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2017年12月13日 (水)

心温まる弦楽の響き・名古屋パストラーレ合奏団

 2017年12月13日、今日はヴァイオリニスト天野千恵さんからの招待で、宗次ホールでの名古屋パストラーレ合奏団「大人の素敵なクリスマス~心温まる弦楽の響き~」に出かけた。演奏中の写真撮影は叶わなかったが、演奏会後の記念撮影を頼まれて、撮影を兼ねて出かけた。

 クラッシク音楽だからと安心(?)していたが、ホールは全310席が満席である。それも団体さんが入っているとか。その人気をみて驚いた。1時間前に会場に着いて正解であった。それでも20人ほどが列を作っていた。

 私はヴァイオリ演奏には疎く、今回初めて本格的な弦楽合奏団の演奏を、ホールの最前列席で聴いた。私の特技は、講義でも講演会でも、演奏会でも、羞恥心なく、最前列席に座ることである。「足りない能力は、最前列席に座ることで、補うことができる」が私の信条である。

 

演奏の鑑賞・観察

 今回、生まれて初めてヴァイオリの演奏を詳細に、かつ7人のヴァイオリニストの弾き方の比較を至近距離4mから鑑賞・観察することになった。素人の見方で今更ながら恥ずかしい告白だが、初めて各ヴァイオリの役割があり、演奏の内容、受け持つ部分が違うことを発見した。今までは複数の楽器の合奏としか「聞いて」いなかったが、今回、演奏家を近くから熟視・熟聴すると、いままで見落としていたお宝が見えてきた。特に今回は演奏会中の撮影はなかったので、演奏を聴くことに集中できたのがよかった。それで人生の多くの発見があった。

 

演奏スタイル

 まず、発見したことは、天野さんの演奏スタイルが、他の演奏家と動き、動作、感情の込め方が違うことだ。あくまで7人の中の比較であるが、腕の上げ方とか、スピードとか、感情の込め方が実に音楽的なのだ。目の前で動きのある演奏を見ると、他の演奏者との差が歴然とする。それは彼女たちが着ているドレスのヒダの揺れを観察するとよくわる。ヴァイオリを奏でる音楽にも、ドレスのヒダの揺れかたが、その心の動きを表現していることを発見した。

 

演奏パートの差

 伴奏のような役割のヴァイオリニストの奏でる音は、主役を引き立てようとするが如く、控えめな弾き方が目に付いた。今までは見えていなかった世界である。主役のヴァイオリの演奏と伴奏の演奏がよき協奏となって、気持ちよく音が響いている。まるで会話をしているようだ。この世は全て主役ばかりでは舞台は回らない。脇役というお役が、人生の使命としてお役目を全うして、織りなす音楽織物である。まるで四天王を支える邪鬼の姿である。邪鬼も四天王を支える尊い仏様である。

 

ヴァイオリン比較

 7人のヴァイオリンを観察すると、天野さんの楽器が一番古そうである。演奏会後に寄ったヤハマのピアノ販売課長さんの話では、ヴァイオリンは1700年代の楽器が今でも一番良いとか。お値段も1千万単位で、往々に1億円単位のものも多いとか。ピアノとはまた別世界の楽器である。なおかつ大人が今からピアノは習ってもサマになるが、ヴァイオリンでは、そうは問屋が卸さないという。今にして、私は定年後に取り組んだ楽器として(ボケ防止として)、ピアノにしておいてよかったと思う。

 

隼戦戦闘隊の隊長の立ち位置

 今回は天野千恵さんが、ソロ演奏もあり、指揮のリーダ的役割も演じられた。主役は楽団の真ん中に位置すると思っていたら、彼女は一番左端に位置して、演奏をしていた。その演奏のそぶりを見て納得した。真ん中の位置では、全員を見ようとすると、頭をその都度、回さないと見えない。ところが一番左端にいて横を向いて演奏すると、目の前に全員が一直線にならんでいるから、全員を見るのに、首を振らなくてもよいのだ。。

 隼戦戦闘隊の隊長が、編隊を汲んだ場合の位置は、一番前ではない。一番前は先頭に立って突撃する軍曹の位置なのだ。隊長は常に編隊全体が見通せるその後ろ上で飛んでいる。なにか編隊に異変があれば、すぐ援助に駆けつけることができる位置にいる。私も、昔は勘違いをしていて、リーダは一番前だと思っていた。それで任せられたプロジェクトで真っ先に突撃をして、ふと後ろを振り向くと、誰も付いて来ていないことを発見して愕然とすることが度々あった。それはリーダとして良き学びであった。今回の天野さんの立ち位置を見て、それを思い出した。

1p1090870_1 宗次ホール

2p1090870_2  演奏会後の舞台

3p1090870_3  名古屋パストラーレ合奏団の皆さん

名古屋パストラーレ合奏団

 名古屋パストラーレ合奏団は1980年、愛知県立芸術大学音楽学部・器楽専攻科の同窓生により結成されたヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスなど弦楽器13名による室内オーケストラである。今年で結成37年の由緒ある合奏団である。

 結成当初より「アンサンブルの神様」とも呼ばれた故・浅妻文樹氏(東京芸術大学教授 )の熱心な指導をうけ、1981年より定期演奏会を開始、その後着実な活動を重ね、これまでに第18 回を数えている。

 1991年2月、愛知県芸術文化選奨・文化賞を受賞。これまでに名古屋市や愛知県主催の演奏会に招かれる。また1990~1993年中部電力のコンサートに出演。中部5県で数多くの演奏会を行い、大好評を得る。1997~2010年名古屋市、大府市、北名古屋市、知多市などでコンサートを開催。2011年武豊春の音楽祭、2013年と2015年知多半島春の音楽祭に出演。2015年12月に熱田文化小劇場で、2016年12月に名古屋陶磁器会館でコンサートを開催した。

 宗次ホールでは、2012年「ランチタイムコンサート」に初出演、2014年より年1回のペースで開催、今回で5回目となる。

 レパートリーはバロックから現代まで幅広く、弦楽合奏の知られざる名曲の発掘や新作の紹介にも力を入れている。

 

今回のご縁

 私は、河村義子先生の演奏会で、たびたび天野千恵さんが共演されたので、そのご縁で今回の演奏会を知ることになった。感謝。今回もこの演奏会にヴァイオリニスト小坂井聖仁さんとお母さんが見えていて、偶然再会を果たした。ご縁は繋がっている。

 

2017-12-13

久志能幾研究所 小田泰仙  e-mail :  yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp

HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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