寝室で浮気はダメよ
寝室は眠る場所である。頭と体を休める場所である。そこはテレビを見たり、スマホをいじったり、横になって考え事をする場所ではない。そんなことをすれば、寝室のご本尊である観眠菩薩様に対して浮気をすると同じ。毎日の眠りにつく儀式は、永眠のための事前練習なのだ。
よく働いた一日は、穏やかな睡眠を誘う。
良く仕事をした人生は、安らかな永眠を賜まう。
若くして死ぬと、生木を裂かれるような苦痛を味わう。
やるべき仕事ができず死ぬから、未練が残る。
やることをやり切って、枯れるように倒れると、苦しみはない。
仕事とは
「仕事」とは、「事に仕えること」で、世の中に付加価値を生み出す奉仕活動である。カネや土地、企業を転がして金儲けをしても、世に付加価値を生み出せない。その存在は、あぶくと同じで、世の中に必要が無くなれば、消滅する存在である。
日本衰退の原因
今の日本の停滞は、日本人が単に前ほど働かなくなった(仕事をしなくなった?)のも一因である。日本が高度成長していた時代は、日本人はモーレツに働いている。それに賛否両論ではあるが、その事実は明らかである。欧米が日本を働き過ぎだと攻撃したのは、欧米の陰謀である。欧米が付いていけないからだ。
また脇が甘く、世界は魑魅魍魎のすむ世界なのに、性善説を信じたが故、開発した企業機密をダダ洩れになり、競争相手がその情報で急成長したのを許したのが、日本が衰退した原因である。そもそも技術者というお宝を大事にしなかった咎である。
日本再生のため、「よく死ぬために」も、我々は危機管理を厳密にして、頭を使って、もっと働こう。知恵を使って、働きかたに変えよう。
生涯現役
馬場恵峰先生は94歳まで現役として、ばりばりと仕事をされ、後世によきお手本を多く遺された。一昨年末、一ケ月ほど寝込まれて、2021年1月1日に安らかに永眠された。よき人生のお手本であった。
仕事中の恵峰先生。私の撮影ではこれが最後の仕事姿。 2020年2月14日
その後、コロナ禍で長崎に行けなくなり、仕事中の写真はこれが最後となった。
漢字学者の白川静先生も、89歳の時から(1999年3月から2004年1月まで)地元京都で「文字講話」を2時間年4回ペースで全20回行われた。その講演内容は『白川静 文字講話』(全4巻)にまとめられた。
私もそれのツメの垢でも味わおうと、その講演ビデオと著書を入手して研究した。
その続編の希望が相次いだので新たに講話を4回行ない、2006年10月初頭にその続編の著作校正を済ませて入院された。同年10月30日、内臓疾患(多臓器不全)により逝去された。96歳没。翌年に(結果として遺著となった)『白川静 続文字講話』が刊行、生涯現役を通された。
両先生共、90歳を超えて、生涯現役を通された。お二人とも枯れるように倒れられた。後進に背中で指導をされた。
「文字講話」ビデオと著書
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睡眠の意味
睡眠とは、日中の仕事でカオスになった脳内情報を整理・整頓・清掃・統合して脳内のゴミの情報を捨てる作業である。
同じように、睡眠中に体内の細胞が新陳代謝で、老廃物を捨て、成長ホルモンで新しい細胞に命を与える作業を行う。
寝室の安眠対策
だから私の寝室には、テレビもラジオもスマホも家具もない。ベッドがあるだけである。非常用の固定電話だけは置いてある。
家具がないのは、地震対策である。安眠中に地震で家具が倒れ、それで圧死で永眠してはシャレにならない。
ベッド際の時計も音声時計で、暗闇でも手探りでボタンを押せば、音声で時刻を教えてくれる。真夜中に電灯をつけたため、覚醒してしまうこともない。
窓も夏の早い朝日で目が覚めないように、窓は特注のベニヤ板で封鎖して、真っ暗な部屋にしている。それで朝の4時に朝日の明るさで目が覚めることはない。
それで良く熟睡できる。お陰で体調を整えて寝ると、夜にトイレのために起きることもない。
永眠の練習?のため、毎日、死んだように眠りについている。残念だが、翌朝、6時間経つと、自然と目が覚めてしまう。理想的にはもう少し寝ていたいが、加齢現象のせいか、寝られない。
今にして後悔の山、睡眠の失敗
昔の会社勤めの時代は、劣悪な睡眠状態であった。往々に仕事で行き詰まると、敢えて電灯をつけたまま床に入り、その問題点と解決策を堂々巡りで考えていた。
悩みの多い時は、深夜ラジオを聞いてうとうとしていた。
そんな状態では熟睡できるはずがない。体に良いわけがない。
その昔、ある研修でゼロ泊3日の地獄の研修を受けたことがある。朦朧とした頭で考えて、プレゼンをさせられる。しかしそれが本当に良かったのか疑問である。講師の言い分では、受講生を睡眠不足の状態に置き、理性ではなく脳の深層から出た本音で語らせるのが目的だという。しかし今でもそのやり方に疑問を覚える。
人間は幸せになるために生きている。それが仕事の為、金儲けのために睡眠を削り、結果として頭も十分に働かず、健康も害するなら、幸せになれない。それでは、本末転倒である。寝室では死んだように眠るのが正しいお作法である。観眠菩薩様に見守られて安眠しよう。
2022-01-11 久志能幾研究所通信 2269号 小田泰仙
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