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2017年9月15日 (金)

佛は牛丼を我慢する(改定)

ファーストフード禁止令

 ロワジールホテル大垣の料理長・齋藤さんは、修行時代に親方から「牛丼、カレー、ホンだし入りの味噌汁は食べてはいけない」と指導された。牛丼が世に出回り始めた頃の話である。

 親方曰く「牛丼はあまりに美味しすぎて味覚が麻痺するので、料理人として食べてはならない」。普通の料理方法では、あれだけの魅力的な味は出せないという。魔法の調味料(味覚を麻痺させる化学調味料)を多量に入れてあるからだという。だから味覚も確実に劣化する。多量に食べ続ければ、何時かは体がおかしくなる。またそんな美味しいものが280円で食べられることが異様である。安いものにはワケがある。

 

病気への疑問

 牛丼が世に出回り始めた40年前の日本の医療費総額は、10兆円ほどであったが、現在は40兆円を超える。医療費総額の最高額の更新は12年連続である(2015年9月現在)。医療が発達しても患者は増え、医療費は増える一方である。最近はガン、認知症、糖尿病の急増である。今では若年性認知症まで蔓延している。当時は、認知症など話題にも上らなかった。何かおかしい。その医療費の増加は、日本のファーストフードの普及の歴史と重なる。ファーストフードに含まれる、糖分、劣悪油、添加物、抗生物質や成長ホルモン(牛や鶏の餌に含まれる)を多量に日本人が摂取しはじめたせいではないかと私は推定している。

 

病気の真因の推定

 2004年、日本高血圧学会は、診療指針を改定し、65歳以上の高齢者については、血圧目標値を従来のグレーゾーンの「140~160」から「140未満」に引き下げた。ところが、この診療指針には「この目標値が妥当かどうか、現在のところエビデンス(証拠)がない」と書かれている。

 1968年には305,200人だった高血圧患者が、2015年には1010万800人に急増した(厚生省)。実に33倍の急増である。なにかおかしい。それだけ降圧剤を飲む患者が増えて、医師も薬品メーカーも大喜びである。日本の医療費総額は10兆円(1970年)から40兆円(2015年)に増えて、医学の進歩は著しいが、ガン患者は36,900人(1968年)から865,238人(2012年)と増え続けている。認知症患者は149万人(2002年)が345万人(2015年)と急増である。認知症患者数データに関しては、2002年より前の統計データがないが、それ以前はそんな話を聞いたことも話題にも上らなかったので、統計がないのであろう。

 血液には免疫酵素や、組織に栄養を運ぶ役目がある。体内の血管の総延長距離は10万キロにも及ぶ。高血圧とは、加齢や悪食で血管のしなやかさが失われたり、血管にプラーク(カス)が溜まり、血圧を高めないと、血液が全身に回らないので、自己防衛本能として起こる生理現象である。それを降圧剤の対処療法で下げるから、必要な血が全身に回らず、その結果として、ガン、認知症が起こるのではと、医者ではない素人の私は勘ぐっている。血圧を降圧剤で下げれば、確かに脳溢血等の血管が破れる事故は減るが、ガン、認知症、脳梗塞は増える。それはこの50年間のデータ(厚生省)が証明している。

 

病食同源

 1960年には日本の外食産業売上総額は、15兆円ほどであったが、2000年には33兆円ほどに高度成長をとげる。その成長と病気の増加が重なっている。血管のしなやかさが失われたり、血管にプラーク(カス)が溜まるのは、ファーストフードで代表される、悪い食生活が原因ではないのか? 医食同源であるから、病食同源であるはずである。齋藤料理長の親方の舌眼に敬意を表したい。

 

 とは口という門から入る食物を毒見する六根の一佛である。六根とは六織を生ずる六つの感官(眼・耳・鼻・舌・身・意)の称である(佛語)。そのお役目は体の防衛である。しかし化学調味料はその六根の門番さえも騙してしまう魔物である。

 

 カレーは、いつ何処で食べても美味しく食べられるので、味覚が麻痺させられる。カレーには香辛料が多く入っている。香辛料とは胡椒等の本来の味を誤魔化す調味料である。胡椒とは保存技術の無い中世ヨーロッパで、腐りかけた肉を少しでも美味しく食べるために、腐臭を誤魔化すために使った調味料である。腐った肉が体に良いわけが無い。その腐臭を誤魔化すための香辛料も体に良いわけが無い。

 胡椒が宝石のように高価なインドの特産品であったので、奴隷商人のコロンブスは、胡椒の新しい運搬航路を求めて新航路を探す旅に出て、新大陸を発見した。その後、アメリカ原住民のインディアン600万人が、アメリカ人(イギリス人)により虐殺された。カレーとは、そんな曰くつきの料理である。

 

 ホンだしも化学調味料であるので、同じ理由で不可である。齋藤さんがある土地でメチャウマのラーメンに出あった。その料理をするところを見ていたら、小さじ一杯の白い粉を汁に入れていた。白い粉は、味の素に相当する化学調味料の何かであったようだ。

 

我慢とは煩悩である

 我慢とは七慢の一つである(佛語)。七慢とは、過慢、慢過慢、我慢、増上慢、下劣慢、邪慢を言う。慢とは「忄」(心)+「曼」〔音〕で、「心が伸びたるんで怠る」を意味する。「我慢」の意味は、①我をよりどころとして心が高慢であること、②我を張ること、③じっと耐え忍ぶこと、である。当初の意味の「自分自身に固執する」ところの①の意味から②に転じ、さらに③の意味となった。

 七慢は人が持つ煩悩である。その煩悩を断ち切るのが不動明王の持つ宝剣である。佛法、佛像を作り出した古代の賢者は、人の持つ慢心を知っていた。慢心を持つ人の本質は、2千年前から少しも変わっていない。それが、今でも不動明王が現役で活躍する所以である。口から入る悪魔に注意を向けたい。その悪魔は、めちゃめちゃ魅力的で美味しいのである。美味しいものには毒がある。

 

図はロワジールホテル大垣の料理長・齋藤秀己さん  2015年1月18日

 齋藤さんの作る料理は本物の味で、美味しい。

 

2017-09-15

久志能幾研究所 小田泰仙  HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite

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