天皇皇后両陛下の行幸啓
2012年12月5日、天皇皇后両陛下が21年ぶりに大垣に行幸啓された。当初、岐阜国体の後の訪問予定が台風19号の影響で中止になり、京都で明治天皇の100年の祭事をされた後の帰京途中でのご訪問である。沿道には大勢の市民が出迎えて、何処にそんなに人がいたのかの大騒動であった。大垣市の人口は16万人余、静かな中核都市で、昼間は街中をそんなに人は歩いていない。ところが、市民28,000人のお出迎えと物々しい警備の警察官1,000人の出現である。両陛下はスイトピアセンターの学習館で昼食をされて、以前に叙勲をされた方などとお会いになり、その足で「奥の細道結びの地記念館」へ向かわれ見学された。皇后陛下が「奥の細道」の史料に興味を示され、そのための訪問であった。記念館では塩村耕教授が大垣と松尾芭蕉の関わりなどを説明し、皇后陛下は奥の細道の写本に興味を示され、季語に日本の良さが表れる俳句の魅力のお言葉を述べられた。
写真撮影のご縁
私は天皇皇后両陛下のお顔を直接、拝顔する機会は、還暦を迎えるまでなかったので、カメラを携えて沿道に並んで、旗を持ちお迎えをした。10時より15時までの5時間を要したが、寒風の下、二度、3mの至近距離でお顔を拝顔できたのは、幸運であった。特に皇后陛下の気品には、圧倒された。まるで観音様の趣である。日本国の父と母であると改めて実感した。早々にA3サイズにプリントして額に入れて自宅玄関に飾った。
お出迎えとお見送りの二箇所で、約百枚の写真を撮影した。警備の警察官の説明では、お迎えの人達の前は低速で走るとのことであったが、実際は結構早い速度であり、デジカメTZ30では、1回しかベスト撮影ができなかった。急遽、家にとって帰り連写毎秒8コマの一眼レフEOS 7Dを持ってきた。しかしお見送りの撮影時では、場所的に逆光で、構図的にもピント的にもよい写真が取れなくて、結局、最初の1枚がベストショットの写真となった。その一枚も、自分がシャッターを押したのではなく、仏様が勝手にシャッターを押したとしか思えない出来栄えであった。ご縁を感じて、購入したばかりのレーザカラープリンタで、A3サイズにプリントしてご縁のあった多くの皆さんに配布した(約30枚)。
2016年(平成28年)8月8日に、退位のお気持ちを表明され、結果として現天皇陛下として、大垣の地で、まじかにお顔を拝顔できたのは、今にして良きご縁であった。もうこういう機会はあるまい。定年延長せず、大垣に帰郷したことの結論が正しかったとの仏さまの啓示として受け止めた。(2017年現在)
写真の意味
・両陛下が車窓の中に入っている。撮影時が0.05秒でもずれていたら、車のセンターピラーが邪魔してどちらかの陛下のお顔が隠れてしまう。
・両陛下が程よい明るさである。柔らかい光の中に浮かんでおられる。
・右下の旗も意図せずに写っていて、日の丸も欠けていない。
・皇宮警察の白バイもベストの位置である。御料車とラップしていない。
・車の位置もベストである。(車の全景だと御料車の写真となる)
・菊の御紋章の旗もベストである。
・背景に3本の楠木(大垣市の象徴の木である)の配置もベスト。
撮影地のご縁
撮影する時は、無我夢中で周りのことまで気が回らなかったのが現実である。本来、スイトピアセンター学習館の前の歩道から両陛下が降車される所を撮影したかったが、2時間前には人垣ができており、やむなく学習館西側の道路に移動をした。それが結果として幸いした。当初の場所は、逆光になりうまく撮影できないのだ。移動した場所は順光となり、幸いであった。また場所的にも8階建の学習館の日陰となり、ライティングとしても柔らかな配光で、両陛下のお顔がうっすらと浮かび上がる厳かな雰囲気となった。毎日の散歩と学習館隣接の図書館学習室へ毎日通っているお陰で、撮影地点の地理が頭に入っていた。
後日談
写真の出来が良かったせいか、この御真影を「奥の細道むすびの地記念館」に提供して掲示してはとの意見があり、早々に記念館の窓口に行き、写真を提供した。後日、自宅に責任者からお礼の言葉と共に展示スペースの関係で展示できない旨の断りの電話があった。展示スペースの言い訳は、明らかな方便であることが分かった。記念館の壁一面に今回の行幸啓のお写真が、36枚展示されていた。スペースの問題ではない。今回のイベントでは、市の職員かプロの写真家が天皇皇后両陛下の写真を撮るお役目が決まっていた。そこに素人が撮った写真が提供されては困るのである。いくら良い写真でも。市の撮影担当者と展示写真の選択をした担当者も、立場がなくなるのであろう。面子を重んじ柔軟性に欠けるお役所仕事ぶりが、大垣駅の駅前通りのシャッター通り化防止の取り組み等の遅々とした現状や、行政指導で行うべき日本経済活性化のネックになっていると感じた。
図1 お出迎え時の注意を説明する警官
説明の警官が、沿道に10m間隔で配置されて、10分間ほどの頻度で、下記の注意事項を繰り返し説明する。
- 御料車通過時は、前に出ない・押さない
- 御料車を追いかけて一緒に走らない、
- 旗の振り方は上品に小ぶりに
- (横の人に迷惑にならないように)、
- Z車が通過するまでその場を動かない(怪我防止)
図2 ご到着5分前通報車
図3 ご到着3分前通報車
図4 ご到着1分前通報
図5 先導の皇宮警察白バイと先導車
図6 御料車 スイトピアセンター・学習館の西側にて
図7 次ショットでは後姿しか撮れない
図8 報道関係者バス1号
図9 報道関係者バス2号
図10 随走車
図11 Z車が通過
2017-08-26
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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