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2024年11月10日 (日)

第4回みとりし講演会(1)、84にして83の非を知る

 

 11月7日、第4回目の「みとりし講演会」を開催した。平日でもあったので、参加者は4名のみで少々寂しくはあった。しかしこの種の講演会が大入り満員はおかしいので、参加者が少人数でも、啓蒙活動を根気よく継続することが大切だと思い、開催を継続している。

 

84にして83の非を知る

 講演会後の感想を述べる場で、84歳のご婦人が「私は73歳まで、この看取りの作法を知らなかった。この話は84歳で初めて聞いた。今まで、この作法で看取れなったのが残念に思う。だがこの講演で、今まで83年間を生きてきて、良い人生だったと思うことが出来た」と。

 私だって、この看取りの作法は72歳で、初めて聞いた。多くの人は皆同じレベルだと思う。だから一人でも多くの人に、この件を知って欲しいと、この上映会・講演会を開催している。(春と秋に、年に4回開催予定)

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  11月7日、第4回目の「みとりし講演会」  木戸町多目的ホールで

  場面は、乳がんで亡くなった妻を抱く夫の姿
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看取りの作法

 安らかに逝かせてあげる。抱きしめて感謝で見送ってあげる。

 映画の中での実例では、乳がんで死亡宣告された妻を、夫は7時間も抱き続けた。夫は子供達に「お母さんに触ってごらん、まだ温かいよ」と。

 

 枯れるように倒れれば、苦しまずに逝ける。

 無為な延命処置をしない。延命処置は、本人を苦しめるだけ。

 

    よく働いた一日は安らかな眠りを誘う

    よく働いた一生は安らかな死を賜う   (ゲーテ)

 

 死後24時間はドライアイスを入れない  

  医師が死亡を宣告しても、生物的にまだ半分は生きている。

  医師は法医学的に心肺停止と瞳の拡大だけで死を判定する。

  死亡時刻を確定しないと、遺産相続等で争いとなるからだ。

  死亡宣告後、24時間以内ならまだ体は温かいし、耳も聞こえている。

  日本国内なら24時間以内に駆けつけて、看取りの作法が出来る。

 

 小川みさ子さんの尊父は99歳で亡くなられた。

 みさ子さんが正式の看取りをされ、死亡宣告後、9時間後に孫が親に連れられて来た。まだ体は温かかった。みさ子さんは孫に尊父の背中に手を入れさせ、その温かさを確認させて、最後のお別れをさせた。

   

国の寶

 自分が生まれた10世代前に1024人の親がいる。13世代前なら4096人の親がいる。その一人でも欠ければ、自分はこの世に存在しない。

 生きているだけで、自分の家系のかけ外のない存在である。

 「毎日、真っ黒になって働き、時が来れば静かにこの世を去っていく。それこそが国の寶である。財宝や珍宝が国の寶ではない。

 「国宝とは何か。道心(悟りを求める心)を持つ人を名付けて国宝という。ゆえに古来の哲人は「径1寸の珠10枚は国宝ではない。世の一隅を照らす人が国宝である」と言う。— 最澄、『天台法華宗年分学生式』

 真っ黒になって働き、税金を納めて国を支える。それが日本人の勤勉な魂である。才能が無くても、業績もなくてもよい。生きて働いて、家族と国を支える。それだけで国の寶である。

 

 

2024-11-10  久志能幾研究所通信 2966号  小田泰仙

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