磨墨知686-1. 「金はいくらでも出すから治して欲しい症候群」に罹らない
嘱託で動いている70歳の人が、末期ガンを宣告され、「まさか、何で私が」と絶句した。藁にも縋るように、医師に「金に糸目はつけないから治して欲しい」と懇願したが、医師は拒絶した。
それで治せるならノーベル賞である。絶望した患者は、「それでもお前はそれでも医者か、藪医者だ」と罵詈雑言を医師に浴びせて泣き崩れた。何処にでもあるドラマである。
70 歳といえば人生の酸いも甘いも味わいつくしたはずである。緊急事態に重過すると、それが破綻して本性が露見する。他山の石としたい事例である。
癌という病気
癌は幸せな病気である。国民の半分が癌になり、3割が癌で死ぬ時代である。癌が発症するまで長生きできるようになった証しである。その幸せを忘れて、じたばたするのは、わがままである。
癌は死ぬまでに、かなりの時間的余裕がある。突然、3.11の津波に流されながら、なす術もなく死を迎えた方に比べれば幸せである。死の前にやるべき後片付けの仕事は多い。それをできず、亡くなられた方の無念がしのばれる。
世界一の企業価値に成長させたアップルの創業者ジョブズ氏のすい臓がん、日本の名医が治療を担当した昭和天皇の腺癌、どれをとってもお金でガンが治った例はない。それを知っていても、「金に糸目はつけないから治して欲しい」というのが人間の性である。
生あるものは必ず死を迎える。それを意識して70年間をどう生きたかが問われる。死は急に決まったわけではない。生まれたときから、死は必然である。それから逃れた人はいない。
時間価値
人の時間価値は、(残りの人生価値)÷ (残り時間)で表される。
残り時間が沢山あるうちに、健康に留意して過ごせば、終末段階で悔いがない。人生の最期で焦っても、手遅れである。そうならないように、日頃の健康管理と精進が時間節約となる。
人生を正しく過ごすのに必要な設備は、体と頭脳と塊の健康管理である。体の健康管理を怠っては、頭脳の明晰化も魂の浄化もない。死んでもいいから健康でなければならない。死は人間には司れないが、健康管理は自分の手で制御できる。この世は因果応報。原因のない事象はない。その人の生活がガンを患うような生活習慣を長年続けて来たに過ぎない。
金に糸目をつけないお金があるなら、なぜ、金に糸目をつけず健康を維持するための投資をしてこなかったのか。病気や癌に100%ならない保証はないが、少なくともその確率は減らせたはず。
狂った生活、狂った食生活の改善
酒は飲む、タバコは吸う、夜遊びはする、飽食はする、運動はしない、ストレスは溜める、医師を罵倒する、これで、病気にならないのがおかしい。仏様も「そこまでは面倒を見られないよ」と仰せです。
自分の生き様の間違いに1日早く気づけば、1日の儲けである。それが大きな時間創出である。間違いに気づく前に、癌が発見されたに過ぎない。癌は身内の正常な細胞が細胞分裂で暴走を始めることで発症する。不規則な生活のツケが細胞に回され、弱い細胞が悲鳴を上げて、細胞分裂の暴走が始まる。身内の細胞をいじめた咎である。全ての原因は自分である。
2020-09-08 久志能幾研究所通信 1738 小田泰仙
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