夢の中でも仕事をする
静岡市の伊勢丹で開催されている松本明慶仏像彫刻展(2019年9月25日~30日)で、松本明慶作の新製品(?)の「力神」を鑑賞した。
「魂(オニ)」の変形である「力神」は、ユーモラスな顔つきで、今までの「魂」とは違う新しいスタイルの作品であった。松本明慶先生から、この新しいアイデアの仏像(力神)の説明をして頂いて、思わず明慶先生に質問をしてしまった。「どこからそんなアイデアが出てくるのですか?」
明慶先生曰く「俺は夢の中でも仕事をしている。そこで浮かんだアイデアを起きてから、彫って形にする」と言われて感銘を受けた。
そういう環境から生まれた「魂(おに)」も、この数年間で10体近く作ってきて、今回の「力神」のアイデアが生まれたという。
仕事とは、「事」に「仕える」と書く。寝ても覚めても仕事を考えていると、素晴らしいアイデアが生まれてくるようだ。いい加減に「事」に仕えるから、アイデアが生まれない。芸術の創造者は、24時間365日、仕事の事しか考えない。芸術家はサラリーマンではないのだ。仕事師もサラリーマンではないのだ。労働基準監督署ことは知ったことではないのだ。
走る青鬼
その昔、華明(先生の奥様)さんが、雑誌のインタビューで、明慶先生のことを尋ねられて、「明慶さんは寝ていても、うわごとで、仕事のことを口走っている。明慶さんは「寝ていても走り回る青鬼」のような人です」と答えたとか。明慶さんが笑いながら、その説明をしてくれた。
仕事とは
作業や労働は生活の糧の為にやること。仕事は命をかけてやることである。作業や労働は、やり過ぎると疲れてしまうが、仕事はやればやるほど面白くなる。給与など考えては、やってられない。そうでなければ、それは仕事ではない。
仕事では、お金は後から追いかけてくるのだ。作業や労働は、金を追いかけ、お金に釣られてさせられるのだ。その違いを認識して、仕事に取り組むべきだ。
仕事をしながら寝ているのは言語道断? 反省
「力神」松本明慶大仏師作
「力神」と持ち上げている岩は一木彫り。上の不動明王は白檀製。
写真は松本工房の許可を得て掲載しています。
2019-09-28 久志能幾研究所通信No.1351 小田泰仙
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