極楽運転道 1. 車の安全対策(6/8)大垣行政の操舵
(8) 曲がったことは嫌い?
世の中の不合理を感じて、改革しようとしても、抵抗勢力で頓挫することが多い。とかく現状からの変更には、大きなエネルギーがいる。同じことが車にも言える。世の中、組織内の業務改革は勧めなければならないが、車においては、現状維持が最大の省エネである。だから「曲がったことの嫌いな?」私は、目的地に行く場合でも、距離の最短で選定した経路でなく、曲がる回数の最少の経路を選んで走っている。「曲がったこと」には、それ相応のエネルギーが必要で、これが事故の確率を増やすことになる。近道でも、曲がりくねっての走行は避けたいもの。曲がる行為は、交差点で発生する。
交通事故死の44%は、交差点で起きた事故である。(1993年)
物理の運動法則に F=m・α で表される運動方程式がある。これを車の運転にも適応できる。車線変更等の現状からの変化には、余分にガソリンのエネルギーが必要である。車の方向変化には、事故の要因が入り込む。
運動力学的見地から
タイヤにかかる摩擦円の力学を解析すると、曲がるときには駆動力以外にサイドフォース(約駆動力の30%)がかかり、エネルギー的にロスが生じる。当然曲がるためには、ブレーキを踏まねばならない。ブレーキはエネルギーロスの最たるもの。無駄なエネルギー(お金)を失わないためにも、曲がらずに走ろう!?
林洋著『自動車事故の科学』で、氏は交通事故を下記で定義している。
〔交通事故件数〕=〔遭遇数〕×〔遭遇が事故になる確率〕
この遭遇数とは変化の数である。この式からも「変化ある」運転が事故の確率を増やすことが分かる。
確認の基本動作
人生は「変化はチャンス」だが、車の運転では「変化はピンチ」である。ピンチとチャンスは表裏一体である。「曲がる」、「ブレーキをかける」、「アクセルを踏む」の「現状からの変化」動作には、危険が付いて回る。だからこの3つの変化をする時は、無条件反射で、下記の回りの状況を確認する習性を身につけること。これが事故を防いでくれる。これを守らないと、テストドライバー検定試験では減点される。
曲がる時の基本動作
・バックミラーを見る
・ドアミラーを見る
・首を振って横を見る
人生の岐路での方針決定では
・人生の岐路では、自分の過去を振り返る。
・自分を取り巻く環境を振り返る。
・直近の状況を自分の目で直視する。
コンプライアンス値
コンプライアンス値とは 1÷〔剛性値〕 で表される。この剛性値とは、ばね乗数と呼ばれる数値で、ばね乗数とは1キロの加重を与えたら、ばねがどれだけ撓むかを示すばねの強さである。
車の操舵装置の設計
自動車のパワーステアリング(PS)の設計で、最重要課題は、真っ直ぐに走る能力である。曲がるのは簡単で、真っ直ぐに走るようにする設計が難しい。道路の凹凸や小石にタイヤが取られても、それに影響されずに真っ直ぐにタイヤを保持する能力がPSに求められる。その能力とは、剛性とあそび、それをコンプライアンスという。
造船でのコンプライアンス
船の設計で一番大事なのは、障害や荒波に対して船が傾いても、復元する力である。それもコンプライアンスという。いかに安定して航海するか。何があっても安定して航行できるか、それが船の設計で問われる。
1625年に建造された世界最大の戦艦WASA号は、処女航海で湾を出るまでに、突風に会い沈没した。頭でっかちの設計の船で、コンプライアンス値が低かったのが原因である。その設計の恥さらしは、2000年代の現在もWASA号博物館内でその恥を晒している。
2014年4月16日に起きたセウォル号沈没事故の原因も、船の復元力(コンプライアンス値)が、不適切な改造で異様に小さくなっていたことだ。そのため急旋回で傾いても、復元できなかった。
大垣行政のコンプライアンス値とは
大垣市行政でも、小川市政17年で不安定さと強引な施政が目につく。市政100周年記念行事に、異常で過剰な資金3億円余をつぎ込み、その芳醇な金の匂いに、役人や業者が蟻のように群がり、愚劣な行事に金をバラ撒き、お祭り騒ぎに熱を上げている。それが血税の無駄遣いであることに意識が無い。これは、行政人のコンプライアンス値が不足しているからだ。行政として正しいことは何か、市民サービスとは何かを、大垣市長以下の役人は忘れている。
2018年1月に露見した彦根市役所の耐震工事汚職では、彦根副市長と岐建の人としてのコンプライアンス値不足が原因である。「大垣・水まんじゅうギネス挑戦」行事も大垣市政としてのコンプライアンス値不足が原因である。今でさえ、その認識がないのが情けない。何が行政サービスとして正しい金の使い方なのか。市政100周年という行政の曲がり角で、大垣市長は、大垣行政のかじ取りを間違えている。こんな頭でっかちの船長で、大垣の未来への道に進めるのか。
人生道の操舵
人生道でも、誘惑や落とし穴等の雑音に曲げられずに、真っ直ぐに人生道を走行するのが、難しい。色仕掛けや、金の誘惑に心が揺れるのを抑えて真っ直ぐに走るのだ。
人生という乗り物のコンプライアンス値とは、悪の誘惑に対してどれだけ耐えられるかの強さの値である。
自分の役職に対して贈賄側が餌をぶら下げてきた場合、自分がいくらで堕ちるのか。100万円の賄賂で堕ちれば、自分の心のコンプライアンス値は100万円である。心のコンプライアンス値を高めないと、人生航海で沈没する。
人生でも、誘惑に負けて、人生が曲げるのは簡単である。世には多くの誘惑が満ち溢れている。コンプライアンス(遵法精神)は、自分の人生で定めた「法」(戒め)を遵守する行いである。その行動如何で、命を輝かせもし、堕落もさせる。頭脳明晰でも、遵法精神に欠ける人もいる。堕落してしまっては、奇跡で生まれ、親が手塩をかけて育てた命を地獄に堕すことになる。
馬場恵峰書 2012年
2018-06-25
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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