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2019年6月26日 (水)

「大漁」の陰に大量殺戮あり

大漁

朝焼け小焼だ、大漁だ

大羽鰮(おおばいわし)の 大漁だ。

浜は祭りのようだけど、

海のなかでは 何万の、

鰮(いわし)のとむらいするだろう。

            金子みすゞ

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  馬場恵峰書「金子みすゞ 詩の世界 五十五恵峰選集」久志能幾研究所刊 より

 

 2019年6月24日、注文してあった中島潔画伯の「大漁」のリトグラフが自宅に納入された。これは先月のヤナゲンでの中島潔展示会で、最後の一枚だと言われて、つい買ってしまった絵である。まじかでこの絵を眺めていて、深刻な問題を連想し、それについて思索した。

 

大漁は大量殺戮

 表向きは、華やかな大戦果(大漁)と言われている歴史的事件に、裏から見ると悲惨な大量殺戮がある。それなのに意図的に歴史の闇の中に葬られている。それは欧州の大航海時代、アメリカの建国史、米軍の東京大空襲、中国の驚異的発展、オンデマンド臓器ドナー提供、現代の少子高齢化の問題である。

 

第三の眼は慈しみの眼

 この「大漁」の絵で、100匹以上も描かれている大羽鰮のその目は、全て白目である。大漁で捕獲された大量の鰮の死を表現している。この絵を見ていると、金子みすゞの優しい心が伝わってくる。その視点で歴史の事件を見ると、多くの裏の世界が見えてくる。慈悲の心が出れば、額の真ん中に付いている第三の眼を開く。

 何万もの死んだ鰮を見つめる女の子の眼は、慈悲に満ちている。観音様が慈しみで見つめている眼である。ミケランジェロのピエタのマリア様の眼と同じ眼差しである。過酷な運命に対してマリア様ができることは、ただ慈しみの眼で見るしかないのだ。ピエタとはイタリア語で慈悲という意味である。

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 中島潔画伯「大漁」

P1070127s   中島潔画伯「大漁」(部分)

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 ミケランジェロ「ピエタ」 著者撮影

 

輪廻転生

 何故、自分は人間に生まれたのか? 現代社会は人間謳歌であるが、少しDNAの配列が違っていれば、牛や豚に生まれて、人間に食べられる存在になっていたかもしれない。それを諫めた教えが、仏教の輪廻転生、因果応報、利他、小欲である。それはグローバル経済主義の対極の考えである。

 

血に染まったアメリカ建国史

 アメリカは、世界一の国と自慢しているが、そのアメリカ建国の陰で950万人のインディアン(現地人)が虐殺された。当時1000万人いたと言われるインディアンは、現在では50万人しか残っていない。インディアンが悪者の西部劇は、勝者の物語である。ヨーロッパから大西洋を渡ってきた落ちこぼれのヨーロッパ人(英国人)は、入植当時、インディアンにトウモロコシなどの栽培方法を教えてもらい、飢えをしのいだ。英国人はその恩人の土地を強奪して、恩人のインディアンを虐殺して、アメリカは建国された。アメリカにとって、新天地の開拓は、アメリカンドリームであった。それは「大漁だ、大漁だ」の宴であった。

 

ヨーロッパの大漁

 17~20世紀のヨーロッパの繁栄は、大航海時代と言われる。それはアフリカから現地人を奴隷として強奪し、アジアを植民地にしてその生き血を吸うことで実現できた。何万、何百万もの有色人種の財産を強奪すれば、大漁だ、大漁だと貴族生活を送ることが出来る。その陰で、多くのアフリカ人、アジア人の死があった。インドでは英国の植民地支配下で2000万人が餓死をした。キリスト教では、キリスト教徒以外は人間でないので、罪の意識もない。それは当時のローマ法王も黙認のことであった。

 

東京大空襲の大勝利

 米空軍カーチス・ルメイ大将の指揮で日本全土の空襲が行われた。米軍はそれで戦争を早期に終結できたと大自慢である。特に1945年3月10の東京大空襲では、単独の空襲では世界史上最大の犠牲者が出た。死者10万人以上、罹災者100万人以上である。ジェノサイドである。それなのに戦後、ルメイは日本の航空自衛隊の育成に貢献したとして勲一等旭日章が叙勲された。通常、勲一等旭日章の授与は天皇がされるが、昭和天皇はこれを拒否された。

