大垣市の衰退の兆(3/5)・治水怠慢
大垣市の行政を観察すると、政治の根幹の治水を放棄して市政100年の宴に熱中しているようだ。天災は忘れたころにやってくる。組織図に見る危機管理体制の欠落、室村町アンダーパス水没事故顛末、大垣駅前地下道の長期閉鎖の恥等での大垣市行政の治水の軽視は目を覆うばかりである。
水を治める者は国を治めるという。昔から政治を預かるものの務めとして、河川の整備が最大の仕事であった。それができなければ、国は洪水に悩まされ、干ばつに苦しめられ、飢饉になり、年貢は徴収できず、民衆が領土から逃げ出し、国が亡びる。
現代では、経済の水路である道路行政が治められなければ、経済活動が衰退して、企業はその都市から逃げ出す。
1.治水は火葬場の下?
本来、大垣市の治水に責任を負うべき部署は、大垣市行政機構図(平成29年4月1日現在)を見ても、組織上で火葬場管理の下に置かれている。行政の根幹の治水を総合的に監査する部署は、組織の上位にあるべきだ。大垣市にはその部署がない。大垣市は市民の安全管理部署が火葬場管理部署の下にあるから、事故が起きたら、葬儀は迅速に執り行いますとのブラックユーモアである。
大垣市の組織では、市民全体の命と安全を取り仕切るの「生活安全部」がなく、日常生活を見る「生活環境部」の一部署の生活安全課しかない。またその部署の位置付けが、かがやきライフ推進部、上石津や墨俣の一地区の下なのだ。組織図の作成で、論理構成欠落で、重要性の優先順位が理解されていない。テクニカルライティングでは、重要な事項から書く。組織図でも同じである。
大垣市行政機構図を見ても、大垣市民の安全を統括管理すると思われる組織が、末端の組織の中に「生活環境部 生活安全課(防災政策、防災安全、交通安全、公共交通、駐車場、消防防犯)」があるだけである。これは治水に関する部署の重要性が低いとの意思表示である。「(防災政策、防災安全、交通安全、公共交通、駐車場、消防防犯)」の文字も一番小さいフォントで印刷されており、まるで読んで欲しくないとの意思表示のようである。
新市庁舎建設が市民安全よりも、16段階も大事
組織図上で、生活安全課の記載された16階も上部に、「庁舎建設推進室」の部署が記載されている。大垣市行政機構図に、大垣市長の市民に対する思惑が透けて見える。市長が治水をなおざりにして新市庁舎に熱を上げるのは、政権の末期症状なのだ。組織図で見る限り、大垣市長は、治水には重きを置いていない。それよりも新市庁舎建設が大事なのだ。
2.室村町アンダーパス水没事故での本音露見
2017年11月1日付『広報おおがき』では、10月24日の台風被害での室村町アンダーパスの水没事件の原因が、建設以来62年間も水没に対する対策を放置した行政怠慢を反省せず、今後の再発防止策も報道していない。それが、大垣市が積極的な水防活動をしたとして、大垣行政の怠慢が美談に化けていた。適正な事前の防災対策があれば、こんな活動は不要である。記事では単に、市長と国会議員が視察をして防災に力を入れているポーズを見せているだけである。
広報誌には「市として、今後その再発防止として治水対策に何をするか」が未記載である。まるでひとごとの様な記事である。過去62年間、大雨が降れば、室村町アンダーパスと林町アンダーパスの水没は頻繁である。大谷川周辺の浸水対策工事も必要なのに、それを放置して、大垣市長は後追いの視察をしたと大威張りである。まるで某国の将軍様の視察報道である。自己宣伝には忙しいが、対策には頭が回らない。浸水の不手際よりも、「ロボフェス大垣2017」の広報で忙しい『広報おおがき』である。その天罰が、そのロボフェス大垣2017」での人命軽視で起きた「ドローン墜落人身事故」なのだ。正に「天網恢恢疎にして漏らさず」で、神仏はよく見ている。天罰である。
不手際の恥の上塗りで、当日の朝の通勤時ラッシュ時の水没現場には、交通整理の下請け業者は手配をしたが、当事者の担当市職員は誰もいなかった。それが大垣市と大垣市長の本音を露骨に表している。天も呆れ果てて、「ドローン墜落人身事故」を下したのだろう。
『広報おおがき』が市民に対する情報伝達である以上、市民に対して付加価値がある情報でないと、広報紙の無駄使いである。読む方にも時間と人件費というお金がかかっている。情報とは、「情けの報せ」なのだ。
3.室村町アンダーパス水没事故の原因
噂によると、室村町アンダーパスの水没事故は、水門側に設置したセンサーが増水を検知できず、ポンプが動かなかったようだ。センサーの確認が、増水した状態にならないと確認できないシステムであったという。非常時の事前確認ができない「安普請」の構成になっていた。かなり値切っため、業者が相応の設備にしたようだ。出すべきところのカネを掛けないケチの体質が、今回の事故である。業者との癒着にも考えが及んでしまう。17年間の長期政権に胡坐をかいた咎としか思えない。仏様からの天罰であろう。
