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2018年8月18日 (土)

大村智博士「私の半生記」(4/6)教育への情熱

自身の育成

 大村先生は、山梨県の農家に生まれ、風光明媚な場所で幼年期をすごされた。詩人の大岡信氏は「眺望は人を養う」と説いている。幸せな環境で育ってよかったという。また神を敬い、ご先祖を崇める精神も根付いている風土に育ったのも良かった。

 大村先生は、子供のころ、両親が農家を継がせるつもりのため農作業に厳しい時期を過ごした。小さい体でそれをこなすのは大変だったという。ノーベル賞学者のコンラート・ローレンツが「子供の時に肉体的に辛い経験を与えないと、大人になって人間的に不幸だ」と言っている。厳しい農作業のおかげで、体力も精神力も鍛えられて幸せだったという。

 「子供を不幸にするために一番簡単な方法は、いつでも、何でも、手に入るようにしてやることだ。」とフランスの思想家ルソーが言う。そういう点でも、素直に親から言われたことに従ったのがよかったようだ。

 

教師としての支援

 大村先生が夜間の定時制高校で教えていた時の話。夜間で学ぶ生徒は、仕事との両立が大変で、35人が入学しても卒業時は20人、15人と減ってしまう。それを大村先生は「とにかくこのクラス皆で卒業しよう」と絶えず声をかけて、結果として33名で卒業させた。この数値は、今までの黒田高校で一番とか。大村先生の熱意が生徒の通じたのだ。だから今でも卒業生と交流があるという。

 

若手の育成、一流の空気に触れる

 大村博士は教授になってから、若手を教育するのに、世界でトップクラスの講師を招いて北里ミクロビアル・ケミストリー・セミナーを30年間で500回も開催した。自身がスキーで山梨の国体選手にまでなり、何回も優勝までしたので、トップになるにはトップクラスの空気に触れないと、超一流になれないと感じていたからだ。米国に留学して、一流の学者たちと交流しないと、研究が一流にならないことを肌で感じていたからだ。

 

人の育成

 科学技術は大進歩を遂げたが、心の問題が置いてきぼりとなっている、と大村先生は悩まれて、人の教育には人一倍の情熱を傾けられた。大村先生は、学生の心の教育と心のヒーリングの一環として、北里病院内に絵を飾ったり、音楽会を開催されたり、美術館を作ったり、絵を購入・寄付と社会に貢献をされた。

 「芸術を楽しむことにより、情緒が高められたり、品性が陶治される。」(哲史)として、大村博士は、芸術に触れる環境を学生のために作ってきた。大村博士は、教育には特に力を入れて学生の学びの場には本物の絵を飾って、芸術に触れる環境を作った。本物という世界で一流の芸術に触れさせた。

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42p1110267_2 学生の学ぶ場に絵が飾られている。(講演スライドより)

 

大垣との比較

 大垣の音楽関係のボランティア活動では、「世界で一流の音楽を楽しむ会」で、世界で一流の音楽家を招いて、子供たちに「足ながチケット」を無料で贈って、音楽会に招待している。子供たちに超一流の音楽を触れさせて、子供の音楽への情操教育の一環としたいためだ。有志が大垣市内の企業に協賛金をお願いするため走り回って、この会を運営している。

 2017年9月29日は世界のトップチェリストのTIMM をドイツから招いて、その音楽会に120人の子供たちを大垣音の楽堂に招待した。今年2018年9月17日は、世界的ピアニスト、サラ・ビュクナーの演奏で、同じく子供たちを120名招待する演奏会が計画されている。私はそのカメラマン役で忙しい。サラ・ビュクナーのコンサートがこの前の9月に、京都で5回連続で開催されるので、事前調査で私は大忙しである。

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 2017年9月29日 TIMMを招聘して「足長コンサート」。子供達120名を招待。

45dsc08858 サラ・ディビスのコンサート 2018年5月29日 多治見市でのコンサートで

  私の事前調査、撮影  

 

大垣市政の芸術への冷淡さ

 小川市長は、こういう芸術教育活動や子供の教育環境向上には金を出し渋る。それでいて愚劣な大垣市制100周年記念行事には3億円余も散財である。それも会計報告もなしに。根本の問題は、小川敏市長には芸術への理解がないから。そしてわずか2週間の命の愚行「水まんじゅうギネス記録」に血税900万円もかける。何が「子育て日本一を目指す」なのか、お笑いである。

