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2024年6月 7日 (金)

リーウェイ「馬と鹿のねずみ講」、狸道の尻尾が見え隠れ

 

経緯

 先日、知人に誘われてリーウェイジャパン㈱の「馬と鹿、友の会」の事業説明会に参加させられた。場所は高級中華レストラン、参加者は10名ほど。その席で豪華な中華料理(4000円と推定)を振る舞われた。この料理は、「会社が無料提供している」と恩着せがましい広報があった。それだけ儲けているようだ。

 後から推察するに、会員には参加させる動員ノルマがあったようだ。

 

 私は、その説明内容とパンフレットに違和感を覚えた。パンフレットを見ると、鹿の胎盤を原料としたサプリメントを販売する会社である。無限連鎖講(ねずみ講)のような商売である。ニンジンを鼻先にぶら下げて、泡沫利益を煽る競馬商売のようだ。

 常識で考えると、化けた狸の尻尾が見え隠れする。「馬と鹿、友の会」とは、私が付けたあだ名である。正式名ではない。

 

 

京都での事業説明会

 その1週間後、京都で事業説明会があるからと再度誘われた。返事をあいまいにしたら、知人の会員が外車で自宅にお迎えに来て、京都まで拉致?された。心ならずもその事業説明会に参加する羽目になった。そこでこの会社の本質を垣間見ることが出来た。やはり「現地現物」である。虎穴に入らずんば虎児を得ず、である。

 

 京都支社の会場は、70名ほどの金儲けで目が血走ったおばさんたちの熱気で満ち溢れていた。億単位で稼いでいるカリスマ教祖が登場するとのことで盛り上がっていた。カネに飢えたおばさん達の生々しい現実とその手口が観察出来て、良き社会勉強ができた。

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 「現地現物」とはトヨタ生産システムの用語で、問題が起きたら、自分の足で現地に行き、自分の目で完全に状況を把握することである。

 

 

営業禁止命令

 「リーウェイ」をネット検索すると消費者庁からの告知がすぐ目に入る。リーウェイ㈱は薬事法違反、マルチ商法違反、無限連鎖講(ねずみ講)法違反で、消費者庁から2021年8月3日に6ヶ月間の取引禁止命令、業務禁止命令を食らっている。ネット検索で直ぐヒットする事件である。

連鎖販売業者【リーウェイジャパン株式会社】に対する行政処分について | 消費者庁 (caa.go.jp)

消費者庁 https://www.caa.go.jp › notice › entry

 

日本で法律違反をした場合

 無限連鎖講を開設し、又は運営した場合は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金 又はこれを併科業(一定の目的をもって同種の行為を反復継続的に行うこと)として無限連鎖講に加入することを勧誘した場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金 又はこれを併科

 無限連鎖講に加入することを勧誘した場合は20万円以下の罰金(1回勧誘しても違反が成立する)

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会社概要

 事業説明のある会社概要パンフレット上では、資本金不明、株主数不明、年度毎の売上高不明である。この会社は2018年にシンガポールで設立して、「2018年には6,700億円もの売上を達成」とHPにはある。会社設立の年に、いきなり6,700億円の売上とは、常軌を逸している。何かおかしい。

 売上高推移不明、従業員数不明、役員不明、社長の経歴不明、監査役不明、株主構成不明、経営理念曖昧、株主配当率不明、である。要は株式会社の体を為していない。

 だだし日本支社の各場所は、東京、名古屋、大阪、京都、福岡の一等地である。カモを安心させる見せかけの手段のようだ。

 会社の口頭の説明では現在、売上高9,000億円、従業員数40名だそうだ。それはどこにも印刷物として記載はない。2020年に日本支社立ち上げで、4年後に9,000億円の売上である。社員一人当たり250億円の売上である。おかしい。

 その主体は会員が個人事業主として活動して、会社は表に出てこないシステムのようだ。

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巧妙なシステム

 日本の歴史上でも、ネズミ講の詐欺は何度も起きている。そのため今回のケースでは、詐欺が直ぐ露見しないように巧妙に進化を遂げている。そのネズミ講の実例をみることが出来た。

 例えば、商品の押し付け販売ノルマはない。在庫ノルマもない。上層部の会員は規定の数を買ってしまうと、次回は一番下階層の会員から購入しなければならぬシステムとなっている。上級会員だけが一方的に儲かるシステムを改良して、早期の破綻を防いでいる。ねずみ講は総会員の数で制限され、いつか破綻するが、リーウェイ㈱は全世界に販売先を広げているので、その破綻までの期間が長くなる。

