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2017年12月28日 (木)

児玉家墓所にお参り

 松居石材商店の店主さんの案内で、彦根市の長久寺にある児玉一造氏(東洋綿花株式会社(トーメンを経て豊田通商と合併)の創設者)のお墓にお参りをした(2015年7月2日)。そこには豊田佐吉翁の長女、愛子さんも分骨されて眠られておられる。児玉一造氏の弟の利三郎氏は、愛子さんの娘婿である。豊田利三郎氏は豊田自動織機製作所の社長(初代)とトヨタ自動車工業の社長(初代)を務めた。

 児玉一造氏のお墓は先祖代々のお墓として建立されている。墓石は六甲の御影町の本御影石(現在採掘禁止)で、立派な造りの墓所である。

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 豊田家家系図

 

豊田家とのご縁

 約42年前に、5代目社長の豊田英二氏(当時社長か会長)が、センチュリーではなく、カリーナEDで自ら運転してここにお参りに来られた。その後、多賀町の石田退三氏のお墓にお参りに行かれた。当時、私も入社後の10年目にして始めて車を購入し、それがカリーナであったことを思い出した。私は、豊田英二氏(当時会長)とは直接の会話はできる立場ではなかったが、仕事の関係で至近距離にてお目にかかったことがある。

 今回のお墓造りの過程で、北尾家の叔母の父の木下重兵衛氏(豊田紡織専務)が、石田退三氏からたいへん可愛がられたとの話を聞いた。また叔母の夫の父の和田善次郎氏が豊田英二氏を教えた間柄であり、豊田英二氏がお通夜に弔問に和田家を訪問したとのこと。それを見て、お寺さんが急遽、お経代を2倍に値上げしたとかで、ぼやかれていた。叔母は石田退三氏の自宅(刈谷市)のに連れて行かれたこともあり、豊田章男氏(現トヨタの社長)の幼少の頃の姿を見たことがあるとのこと。

 

二宮尊徳翁のご縁

 もう一つの話しが、二宮尊徳翁とのご縁である。北尾家の叔母の夫君の母の在所が、下館で油問屋を営んでおり、その家の離れに二宮尊徳翁が半年間暮らしたとの話を今回聞いた。世間のご縁は不思議な繋がりを持つことを知った。

エピソード

  松居石材商店の店主の案内で、彦根長久寺にお参りをしたら、ここは皿屋敷のお菊さんのお墓があるお寺だと言う。驚いてネットで調べたら、下記の情報が得られた。

 

長久寺・お菊の墓   (滋賀県彦根市後三条)

 あのお菊さんの幽霊が出るという「皿屋敷」伝説は、全国で約50箇所ほどあるらしい。その中の1つが彦根に残されている。しかも、問題の“お皿”まで保存されているというから、驚きである。

 彦根藩の譜代藩士である孕石(ハラミイシ)家の嫡男・政之進と、そこへ奉公する足軽の娘・お菊は相思相愛の仲であった。ところが、政之進には亡くなった親が取り決めた許嫁がいた。しかもお菊と政之進とでは身分が違いすぎる。そこで思い余ったお菊は、孕石家の家宝である、藩主拝領の10枚組の皿の1枚を割ってしまう。家宝の皿を割ることで、家か自分かどちらが大事なのかを確かめたかったのである。政之進は最初、お菊の過ちであると思い、その罪を許した。だが、割ったのが 自分の本心を知るための手段であるとわかった政之進は、残り9枚の皿を刀の柄で叩き割り、お菊を手討ちにした。そして自らも仏門に入り、お菊の冥福を祈ったという。

 上の伝説を読んで、違和感を覚えた人もいるかもしれない。“お菊”という名前の女性と“皿を割る”という行動、そして“奉公していた女性を手討ちにする”ことだけが共通点で、後は全く通説とは違う話なのである。

 この話であるが、実にディテールが詳細であり、却って本物の「皿屋敷」伝説の方が陳腐なものに感じるほどである。実際に彦根藩には孕石家が存在し(しかもかなり上級の家柄)、政之進の代で本家は断絶し、跡を継いだ分家が今も続いているらしい。また長久寺の 無縁墓の中にはお菊さんの墓が存在している(本来は長久寺の末寺にあったのだが、明治の廃仏毀釈で廃寺となり、現在この地に安置されている)。そして何と言っても、この悲劇の元になった皿が存在するのである。

 現存する皿は全部で6枚。話によると、残っているはずの3枚は展示会などで貸し出している最中になくなってしまったとのこと。由来としては、関ヶ原の合戦の時に藩主井伊直政が徳川家康から拝領し、大阪の陣で孕石家の当主が褒美で頂いたことになっている。時代的なものを考えると、相当立派な作りの皿であるこ とがわかる。

 さらにこの寺には、お菊さんの供養のために、藩主正室以下、江戸屋敷にいた女性292名の名を連ねた寄進帳が存在する。かなり身分の低い者のために、これだけの人数の者が供養のための記帳をするのは、きわめて珍しい。言い換えれば、それだけの手厚い供養が必要な“事態”があった証拠ではないかと推測できる物件なのである。

お菊の皿は、 長久寺に保管されているが、通常は非公開。予約をすれば拝観可とのこと。

http://www.japanmystery.com/siga/chokyuji.html

 

 この世は、どこまでいっても男女のドラマがある。ご先祖を思えば、どこかで踏みとどまれるのにと思う。何か為す時に、ご先祖様に手を合わせれば、間違った道へ進むのを止めていただける。

 

2017-12-28

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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