貴方はEメールで査定されている
電子メールでの正しい情報伝達とは
「武道としての情報設計」講座
貴方は、あなたの書いた電子メールという水晶玉で占われている。知らぬは本人ばかり。
そのメールの書き方に、あなたの性格、生きざまがすべて出ている。傲慢な人は、傲慢なメール文で、粗忽な人は、粗忽なメールを打つ。
お粗末な内容の電子メールでの洪水が、仕事の効率を下げ、帰宅を遅くし、家庭不和となり、会社は儲からなくなり、自分の時間(命)を削る結果となる。膨大な設備投資をする前に、やるべきことがあるだろう。その意識改革がない限り、いくら高価なITを入れても、無駄である。かえって、会社の収益を下げる。その例が電子メールで、それに振り回されてはいませんか?
気配りを
電子メールでの情報構築には、それ以前の気配りが必要である。業務のメールは、上司に読んでもらわないためにメールを送るのだ。仕事だから、報告はせねばならぬ。その情報をどう処理するかは、受け取り手の責任である。送ったメールを全て読んでもらおうとは、厚かましい根性だ。
メールを送った相手に、読む優先順位を付けてもらう配慮が、送り手に必要だ。上司は情報の洪水に溺れている。大企業の部長、室長クラスで、日に100~200通のメールが飛来する。1通1分としても、一日に2時間はメールを見るだけで拘束される。だから何が重要か、緊急か、目的は何か、をメールタイトルで選択可能にするが、送り手の責任(気配り、礼儀)である。
貴方のメールは見てもらっていますか?
某自動車会社の技術部某室長曰く: 「ccメールは見ない」
前職の会社の製造部の某部長: 「ccメールは見ない。人の名前を見て、見ずにゴミ箱へ(アーカイブへ)。19時からメール処理をする。この時間帯は開封速度以上に新メール殺到でうんざり。」
間接部門の某部長: 「深夜にメール処理をする。この時間でも見る速度以上に新メールが来て閉口」
技術企画部室長: 「人の名前と題名で開封順序を決めて処理する。それでも未開封メールがたまる一方。お粗末なメールを見ると血圧が上がる。メールの内容で発信者(個人、他社)の業務能力を評価する。」
仕事占い
文は人なり。メールを見れば、人格と業務能力がわかる。メールを発信しないのは仕事をしていない証拠。電子メールで効率を上げるのがIT利用の本筋。
電子メールで受信者を驚かせてはいけない
Don’t surprise your audience by your poor e-mail.
Surprise の定義
the feeling caused by something unexpected
an unexpected event
メール題名とメールの中身が違っていると、受信者はびっくりする。
「ナニ、今から会議だと! それならちゃんと『会議案内 6/9』と書いてよ!」
Eメールはびっくり箱ではないのだ。しかし現実は往々にびっくり箱であるケースが多い。
電子メールでの情報構築の基本
Eメールの題名はWWHで
Eメール題名の文字数はWWHの情報(「論題(topic)」と目的(purpose))を含めて15文字程度にする(画面の制約上)。
会議案内の題名には、プロジェクト名、会議日、会議名等を含める。
理由:これにより題名だけで、その情報の80%が伝わり、メールの開封処理の優先度が選択できる(読み手にとって)。
必要情報
Eメール題名:WWH(いつ、何を、どのように)
報告書の内容:5W1H(いつ、何故、何を、何処で、誰が、どのように
報告書の題名:WH(何を、どのように)
→必然的に、1メール、1要件になる
Eメール回送の意図を
自分の所に来たメールを回送する場合、冒頭に回送者の意図を追加する。
例1)「FDD:マルマル会議」 (オリジナル)
→「10/5代理出席依頼 FDD:マルマル会議」
「資料作成依頼 FDD:マルマル会議」 直接担当者宛
「cc 資料作成依頼 FDD:マルマル会議」 関連職制宛
↑
回送者の意図を追記する
議事録送付の場合
通信欄は議事録の結論か要約部分をコピ-して張り付ける。それで、もっと情報が欲しければ、読み手は添付ファイルを開いて読む。詳細の議事録は添付ファイルにする。できれば、通信欄だけで書くのが推薦。
電子メールの禁則
・メールより、直接対話か電話で。どうしても事情があればメールで
ビジネスの基本はFace to Face。
だめなら電話で。それでも駄目ならメールで。
携帯電話番号の公開(推奨)すること。今時、携帯電話の番号を公開しないビジネスマンなど、私は人間的に信用しない。
・1メール、1用件
添付ファイルは極力なし
添付ファイルの場合は、要点を通信欄に記入。
添付ファイルを開くのは面倒です。
・メールタイトルの冒頭に【】をつけて強調しない
・冒頭の目的語に「送付」は使わない
メールの機能は「送る」に決まっている。 何を送ったか、目的は何かが重要。
・表題は簡略にする。
表題は、正式名称でなく簡略形に。「なになにの件」は使わない。
「・・・について」の「ついて」は使用禁止
何なにの目的語を冒頭に書く
・安易に転送しない
無差別に転送するのは、相手の業務妨害。メールが来た以上、開封して読まねばならぬ。それが直接関係ない場合、大きな時間ロスになる。
・表題に〈〉は使わない
・なるべくスクロールしなくて見えるように
簡潔に一画面で最初の要点が分かる様に
・時候の挨拶なし
社内メールでは「いつもお世話になっています」は書かない。(社外はOK)
ていねい過ぎる言葉は厭味である。書いてあれば読まねばならない。1秒1円のロス
・担当直入に記述
電子メールは電話と手紙の中間のコミュニケーション手段。
冗長な前置きは不要
・返信時、むやみに引用しない
何通もの返信や転送のメールを転送して送付する場合は、自分としての全体の要約を書いて相手に自分が何をして欲しいかを伝える。
・一行を最大40文字以内で
機種や送付先のメーラーの機能の関係で、長い行は強制的に折り返されてしまい、読み手が読みにくくなる。
なるべく左寄せで
空白文字を打つのも時間がかかっています。時間がかかるとはお金がかかること。
・メール文は箇条書きに
・絵文字はビジネスでは使用禁止
ビジネスマンの品格を疑われます
下記は不適切メールの実例(カッコ内は私のぼやき)
こんなメールが毎日、大量にくれば気が狂う。
「Re(2):シナリオ作成依頼」 (実は、キックオフ大会延期の通知)
「02 sqc 実績」 (それについてどうしたの?)
「本日の講演会の準備」 (実は準備の招集令状だった)
「Fw:Fw:回答します」 (何のこっちゃ?)
「ご参考」 (何の?)
「ご依頼の件」 (私はあちこちに依頼していて、これでは何のことか?)
「***の会 代表総会について」 (実は招集令状でした)
「Fwd:ガラス等の件」 (目的項なし)
「よろしくおねがいします」 (何のこっちゃ?)
「どうもです 」 (何のこっちゃ?)
「雛形モデル作成の進捗状況について」 (それがどうした?)
「CAD教育の件」 (中身は想定外の要件だった)
2019-03-10 久志能幾研究所 小田泰仙
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