 その展開先は、薬事法の規制が緩いアジアの発展途上国からである。欧州ではポーランドに飛び火?した。ポーランドはショパンコンクールで世界的に有名ではあるが、先進国ではないだろう。2020年に日本に進出した。いわば日本も発展途上国扱いにされたようだ。

 

 

売上高の異常

 「2018年には6,700億円もの売上を達成」とHPにはある。会社設立年に、いきなり6,700億円の売上とは、常軌を逸している。何かおかしい。

 私の前職の会社は、創業60年目で、従業員が5,000人、過労死寸前まで必死に働いてやっと売上高5,000億円である。一人当たりでやっと売上高1億円である。それも世界一の自動車会社トヨタの第一次サプライヤの会社で、である。

 リーウェイ㈱の売上高は、それからみてあり得ないほどの異常である。説明会に来ていた一般の主婦では、その異常さが分からないだろう。だから一般の主婦を騙すのは、「赤子の手をひねるようなもの」のようだ。

 

必要な鹿の数

 サプリメントの売上高9,000億円とは、価格61,500円のサプリメントを1,463,415個売る事である。売上高9,000億円が日本だけなのか、創業以来の全てか不明だが、それでも販売分の鹿の胎盤の材料が必要となる。一頭から10個分のエキスを抽出するとしても、鹿が10万頭単位で必要である。そんなに材料を抽出する鹿が存在するはずがない。現在、日本の鹿の存在数は、全国計99,033頭である(2023年)。

 

事業説明のパンフレット

 その事業説明のパンフレットで、会社の説明が2頁、経営理念が1ページ、商品説明が3ページ、個人事業主の説明(ネズミ講)の説明で9ページ、会員規約が10ページ、支社と連絡先が0.5ページである。

 このパンフレットの紙面構成で、会社がどこに力を入れているかの意図が明白なる。要は、販売商品はどうでもいいのだ。会員拡大が主目的である。

 健康サプリメントの説明で、効用の臨床データは全く記載されていない。

 それに対比して、ネズミ講の配当に説明は微に入り細に入り、詳細に説明されている。意図は明白である。

 

経営理念

 この会社の経営理念は、漠然とした概念を言っているだけで、まともな文体ではない。具体的な行動目標があるわけではない。

 私は2004年に日本創造教育研究所の「経営理念塾」5日コース(宿泊5日、費用約35万円)に参加して、経営理念とはどうあるかを学んだ。それから見るとデタラメの経営理念である。

 

メイン商品

 主な販売商品は鹿の胎盤を原料としたサプリメントである。私は原価を千円と推定した。それが60カプセルで、一か月分で61,500 円である。お勧めの推奨販売セットは7個セットで398,800円である。シンガポールやマレーシア、台湾、フィリピン、ミャンマー、東南アジア地区でも世界統一価格で日本価格と同じである。日本には、アジア諸国の後に進出している。

 顧客として毎月このサプリメントを飲めば、1年で72万円である。日本人でもこの値段では、毎日、常用するのは経済的に難しかろう。まして東南アジア地区で、収入が日本の数分の1の状態で、同じ値段で販売するシステムが成立するのが異様である。だから、サプリメント商品を売るのが目的ではなく、ねずみ講の会員にするのが目的であると私は判断した。

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絶妙な価格設定

 このねずみ講の一番下のクラスの価格は61,500円である。最高クラスの値段は7本セットで398,800円である。この値段は神戸にある宗教法人の入会金と同じであることに気が付いて驚いた。購買心理で、40万円を超えると抵抗があるが、39万円なら、騙されても許せるか、試してみるかという気にさせる絶妙な価格設定である。

 この神戸の宗教団体は、一度入会すると、後日色々と名目を付けて計2千万円ほど搾取される。脱退しようとすると、信徒が押し寄せていて「脱退すると無間地獄に堕ちるぞ」と家の回りで大騒ぎをするという。おそろしい宗教団体であった。

 

社長

 社長の林汶鋒(代表)はシンガポール在住の華僑である。ビデオで見る限り、典型的な華僑の風貌である。観相学的に好きになれない良くない顔である。観相学を少しかじった身で判断すると、典型的な拝金主義者的な顔である。

 どこを探しても、林汶鋒(代表)の経歴が記載されてない。ホームページ上の欄は意図的に空白である。

 

紹介者

 この会を紹介してくれたのは、人の良い主婦である。彼女達に会社法や無限連鎖講(ねずみ講)禁止法律やマルチ商法禁止法律に知識があるとは思えない。だからその被害の歴史も知らないのだろう。主婦はリーウェイ㈱には格好のカモである。無知は人生に悲劇を呼ぶ。

 

2024-06-07  久志能幾研究所通信 2864号  小田泰仙

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