生兵法は危険であることを学んだ。この歳になって、まだまだ知らないことばかりです。もしかしたら、私がカモになっていたかもしれない。あな恐ろしや。

 

2017-07-05

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

著作権の関係で無断引用、無断転載を禁止します。

コメント

コメントを投稿