4.大垣駅前地下道の長期閉鎖の恥
2017年10月24日の台風22号被害で、大垣駅前高屋町交差点の地下道の配線が浸水でダメになり、封鎖となった。それが2か月も経った12月22日現在も封鎖で、開通の目途さえ立っていないようだ。看板を見ると来年の春まで修理ができないようだ。この近辺は、低い土地で大雨が降れば、浸水するのは長年の常識である。それが分かっていて、浸水したら配線関係がダメになる設備を施行した。ダメになっても、すぐ修理・交換できるような設計になっていないのだ。いかに手抜をした設計であるかが明白である。多分一番安い入札で、決めたのだろう。利権や癒着があったかもしれない。必要な機能を無視して、安いだけの工事をするから、このような恥さらしの事態となる。水害への危機意識が全くない大垣市政である。
大垣駅前高屋町交差点の地下道
大垣の治水課題
室村町アンダーパスから僅か西630m距離の木戸町アンダーパスは、今回の大雨でも水没はしなかった。それは大雨に対して適正に排水設計がされているからだ。既存の大垣市経済活動の基幹道路にあるアンダーパス(室村町と林町)に同様な改修工事もせず、「節約」と称して何も手を打たないのは、市長として市民に対する裏切り行為である。新市庁舎に大金を投じて建設するより、大雨が降るといつも冠水する地区の治水工事が緊急課題である。それが理解できなければ水の都の大垣市の市長の資格はない。時間がなかったのではない。時間は62年間もあった。「平成29年度 大垣市予算主要事業一覧表」を見ても、「国道・県道の整備促進」の項目でも本件の改善予算の項目はない。
それはまるで下記2000年前のシナの居酒屋火事の故事の如く、消火活動に当たった人だけを褒めて、火事の危険を事前に指摘した人を無視した愚かさである。今の市長は2000年前の故事に出てくるシナの居酒屋主人にも劣る。
真の恩人はだれか
昔のシナのある国でのお話し。ある国で居酒屋を経営していた店主に、客の老仙がそのお店の囲炉裏の傍に火事になる危険性がある状況を指摘して注意を喚起した。しかしその店主は、「分かった分かった」と言ってそれを無視して商売を続けた。あるとき指摘通りに火事が起こり、その場にいた客が大騒ぎをして火を消し止めた。店主はそれに感激してその客に過分なるお礼をしたという。その危険性を教えた老仙には礼一つ言わなかったという。
真の対策とは
火事が起きたら火を消す対策ではなく、火事が起こらないような体制にする。大雨が出ても水没、冠水、浸水しないような対策をするのが真の対策である。
人生の師は、我々が歩む道先での事故を耳にタコができるほど繰り返し忠告して正しい道を示してくれる。本当に礼をすべき人は、自分のことを心配して、口が酸っぱくなるほどに諫言をしてくれた師なのだ。昔も今も人間の本質は変わっていない。諫言に耳を塞ぐのは誰か。今の大垣市長は頭が高く、人の話や諫言を聞かない、と言う噂がある。事実がどうかは不明だが、そういう噂を立てられること自体が不名誉で、不徳である。大垣市の不幸である。
地獄界と極楽界を現世から観る
政治とは、そのまま放置すると庶民が地獄に堕ちる世界を極楽に導く手段である。極楽のあるべき姿と現状の乖離を無くする仕事が行政である。無為に過ごせば水害や災害にあいやすい西濃地区を、災害の心配のない生活環境を実現するのが行政の責任である。昔から三大河川が頻繁に氾濫する西濃地区は、輪中という堤防で自分達の村を守ってきた歴史がある。災害に強い国作りと産業の衰退を防ぎ、新しい産業の誘致・振興を援助する役目が行政である。災害が起きたらそれを修復するのは、単なる対処療法である。火事が起きたら消火をする、発熱に解熱剤を飲むのと同じである。根本原因は何も解決していない。その前に対策を打つのが知恵ある行政マンである。アンダーパスが冠水したから通行止めにする、消防団が出て警戒する、では未来の解決策にはならない。それは後追いの対処療法である。大雨が降れば被害が出ることが明白なのに、市長がしゃしゃり出て視察をして、防災をやっていますとの誇示するのでは恥である。消防団が出て警戒しなくてもよい環境、市長が視察に行かなくてもよいような治水環境整備が市長の役目である。
今の大垣市長には、来年の市政100年の宴に頭が一杯で、足元の市民の安全には気が回らない。
2017-12-22
久志能幾研究所 小田泰仙 e-mail : yukio.oda.ii@go4.enjoy.ne.jp
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