 米軍は戦争を早期に終わらせれた大成果だ(大漁だ、大漁だ)と自慢しているが、その陰で、東京大空襲だけでも非戦闘員10万人以上の弔いがあった。ジェノサイドとして、中島潔画伯作「大漁」の鰮が、焼死した東京都民を思い出させてくれた。 

 

天安門事件の陰

 天安門事件で、約1万人(英国情報局の調査数字)の学生を戦車でひき殺し、銃で学生を殺害して、盛り上がった民主主義の声を押しつぶした。邪魔者は殺して、中国共産党は今の経済成長を達成した。多くの学生の犠牲の陰に今の繁栄がある。

 中国共産党にとって、今の繁栄は、世界第二位の経済大国として大漁だ、大漁だ、である。中国共産党は、先進国が膨大な金をかけて開発した技術を盗み、奴隷のような労働で製品を生産させ、政府の補助金を投入して製品を安くして輸出した。それではルールを守る先進国が勝てるはずがない。激安の中国製品の輸出攻勢をうけた先進国で、多くの「鰮」の弔いがあった。会社をたたんだ経営者や、失業した人も多くいた。「鰮の死」である。

 

オンデマンド臓器

 臓器移植が必要な患者が、中国に渡ると、臓器移植のドナーが48時間以内見つかったと喜ぶ。その陰で、オンデマンドで、強制収容所内で囚人が殺されている。売るために臓器を取り出されているウルグアイ、チベットの少数民族の人達が鰮のように殺される。たった一人の病気の回復(大漁)の為、多くの人が殺されている。

 だからトランプ大統領は人権問題として怒っているのだ。詳細は下記Newsweek社の記事「民衆法廷「中国は犯罪国家」と断罪」(「良心の囚人」からの強制臓器収奪は今も続いている)を参照ください。

https://www.newsweekjapan.jp/kimura/2019/06/post-56.php

 

奴隷労働と100円ショップ

 100円ショップで、多くの品を買って、「大漁だ、大漁だ」とご満悦になっているその陰で、奴隷のような労働環境で働かされて100金の製品を作らされている海外の子供たちがいる。100円の製品を喜んで買う人が多いが、その商品が売れれば、正規で作られた日本製品が売れず、その分の雇用が日本からなくなる。そして日本全体の給与が下がっていく。失業者が出る。そこまで考えて、100円ショップでモノを買っている人は考えているだろうか。その購買は、自分で自分の首を絞めている行為なのだ。だから私は絶対に100円ショップに行かない。

 

少子高齢化の元凶

 今の日本の繁栄も、陰で多くの安い賃金の派遣社員、奴隷のような待遇の外国労働者の働きがあって、成り立っている。コンビニに行くとアジアの若者の店員ばかりである。大漁だ、大漁だと浮かれている場合ではない。

 小泉首相の構造改革以来、日本では大企業優先で、グローバル経済主義化が進んだ。企業は海外に工場を作り、日本の生産を減らし、正規社員を減らし、派遣社員を増やして、全体の給与を上げない。だから日本のサラリーマンの給与は、この20年で50万円近くも下がった。だから若者が結婚できず車も買えず、結果として少子化が止らない。景気も良くならない。全て政府がグローバル経済化を推進してきた結果である。その浮いた金は、国民には回らず、大企業の内部留保になっている。

 そして自殺者が構造改革以降、3万人超えが長く続いた。多くの「鰮」が死んだのだ。

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日本のサラリーマンの平均年収の推移

 

ブログ K's Strategy.「日本人サラリーマンの平均年収の推移と中央値について。」より

http://k-strategy.net/japanese-average-annual-income

 

我々がすべき行動

 国会議員の中には大企業優先でグローバル経済主義の推進を図る輩も多い。中韓と癒着して己に利益誘導する輩も多い。そういう利権がらみの議員を選挙で選んだ我々にも責任がある。次回の選挙では、そういう議員は落選させねば、国が亡ぶ。我々は、大量の死(大漁)を漫然と見つめるのではなく、行動を起こさねば、ゆでガエルのように殺される。そのためには声をあげること、選挙で拒否の意志を示すことである。

 

2019-06-26   久志能幾研究所通信 小田泰仙

著作権の関係で、無断引用を禁止します。

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