離陸をしたら目的地まで着陸しない 磨墨知29
私が過去に設計業務に従事した時、DR(デザインレビュー・設計審査)で、全員の合意の基、やり方を決めて製品をラインに乗せようとしたら、後から文句を言われても、設計変更をさせられることが多かった。その原因は、その部品が少量多品種生産で、そのDRが真剣でなかったためであった。
要は、真剣でない設計審査であったので、離陸しても再度着陸しなければならなくなったのだ。
ところが自動車の部品の開発では、状況が変わる。自動車の部品の種類は、約4000種類、約3万点の部品から構成される。その生産量も、一部品で年間数十万個である。その部品の一点にでも問題が起これば、人の命にも影響することもある。リコール問題ともなれば、会社が倒産する危険性も出てくる。だから自動車の部品設計のDRは真剣である。
設計とは命の営み
だからDRの後に、文句を言うのはルール違反である。いまさら時間を巻き戻して設計変更をするのか? それは一度離陸した飛行機が再着陸をして装備をやり直す事と同じである。
真のやり直し策は、DRのやり方を見直すことだ。その製品の設計を直す話ではない。それは対処療法である。
トラブルの真因
トラブルの真の対策は、DRのやり方である。意見を仰ぐ師の選定の問題である。その経営判断をするトップ(師)が間違えればオシマイである。運命の女神は、雑音で右往左往する意志薄弱な者には微笑まない。己の人生経営の責任者は己である。100人いれば、100の意見がある。その中から、「人生設計の設計審査」に真の意見を言ってくれる師を探さねばならぬ。
人生の師
人生のやり直しがないように、人生設計を慎重にしよう。そのDRをしよう。その指導をしてくれる真の師がいますか? 私も師だと思って仕えたら、その人は単なる水先案内人であって、痛い目に会ったことがある。
だからこそ、3年かけて師を探せ、である。
人生二度なし、良き師の指導が必要だ。
2020-10-30 久志能幾研究所通信 1807 小田泰仙
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