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2018年11月13日 (火)

磨墨知86. 禁句:「きちんとする時間がないから出来ない」

「きちんとする時間がないから出来ない」と言う人は、時間など永遠に作れない

 「忙しいからできない」などは言い訳以下だ。きちんとやる時間なんて一生訪れない。明日の命も保証されない人生だ。しかし重要なことをやるためには、いつでも十分な時間がある。

 できないのは、やる気がないから。行動力がないから。言い訳がうまいから。命より金儲けが忙しいから。時間を大事にしないから。人生で何が大事かわかっていないから。

 「絶対的な時間」は「行動力」に比例する。その行動力は命の認識からはじまる。みんな忙しいけれど、やっている人はやっている、やらない人がやっていない。

 

自動車部品開発の死闘

 自動車部品の開発で、やるべきことをやらず、問題が起これば、忙しいなど言っていられない。速やかに対応しないと、トヨタの品質保証部が乗り込んでくる。トヨタからの仕事が減らされる。トヨタは保安上で二社発注なのだ。マスコミに叩かれる。30万人のグループ企業のラインが止まる。30万人が遊んでしまう。速やかに対策を打たないと人の命に影響する。死亡事故を起こせば、殺人罪で訴えられる。

 だから、自動車部品の開発は、自社で取り決めた開発手順に従って、きちんとしたことが着実に進められる。想定される全ての条件下で耐久試験・性能試験が行われる。部品の加工精度も影響する場合、規格値の上下限品で耐久試験が行われる。寒冷地試験も行われる。そこまで安全に気を使って開発がされる。

 特定の自動車会社で、品質問題が多発しているのは、やるべきことをやるという習慣がないだけだ。だから、そんな会社の車には乗るべきではない。自分の命に影響する。そんな会社は、きちんとするなど、永遠にできない。フォルクスワーゲンや三菱自動車のように。そういう会社は、ユーザーの命より、社長の鶴の一声が大事なのだ。プロとしてやるべきことを放棄している。それは『フォルクスワーゲンの闇 世界制覇の野望が招いた自動車帝国の陥穽』(日経BP社刊)に詳しい。

 

日本の家電産業との対比

 日本の家電産業が衰退したのは、製品の開発で、多少の故障では、人の命に影響しないという安易な開発思想が心の隅にあったためではないか。開発に命をかけていなかったのだ。だから、ソニーのように、己の基本ソフトの開発ミスの修理で、顧客から金をとる恥行為をするのだ。ソニーが没落したのにはワケがある。

 

2018-11-13  久志能幾研究所 小田泰仙

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