両界曼荼羅で自分探し
曼荼羅は、サンスクリット語のnandalaの音写した言葉で、本来の意味は“本質、中心、真髄などのもつもの“を表し、仏教では仏の悟りとその世界を意味する。特に密教においては、聖域、仏の悟りの境地、世界観などを仏像、シンボル、文字、神々などを用いて視覚的・象徴的に表した図をいう。
人生の俯瞰図
曼荼羅は日本密教の教えの中心ともなる大日如来を中央に配して、更に数々の「佛」を一定の秩序にしたがって配置した人生の俯瞰図である。「胎蔵曼荼羅」(胎蔵界曼荼羅とも)、「金剛界曼荼羅」の2つの曼荼羅を合わせて「両界曼荼羅」または「両部曼荼羅」と称する。
胎蔵曼荼羅が真理を実践的な側面である現象世界として捉えるのに対し、金剛界曼荼羅では真理を論理的な側面である精神世界として捉えている。こういう概念を1300年も前に曼荼羅の図に表した創造者の知恵には、畏敬の念が起こる。
生きている意味
胎蔵曼荼羅には様々な姿の佛の御姿が表されている。一人ひとりの佛にも意味がある。各々の佛が曼荼羅の世界でその場所のお役目を果たしている。自分が歩む人生で、与えられた時代とその与えられた場所で、佛としてのお役目を果たすのが、自分の使命である。己は何のために生れたか、自分探しが人生の曼荼羅である。人は生きているだけでも、佛の価値がある。
上図:胎蔵曼荼羅(岩田明彩師作) 松本明慶仏像彫刻展(仙台・藤崎)
松本明観師、岩田明彩師、(2014年11月20日)
2021-01-25 久志能幾研究所通信 1900 小田泰仙
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