 子供たちには、芸術に触れさせる教育が必要なのだ。小川市長はそれがわからない。だからギネス毒水饅頭を食べて、痴呆的に笑い転げる様を晒す。

 

大村博士の意向

 大村博士は、伊藤秀光氏が大垣講演を頼んでもなかなか受けなかったという。伊藤氏が山梨の倫理法人会を通して、やっと講演会を引き受けて頂いたという。その時、大村博士は、子供達に話をするなら、という条件で引き受けられた。それで今回、約100名の生徒達を招待しての講演会である。座席も会場の中央部を生徒達のために空けて用意をした。

 

小川敏大垣市長の血迷い?

 何を血迷ったか、大垣倫理法人会の顧問である小川敏市長が、講演前に祝辞を述べた。その時間わずか1分24秒。時間が短かすぎて、その話には内容がなかった。司会者が「多くの祝辞を頂いていますが、大村先生の講演時間を多く取りたいので割愛します」とした。それに割込ませたのは、小川敏市長への忖度である。聴衆は市長の挨拶を聞くために来たのではない。

 

人生の経済ロス

 市長の話は、たった1分24秒間で、単に自分が3回も全国市長会で話を聞いて感動したという自慢話であった。その挨拶で、市長紹介を含めて約2分間を無駄にした。一人1分100円の時間コストとして、400人の聴衆で合計80,000円のロスである。無駄な挨拶はないほうが良い。挨拶である以上は、付加価値を生まないと意味がない。それは講演会の情熱を削ぎ、大きいロスとなった。

 

倫理に反する

 倫理とは人としてあるべき姿の追求である。道徳の追求である。市長の割り込み挨拶はその道から外れている。講演会の市長挨拶は、売名行為である。顧問という立場なら、身内の行事に祝辞を口上は倫理に反している。顧問という立場なら、他の役員のように脇に座るべきである。それを生徒達が座るエリアのど真ん中に座った。会場中央部は、大村博士の意向で子供達のために空けていた。

 私は、小川敏氏が倫理法人会の顧問であることを今回初めて知った。今まで、市長がこの会の講演会に参加したことを見たことがなかった。

 

大村先生は実践躬行、小川市長は言うだけ番長

 大村博士は教育、芸術、実践、縁の大事さを講演会で説かれた。それを「実践躬行」という信条で表現された。小川市長は、その話を過去に3回も聞き、「今までで一番感動した講話」と持ち上げた。

 しかし小川敏市長は、大村先生の説かれる実践躬行を理解できないようだ。大垣市政では節約ばかりで、大垣の子供への教育をないがしろにして、芸術にも理解がなく、実践がなく、ご縁を大事にしない。未来を背負う子供の教育に、もっと力を入れて欲しいが、私の願いである。

 

小川敏氏の精神分析と学び

 小川敏氏を精神分析すると、自己顕示欲が強いので、行事では何か言わなくては収まらない。人の話を聞かず、自尊心だけは高いので、間違ってもその修正をしない。その演説をぶった分だけ、聴衆の時間の無駄。大垣の不幸である。

 今回の大村博士の講演を聞いて、実践の人と言うだけの大垣市長との差を見ることができた。今の状況では大垣市の子供に科学技術の心は育たない。子供の育成には、トップの姿勢が一番大事なのだ。それを大村博士の講演で学んだ。

 

小学校エアコンの事例

 大垣市議会の自民クラブと市民運動での陳情書からの突き上げで、県下最低の周回遅れで、2018年8月10日、大垣市長はやっと小学校にエアコン導入計画を声明した。大垣市長は、人から言われないと実行しない。小川市長の言動は、実践躬行と大きな乖離がある。大村博士の講演から何を学んだのか。これでは子供達は「未来に羽ばたく大垣」に貢献できまい。

当に心を以て字無きの書を読むべし。乃ち洞して自得する有らん。

 字面に捉われず心眼を開いて社会の実相を読め、必ず自らに資する何ものかが見えてくるであろう。(佐藤一斎 言志四録  後録138)

 

2018-08-18  久志能幾研究所 小田泰仙  

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