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2018年3月26日 (月)

2.新価値観営業の成果

2-1.日本経済の近未来

 国内販売台数が伸びない中でも、ネッツトヨタ南国の売上高は伸び続けている。各自動車販売店が、この十年(2011年当時)で売り上げを30%も減らすのが珍しくない中、ネッツトヨタ南国は約2倍にも売り上げを伸ばしている。特にリーマンショック後も続く伸びには敬服である。

 私が新人向け技術講座で「IT時代のナレッジと自己研鑽」で、「これからの日本経済はどうなるのか」と受講者に質問をした。私は、これからのデフレの時代、勝ち組は益々勝ち、負け組はさらに負けていくと予言した。このデフレの流れは、全世界の国が同じ給与水準になるまで続くと断言した。これはリコーの業務改革の講演や、各種の本を読んで、理解した内容を解説したまでである。その近未来をネッツトヨタ南国の経営が現実として証明している。 

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 ネッツトヨタ南国の売上高推移『PRESIDENT 2011年5月2日号』より

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 2011年5月12日の大原光泰社長の岐阜講演会で

  2002年を境に伸びるネッツトヨタ南国、下がる同業他社

  黄線がネッツトヨタ南国の販売台数 

  青線が同業他社の平均販売台数

13年前の予言

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  2018年現在もデフレ傾向で景気は完全には回復していない

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  「IT時代のナレッジと自己研鑽」 2005年 小田

2-2.欧米式経営を選択した過ち

 Japan as No.1 と持てはやされた日本企業と日本式経営は、バブル崩壊後いつしか、おかしくなってきた。私はその原因を、欧米型経営の導入に見出している。

 日本企業が採用してきた人事制度は、三種の神器といわれる日本式経営の特徴すなわち「終身雇用制」、「年功序列制」、「企業別労働組合」である。これらは、日本企業の強さの源泉とされてきたが、90年代初頭のバブル経済崩壊以来、大きく揺らいできた。グローバル経済化の荒波の中、欧米が日本の競争力を弱めようと、欧米式経営の一見、合理的で素晴らしく見える手法を経営者の高額報酬を餌として導入させたように思える。

 その1つは個人主義であり、年功序列の崩壊であり、契約に基づいた労働であり、派遣社員の増大、その究極が成果主義の導入であった。その結果が現在の日本の限りなく続く経済停滞であると思う。

 不況とは、好況と好況の間の1,2年の経済調整期間であり、今の日本が塗炭の苦しみを味わってきた30年にも及ぶ経済停滞でない。あきらかに、欧米が盛った毒が全身に効いてきたのである。その最大の項目が成果主義であると思う。

 

欧米が盛った毒が効いてきた

 何時の間にか、最近の若者は眼の輝きを失せてしまっている。これも西洋の個人主義、ゆとり教育、仕事の価値観の崩壊等、が原因である。しかしネッツトヨタ南国の社員の働きぶりを調査すると、まだまだ見捨てたものではない。単に、価値観教育の欠如、労働環境の劣化と、上に立つ人の人格崩壊だとの結論を得た。

 自分は、会社での技術者教育に長年携わり、新人の劣化と会社の成果主義、官僚主義での影響の大きさに失望し、経営とは何かを悩んでいた。その弊害の究極の結末は、私の元上司の言葉「技術以外の余分なことは教えるな」であった。私が体験した成果主義、官僚主義の弊害は、会社をおかしくする。若者にモチベーションを沸き起こす教育体制はなにか。私はその答えをネッツトヨタ南国の経営に見出した。

 

2018-03-26

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

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