ピアノ騒音殺人事件 5/12(改定)
見せびらかしのご縁
2013年、還暦を過ぎた身で、40年前からの夢であったグランドピアノを買う決断をした。お店の人には「見せびらかしで買う」と冗談で言っておいた。ピアノが特注品なので、ヤマハ本社から「ピアノの先生が買うのですか?」とヤマハ販売店の小川課長さんに問い合わせがあり、本社にその旨を伝えたら、「エッ?エッ!!」と絶句されたと小川課長さんが笑っていた。
誰に、特注ピアノを見せびらかすのか。自分である。グランドピアノを見て豊かな気持ちになり豊かな行動がとれる。それでこれからの人生が豊かになれば十分に元は取れる。それがご縁で、生の演奏会にも行こうかという気にもなる。ピアノ全集のCDも買う気になる。その費用を稼がねば、という動機付けにもなる。福の神のご来宅である。借金も財産のうちである。日本経済活性のお手伝いである。いざとなったら、得意技の借金踏み倒しをすればよい? 残念ながら?ヤマハさんはピアノ購入は納入前全額支払い制のため、この手が使えなかった。ヤマハさんはしっかりしておられるわい。
その反対に、安いピアノを買って毎日それを眺めていたら、「自分は甲斐性がなく、こんな安いピアノしか買えなかった」と自分を責めて、貧乏臭い考えに陥り、貧しい行動しか取れなくなる。浮いた金が無駄遣いに消える恐れもある。貧乏神がすり寄ってくる。ピアノを買う目的は、惚け防止と音楽鑑賞である。指先を使うことは、脳の活性化に繋がる。また高級オーディオに金をつぎ込むより、本物のピアノで自動演奏を楽しむほうが、お金の節約となる。高級オーディオは金食い虫である。陳腐化も早い。しかし今回の最大の誤算は、ピアノの自動演奏機能が無駄になったこと。レッスンを受け始めたら、自動演奏の出番が全くなくなってしまった。やはりピアノは自分で弾くと楽しい。
ピアノを買うとは、そのために家屋と人生時間の設計をすること。桐ケ崎町の火事のあった翌日の2013年10月28日から、予定通りピアノと書庫のために家の改築に入った。ピアノ騒音殺人事件が念頭にあり少し回り道をしたが、近所への迷惑防止を前提に防音工事を完璧にした。また床の補強、部屋の増築等でかなりの出費となった。床の補強は、蔵書3.4トン(ダンボールで170箱)に耐えるための処置である。それもご縁である。この工事業者が火事の隣のカーテン屋さんである。10月5日、防音工事の打ち合わせのためカーテン屋さんのレクサスで大建工業名古屋ショールームに出かけた経緯がある。その後、彼と目前の納屋橋ヤマハ楽器店に寄ったのもご縁です。
クルミの木とのご縁
この特注ピアノ(2013年10月13日正式発注)は、一般的な黒のピアノではなく、材質がアメリカンウォールナット(クルミの木)である。このクルミの木は北米を産地として、落ち着いた濃褐色の木目を持つ。クルミの木は狂いが少なく精密で粘り強いのが特徴である。趣味の問題として、音楽の楽器が真っ黒けのケの黒よりは、ウォールナット色のほうが様になると思い、敢えてウォールナットにした。
2013年10月10日、長崎の馬場先生宅を知己塾受講のため訪問したら、近所の大工の新立さんから珍しい木だよと言って、クルミの木のブランク表札を渡された。その時閃いて、馬場恵峰師に私の雅号の表札を揮毫してもらった。以前に馬場先生に普通の表札(桧)を揮毫して頂いた。新立さんが今回、偶然クルミの木のブランク表札を提供してくれたのがご縁である。聞けば、たまたま珍しい木が入手できたとのこと。
土台の基礎からの工事
改築の一環として、今までの改築で床をめくったら、ふろ場、台所、居間、座敷、仕事部屋が白蟻に喰われてしまったのが判明して、全て床からやり直すことになった。今回の元応接室を改築してピアノ室兼書庫にするにあたり、下から湿気が上がってこないように、地面にビニールを敷き、コンクリートで固める工事とした。また24時間タイマーで、床下換気をする換気扇も設置して万全を期した。
またピアノの重量に耐えられるように、床のネタも普通の倍の量にして強度を上げた。壁の強度も上げて、総合的に家の耐震強度向上を兼ねた工事とした。
白蟻業者の選定
当初は出入りの業者の進めるままの白蟻業者にお任せしたが、経営者仲間から助言があり、別の業者に見てもらったら、点検のレベルが格段に上なので急遽、業者を変更した。その業者はお風呂から二階に登っている白蟻の跡を調べて二階の点検までしてくれた。また、白蟻点検後に床下の撮影データまで提供してくれた。
和歌山のカレー殺人事件の影響で、ヒ素が使えなくなり、シロアリ駆除の薬品の有効期間が5年となり、5年ごとに駆除薬の再塗布が必要になったことを知った。カレー殺人事件はとんでもない事件であった。
防音工事
窓は二重のペアガラスで、更に二重のペアガラスの内窓を付け、電動シャッター付きで、厚いカーテンを付けた。これでも人の声は聞こえる。道路に面した部屋なので、これで良しとするしかない。
こだわりの畳敷き
このピアノ室には畳をひいた。普通の家でピアノを置く部屋がないから、畳の部屋のピアノを置くケースはよくある。しかし新規でピアノを置くため畳を敷いたのは稀有だと思う。この改築をしたピアノ室はフローリングの床であるが、畳を入れる予定で5センチ床を下げて床の工事をした。その上に吸振マットを敷きピアノを設置した。その周りに畳を敷いた。結果として猫足のピアノにはよく似合っている。やはり日本人には畳が最高である。
今回の改築の一環として、家の全室を畳の部屋に改築した。廊下も台所も畳敷きにした。台所では、汚れるので畳敷はご法度かもしれないが、汚れてもその分だけの畳を取り換えれば済む話で、問題なく使っている。畳敷きの台所は食事をしていても何か落ち着く。
図1 ピアノ室の増床改築工事
図2 コンクリートを打つ前にビニールを敷き、ワイヤーを敷く
図3 ミキサー車でコンクリートを打つ
図4 床の吸音材の設置
図5 天井の吸音材の設置
図6 天井の音響板
図7 換気装置。部屋が密閉構造になるので必須。
図8 床下の点検写真(座敷の床下の白蟻の被害)
図9 フローリングが完成。窓はこれから内窓、シャッターを設置
図10 防振マットを敷いて、その周りに畳を敷く
図11 畳を敷いて、ピアノの型紙で設置位置を検討
2017-07-12
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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