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2019年9月15日 (日)

人生の墓標を建てる

履歴本の作成

 人生の再就職を目指して、履歴書ではなく、履歴本を作った(2015年)。今までやってきたことを少しの解説と写真をつけてまとめたら、履歴書ではなく20頁の小冊子の履歴本になってしまった。これはこの数年、自分史として書き溜めた文書(約300頁)の集約版である。

 履歴書としてまとめてみて、当時、半年も2年もかけて取り組んだプロジェクトが、たった1行に集約されてしまう。その一行に命をかけてきた懐かしい思い出がある。履歴書とは、自分が一瞬一瞬を生きてきた証の墓標である。どんなに栄華を極めても、最期に生きてきた証として残るのは墓標だけである。自分の名前が人の心の中にどれだけ長く残せるかが問われる。墓石や墓誌に書かれた名前のみが、現世と来世をつなぐ絆である。

 

叔父の履歴書

 私の叔父が、76歳になって履歴書を作成して、それを父の所に送ってきた。父の遺品を整理していたら、それを発見した。叔父は「父は43歳で、大津で死亡したことはご承知のとおりですが、その履歴書がないため、経歴がよく分かりません。そこで私は自分の履歴を子供達に分かるように履歴書を書きました。これをみれば私の歩んできた人生が大体わかると思います。」(平成元年7月12日に私の父が受領) 自分の両親の履歴は意外と知らないものだ。

 その履歴書を見て、叔父が原田観峰師から指導を受けて、免許を授かっていたことを知った。原田観峰師は馬場恵峰先生の師である。そこに不思議なご縁を感じた。私は今、馬場恵峰師に付いて指導を受けている。

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  原田観峰師の書 

  馬場恵峰卒寿記念写経書展写真集   「報恩道書写行集」(2016年)

  久志能幾研究所刊 p104

運命のからくり

 「天之機緘不測」(菜根譚)、天が人間に与える運命のからくりは、人知では到底はかり知ることはできまい。「だからこそ心機一転、日々大切に、年々歳々、生き活かされる人生を大切に、余生を正しく生きよ」と私は馬場恵峰師に指導された。

 人間の持つ生活模様の多様性が限度を超え、人生・生命観の実相、人間と動物を分ける生命の実相が、時代の喧騒の中で忘れられようとしている。恵峰師は、テレビ・スマホに代表される虚構上に舞う華やかな虚像に惑わされて、人間として大切なことを忘れているのではと危惧される。「時代の風潮に惑わされず、人間としての歩みを、一歩一歩しっかりと踏みしめて欲しい」と恵峰師は訴える。

 

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  馬場恵峰書

 

ご先祖とのつながり

 現世と来世は繫がっている。今の世が単独で急に発生したわけではない。原始生物から始まり、40億年の年月をかけて今の人間の姿になった。今の自分が急に単独で生まれたわけではない。多くのご先祖のご縁があって今の自分が存在する。多くの人のご縁があって今の自分に成長させていただいた。漆の表面を何回も上塗りするがごとくに、先人の技術や人徳の蓄積の上に、自分のささやかな貢献を塗り重ねることができる。その自分の存在も名前だけが後世に受け継がれて残る。

 

お墓つくり

 人生とは、はかないが故、今の生きている時間を大事に、という想いが新たになった。ご縁があり、その年の秋(2015年)に自家のお墓を再建することが出来た。お墓は作ろうとして出来るものではない。当初は、お墓を作る気は全くなかったが、出来てしまった! 正に「天之機緘不測」であった。目に見えない不思議なご縁のつながりで物事が進んでいることを実感した。

 お墓の字も馬場恵峰先生に書いて頂き、お墓の開眼法要に馬場恵峰先生ご夫妻が九州から来ていただけるご縁まで頂いた。感謝。

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2019-09-15   久志能幾研究所通信No.1338 小田泰仙

『志天王が観る世界』より

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