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2022年12月24日 (土)

人生の選択 貴方は専属運転手? 後部席の社長?

時間赤字人の社長

 ある会計事務所の社長が法事のため新潟から長崎まで、高級車で往復したという話を聞いて呆れた。なんでも高級車を購入して、数年で10万㎞を走ったという。ますます呆れた。距離は片道約1600㎞で、電車利用なら乗車時間10時間の長距離である。

 確かに高級車なら長距離移動でも疲れが少ないし、運転していて楽しいだろう。しかし人生収支の会計計算では、大赤字である。彼はお金持ちかもしれないが、時間貧乏である。だからその考えのため、自己中心的な考えに陥り、人様の時間を無駄にする行動が目立つ。彼は「時間は命」が分かっていない。

 時間は常に赤字である。   P.F.ドラッカー

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社長の責務

 お金があるのだから社長として後部座席に座って移動なら納得できる。しかし自分が専属運転手として、それをやったら人生収支が赤字に転落する。社長としてやるべきことが別にあるだろう。社長には社員の生活が懸かっている。しかし運転中は何もできない、考えられない。運転中は運転以外を考えてはいけない。運転中は、人生で一番大事な時間が無為に使われ、失われる。運転は楽しいのかもしれないが、その代償が大きすぎる。長距離を走れば、事故の確率も増える。

 交通事故は走行距離に比例して、一定比率で発生する。どんなに注意をしても貰い事故が発生する。車は走る凶器である。歳を取れば自分の注意力も減少する。意識せず、油断して走った時、事故は起こる。事故を起こせば、人生収支の破産も有りうる。

 〔事故発生件数〕=〔走行時の事故率〕×〔走行距離〕 

 彼は社長として金があるからやっているのだろう。カネがあるから幸せではない。単に中小企業の社長業のストレス過多で、高級車を買い、ストレス発散のため必要以上に自己運転で走り回っていると推察した。彼は不幸な人だと思う。車は中距離までなら便利だが、長距離では逆に不便で、自分の運転で移動するに適した移動手段ではない。社長は自分の趣味を優先してはならない。従業員の幸せを優先すべきである。

 これは個人の価値観の相違だが、私は30㎞以上の移動は電車である。電車なら移動の間に考え事や仕事ができる。車ではそれが難しい。車移動では、事故の恐れも時間ロスも生じる。昔の車の少ない時代ならともかく、これだけ車が増えると、車での移動は時間がかかるのだ。また社長として、彼の背中には社員の生活が懸かっている。死亡事故で起こせば、社員が路頭に迷うのだ。

 

社長の死

 2010年頃、私と一緒に経営者研修をうけたM社長が大型バイクでツーリング中に転倒し死亡した。彼の年齢は60歳以上だったと記憶している。その会社の見学もさせてもらった仲である。社長の趣味として、大型バイクのツーリングには違和感を覚える。前職の会社では、バイクは事故率100%で、社員は利用禁止であった。社長が死亡したその会社は、幸い娘婿の専務が優秀であったので、社長業を娘婿が引き継いで事なきを得た。社長の死は会社存続に影響するのだ。

 

2022-12-24  久志能幾研究所通信 2573  小田泰仙

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