自分編集の解体新書は重量800㎏
私は新聞、雑誌、週刊誌、月刊誌を再編集して一つの書として読んでいる。私には、新聞や週刊誌などが、貴重な情報源である。しかし読むべき箇所、残しておくべき箇所は数ページだけである。それをそのまま残せばかさばってしまう。またそれを次に読むとき、余分のページまで見なければならぬ。それを避けるため、必要なページだけ切り抜いて、A4クリアシートに挟んで、読んだ時間順に10㎝幅のA4ボックスファイルに放り込んでいる。
1つのボックスファイルで約10㎏。その数が80個、総重量で約800キロである。それを随時入れ替えながら繰り返し読んでいる。その資料が不要と判断すれば、そのファイルだけ廃棄である。だからこの新書は日日更新されている。これは世界唯一の私が編集する現世情報の「解体新書」である。
これで56個のボックスファイル
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『解体創智』
わずか数百円の雑誌や週刊誌で、全てのページに読む価値が詰まっているはずがない。本でも同じである。僅か千円ほどの本で、読むべきか所は数頁だけである。
数センチの分厚い月刊誌『文芸春秋』でも項目別に分割してバラバラにすれば、厚み数ミリの資料になる。それをA4クリアシートに入れれば良いだけである。
私は必要な記事を雑誌から切り抜きしてファイルしている。本は必要な個所を抜き書きして京大カード化している。それを40年間の継続して、現在、約64冊、総重量で約640キロ、京大カードは1万枚に「成長」した。私が読破した本や雑誌を解体し、まとめて編集して作り上げた。これは私だけの世の中の雑学の解体新書である。これを『解体創智』と名付けた。
その中には10年分の"International Herald Tribune"紙も含まれる。私が奈良県の勤務地に転勤になった時、この英字新聞を購読した。聞けばその市での購読者は私一人であったという。この英字新聞は私の英語の師の後藤悦夫先生からの推薦であった。その構文が、テクニカルライティングの勉強になるとの理由である。
この『解体創智』の各ページは、有名な著者の記事やゴーストライターが書き上げた名文が並んでいる。なかなかに人生の訓言や戒めの言葉も多く、読みごたえがある。健康情報も下ネタさえもある。その中から、有名人の記事や、流行の話題を別ファイルにまとめている。それから私の著作活動のヒントを得ている。
更に、参加した講演会資料、演奏会、購入した機器のカタログ、大事な領収書もクリアシートに入れて放り込んである。この資料群は、いわば私の行動の歴史の記録でもある。それを読み返すと、当時、こういうことをしていたとの日記にもなっている。
厚み26mmの『文芸春秋』でも、特集部だけを切り取ると厚み4mmのファイルになる。
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創造とは
創造とは、過去のアイデアの解体と結合の産物である。新発明は、天才だけに可能だが、創造は凡人でも可能である。ソニーのウォークマンだって、過去の技術を再分解して再統合した産物である。決して新しい発明があったわけではない。音楽レコード盤は発明だが、ウォークマンは創造である。
創造の「創」とは、「倉(きず)」と「リ」(砥石と刀)から作られた象形文字である。このきずとは刀傷である。刀傷で出来た傷跡に焼酎を吹きかけ、さらしを巻いてなにくそと頑張る姿が、創造の世界である。その傷口から新しい細胞が生まれて、傷口を埋めていく。傷だらけにならねば、新しものは生まれない。
週刊誌、雑誌、新聞記事は人間模様の傷口の歴史である。その人類の失敗記録から、新しい智慧が生まれる。その失敗は、他人が自分の代わりにしてた貴重な失敗記録である。それを他山の石として活用しよう。それが智慧となる。
2023-05-03 久志能幾研究所通信 2679号 小田泰仙
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