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2019年6月 9日 (日)

自分と私の違い

 「修身」として、身を修める為には、まず己の存在を定義する必要がある。

 自分とは何か、私とは何か、人とは何か、人間とは何か

 「自分」とは、全体の中の「自ら」「分」である。「自分」は、禅語である。自分だから、己の分際を知っている。知っているから組織の一員として動ける。だから利他が生まれる。

 「自分」の反対の言葉が「私」である。自分が全体の中の存在であるのに対して、自己は、一匹オオカミのように己だけを考える存在である。西洋の個人主義の思想が生まれる。だから分裂して利己を考える。

 「私」とは禾偏(稲)を腕(ム)で抱えて、自分のモノだと主張している様を表した象形文字である。そこから私という言葉が生まれた。 

 「人」とは、文字のように一人では自立できず、支え合って生きる存在である。

 「人間」とは、人と人の間で、生きていける存在である。人とのコミュニケーションが出来ない人は、ホモサピエンスではあるが、人間ではない。

 

自己を表す言葉がその国の文化

 英語では、自分を表す言葉はI,my等の限られた数だけである。しかし日本語は、私、自分、己、拙者、愚弟、朕、小生、我、吾、俺、ワシ、と周りの状況に合わせて、己を表現する言葉が100個以上にも及ぶ。それだけ全体の中の己の存在を意識して表現している。それが日本の気配りの文化である。常に相手を考えて、自分の行動を決める。組織あっての自分である。うまくいかないからと、他人を巻き込んでの自殺は、利己主義である。

 

植民地強奪戦争の原因

 グローバル経済主義は、「I」が優先で、「自分」の放棄である。俺のモノは俺のもの、人のモノも俺のモノである。人のことなどは知ったことがない、が原則であった。だから戦前の植民地強奪戦争が起きた。

 インドは英国の植民地にされ、2000万人が英国の搾取で餓死した。英国人にとって、インド人は人間でないので、その生死は知ったことではないのだ。

 アメリカ建国時には、1000万人の原住民(インディアン)がいたが、950万人が虐殺された。現在はインディアンは50万人しかいない。アメリカ人(当時の英国人)が、Iを主張して、新天地開拓で自己の利益の為、インディアンの命と土地を強奪した。先住民のインディアンの分際は知ったことではなかったのだ。

 中国のアヘン戦争の原因は、英国人が中国人にアヘンを売りつけ巨額の利益を得たことに起因する。英国人にとって、己の利益が最優先で、中国人の命は知ったことではなったのだ。

我々はその歴史を俯瞰して、現在の欧米の行動を見る必要がある。

 

社会の病巣

 今の社会は、自己主張の価値観がぶつかり合うからうまくいかない。グローバル化とは、「I」の主張のぶつかり合いである。だから結果として強者がのさばり、弱者が切り捨てられ、就職できない人が絶望から、凄惨な事件を起こす。その事件の真因は、グローバル経済主義化で、弱者が切り捨てられたためである。「自分」というように、地球社会の一員という考えであれば、犯罪も戦争は起こらない。

 

新封建社会の建設の愚行

 「I」が優先のグローバル経済主義は、現代に新たな封建社会を作る元凶である。グローバル経済主義は、貧富の差を拡大する。グローバル経済主義は、1%の富者と99%の貧者を作りだす悪魔の仕組みである。その影響で中流層が厚かったアメリカも、貧困者が増えて、世相が殺伐となってきた。

 最近頻発する凄惨な無差別殺人事件の遠因は、弱者切り捨てで、職に就けない人が、絶望して起こす事件は、復讐と絶望からの事件である。中高年で職がなく引きこもっている人が、日本には61万人もいる。若者でも54万人で、計105万人が引きこもりである。

 政府は、その問題を解決せず、安易に、安い賃金の外国労働者を80万人も導入しようとしている。企業は正規社員を減らし、非正規の社員を減らして、人件費を下げる取り組みをする。

 グローバル経済主義では、海外で奴隷のような極安の賃金で働かせて、それで作った格安の製品が日本に流れ込む。それで正規の日本製品が売れない。だから製造業が衰退して、益々日本人の給与がさがる。悪循環である。これでは日本経済は復活しない。日本は、欧州が移民政策を導入して、欧州社会を混乱に招いた実例から何も学んでいない。日本政府は、同じ過ちを犯そうとしている。

 

自分ファースト

 今、反グローバル化を推進しているアメリカ、イギリスがうまくいっている。

 反グローバル化は、自分の組織を大事にするである。だからアメリカファーストである。そのために、自分を組織の一員として、能力を最大限に発揮する。全体を俯瞰して、組織に自分が何を貢献できるかを考える。その上で、自分ファーストでよい。

 日本再生には、「修身」の教育が必要である。

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2019-06-09   久志能幾研究所通信 小田泰仙

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