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2019年1月13日 (日)

還暦になって観る悪夢

私独裁帝国が迎える最期の日

 60年間、己は私独裁帝国の独裁者であった。人生の最盛期は、飲み放題、食べ放題、やりたい放題で人生を謳歌してきた。しかし人生の戦いも末期を迎え、私独裁帝国に夕暮れが迫ってきた。ある日、鬼神佛連合軍の爆撃隊が頭上に現れ、原死爆弾(解雇、死病告知、倒産、定年離婚、子息の犯罪・逮捕)を落とした。その被害で帝国の指令本部内は混乱を極め、側近が、「総統、ご決断を」と迫る。己はなす術もなく、虚ろな目が宙に舞う。私独裁帝国が音もなく崩れてゆく。

 

四天王の諫言

 世の中は最高のことしか起こらない。世の真理は一つである。宇宙の真理を人の想いで形にしたのが大日如来像の姿である。かくの如く人生を過ごせば、来るべき結末は一つである。暴飲暴食、不摂生、縁の不義理の結末である。それを「運が悪い」、「なんで俺だけが」では神佛に不遜である。全ての原因は己にある。あの時、広目天の「視野を広げて観よ」、多聞天の「法の話を聴け」という叫びを無視した己がいた。

 この絶体絶命の状態で、自分は何ができるのか、それが問われている。まだ神佛は自分を殺さずに生きる道を示し、見えざる手を差し伸べている。それに気づけないのでは畜生である。早く己の愚かさに目覚め、目を見開いて観よ、耳を澄まして声なき声を聴け。今からでも遅くない。打てるあらゆる手を打て。

1039a1185  高野山 中門 広目天 大仏師松本明慶師作

     眼入れは岩田明彩師   2015年10月8日 撮影

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  高野山 中門 多聞天 大仏師松本明慶師修復(江戸時代の作)

     眼入れは岩田明彩師  2015年10月8日 撮影

 下記チャップリンのスピーチで、奴隷を食や金に対する己の弱さ、国境を己の周りに築いた壁、貪欲を己の欲、獣を世の娯楽産業に置き変えると、チャップリンの凄さを感じる。

 この演説で、「自然に反する者たち、機械のマインド、機械の心を持った機械人間たち」を拝金主義者、グローバル経済主義者、共産主義者に置きなおすと、世の中の動きが分かる。当時と何が違うのか。日本の未来を考える為に自問したい。

 

「絶望してはいけない」

 チャップリンの史上最高のスピーチ【独裁者】

 私たちは皆、助け合いたいのだ。人間とはそういうものなんだ。私たちは皆、他人の不幸ではなく、お互いの幸福と寄り添って生きたいのだ。私たちは憎み合ったり、見下し合ったりなどしたくないのだ。

 この世界には、全人類が暮らせるだけの場所があり、大地は豊かで、皆に恵みを与えてくれる。人生の生き方は自由で美しい。しかし私たちは生き方を見失ってしまったのだ。欲が人の魂を毒し、憎しみと共に世界を閉鎖し、不幸、惨劇へと私たちを行進させた。私たちはスピードを開発したが、それによって自分自身を孤立させた。ゆとりを与えてくれる機械により、貧困を作り上げた。知識は私たちを皮肉にし、知恵は私たちを冷たく薄情にした。私たちは考え過ぎで、感じなく過ぎる。機械よりも私たちには人類愛が必要なのだ。賢さよりも、優しさや思いやりが必要なのだ。そういう感情なしには、世の中は暴力で満ち、全てが失われてしまう。

 飛行機やラジオが私たちの距離を縮めてくれた。そんな発明の本質は人間の良心に呼びかけ、世界が一つになることを呼びかける。今も私の声は世界中の何百万人もの人々のもとに、絶望した男性達、女性達、子供達、罪なき人達を拷問し投獄する組織の犠牲者の元に届いている。

 私の声が聞こえる人達に言う、「絶望してはいけない」。

 私たちに覆いかぶさっている不幸は、単に過ぎ去る欲であり、人間の進歩を恐れる者の嫌悪なのだ。憎しみは消え去り、独裁者たちは死に絶え、人々から奪いとられた権力は、人々のもとに返されるだろう。人間が永遠には生きることがないように、自由も滅びることもない。

 兵士たちよ。獣たちに身を託してはいけない。君たちを見下し、奴隷にし、人生を操る者たちは、君たちが何をし、何を考え、何を感じるかを指図し、そして、君たちを仕込み、食べ物を制限する者たちは、君たちを家畜として、単なるコマとして扱うのだ。

 そんな自然に反する者たち、機械のマインド、機械の心を持った機械人間たちに、身を託してはいけない。君たちは機械じゃない。君たちは家畜じゃない。君たちは人間だ。君たちは心に人類愛を持った人間だ。憎んではいけない。愛されない者だけが憎むのだ。愛されず、自然に反する者だけだ。

 兵士よ。奴隷を作るために闘うな。自由のために闘え。『ルカによる福音書』の17章に、「神の国は人間の中にある」と書かれている。一人の人間ではなく、一部の人間でもなく、全ての人間の中なのだ。君たちの中になんだ。君たち、人々は、機械を作り上げる力、幸福を作り上げる力があるんだ。君たち、人々は人生を自由に、美しいものに、この人生を素晴らしい冒険にする力を持っているんだ。

 だから、民主国家の名のもとに、その力を使おうではないか。皆でひとつになろう。新しい世界のために、皆が雇用の機会を与えられる、君たちが未来を与えられる、老後に安定を与えてくれる、常識のある世界のために闘おう。

 そんな約束をしながら獣たちも権力を伸ばしてきたが、奴らは嘘をつく。約束を果たさない。これからも果たしはしないだろう。独裁者たちは自分たちを自由し、人々を奴隷にする。

 今こそ、約束を実現させるために闘おう。世界を自由にするために、国境のバリアを失くすために、憎しみと耐え切れない苦しみと一緒に貪欲を失くすために闘おう。(一部割愛)

 出典 NEWSポストセブン「こんな時代だからこそ胸に沁みる・・・チャップリンのの感動すぎるスピーチを聞け!

Photo

チャップリンの「独裁者」1940年より

 「独裁者」(1940) :チャップリンが監督・製作・脚本・主演を務め、アドルフ・ヒトラーとナチズムの風刺が主なテーマ。ヨーロッパの大国トメニアの独裁者ヒンケル(チャップリン)は、世界征服とユダヤ人排斥を旗印に、世界に君臨しようとしていた。一方、ユダヤ人のゲットーの床屋であるチャーリー(チャップリン)は、ヒンケルと容貌が似ていた。そして、ふとしたことからチャーリーがヒンケルに間違われてしまう。

Photo_3  馬場恵峰書 2006年

 

2019-01-13 久志能幾研究所 小田泰仙

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