死天王の萌し
いたるとこころに“萌し”はある
すべて事には“萌し”がある。その小さな萌しを鋭敏に感じ取り、対処しなければ大事に至る。ヒト・モノ・カネがあるべき姿にないときはピンと直感し、原因をつきとめなければならない。変質の萌しをつかんでこそ、真の仕事といえよう。
松下幸之助翁
死の萌しと現実
先日、前職のОB会総会案内が届いた。そこにこの一年間の訃報者の名簿が記載されていた。そこに仕事仲間の4名の名を発見して愕然とした。明日は我が身かと….。
一番縁の深かった元上司の名があった。2年年上の方である。運動好きで、日本各地のマラソン大会やハワイマラソンにも出かけた人で、健康優良児であった。それが早くも亡くなられてしまった。
もう一人は、前職の時の隣部署の部長で、私と同い年である。関連会社の社長を務められた。体格の良い方で、元気いっぱいの人で、そんなに早く亡くなられるとは想定外である。
13歳上の元副社長も亡くなられているが、まあ年功序列で自然である。私がスウェーデンの自動車工場に出張の時、上司として激励に現場に来てくれた方であった。
5歳上の方で、電気屋の元課長さんも亡くなられた。我々の宴会会場に「お前らは象牙の塔でぬくぬくしている」と酔って喧嘩を売りに来た人だが、本音で言いあったら、その後、逆に仲よくなったという因縁があった。寂しい限りである。
冒頭の2人の死は、人ごとでないと感じて、死の萌しを感じざるを得ない。
世の中の萌し
人が人になるのを目指していても、現代では拝金主義者の死天王が徘徊している。死天王の萌しに気がつかないと、人が人と成る前に、成仏させられてしまう。その萌しに気づくことが、人としての目覚めである。
過食、過酒、飽食、添加物まみれの食、過剰医療により認知症、ガンに犯された人は増える一方である。40年前に10兆円であった日本の医療費は4倍に増えたが患者も4倍になっている。だれが儲けているのか。その根本原因になる健康に害のある食品を拝金主義の業者が世に溢れさせている。
認知症の萌し
認知症患者は65歳以上の15%にも及ぶ。自分が自分でなくなってしまう恐ろしい病気である。認知症とは生きまま仏になることである。本人は極楽であるが、家族は地獄である。私は意識明瞭の人としてあの世に旅立ちたい。
世も末
グローバル経済主義病のブラック企業の経営者から生血を吸われて鬱や病気に犯される人も多く、自殺に追い込まれる若者も多い。ブラック企業に就職をせざるを得なかった己の学業の怠慢が一因である。
立っている土台の崩壊
グローバル主義に犯された企業の経営者も格差の拡大で企業基盤と国家基盤が揺らいでいる。企業と従業員は運命共同体であることを忘れていると、昔の王侯貴族のようにその存在自体が崩壊するのは歴史の証明である。その兆がEUの移民問題、欧米の格差社会である。
偏向報道、洗脳番組、痴呆番組に取り付かれると、自分で考えることが出来なくなり、国の誤った政策に押し流されて、老計、死計も砕かれ下流老人に成り下がる。
自分の城は自分で守れ(石田退三)
自分の健康は自分で守れ。命を全うして、現世では人として命を永らえるべし。あの世に行ってから、佛になるべく佛道に励めばよい。あの世では時間は一杯ある。現世では人として最期まで現役で社会に貢献すべし。それが「成人」(じょうじん vs 成仏)になる修行である。あるべき姿でないことを教えてくれるのが宗教である。今は成人になれず「小人(ことな)」のまま成仏する人が多い。せめて大人になって欲しい。人生最大の仕事は、己の命の全うである。
馬場恵峰書 日中文化資料館蔵
2021-11-26 久志能幾研究所通信 2220 小田泰仙
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