増長天の教え
静の広目天に対して、増長天は動の佛として造られている。増長天は、四天王の一体で、南方を護る守護神として造像される場合が多い。仏堂ではご本尊に向かって左手前に安置するのが原則である。その姿には様々な表現があり、日本では一般に、革製の甲冑を身に着けた唐代の武将風の姿で表される。
佛の世界も、この世の中が全て善人であるとは定めていない。襲ってくる邪悪の存在も認め、それからご本尊の佛を守る四天王が考えられた。非武装中立などこの世にはありえない。あの世では存在するかもしれないが、此岸では自分の身は自分で守らねば、生きていけない。「自分の城は自分で守れ(石田退三)」。一番恐ろしい敵は、己の怠慢心、傲慢心である。己を滅ぼすのは己である。
170年ぶりの中門の再興というご縁、高野山開山1200年という節目、佛師の技が最高に上り詰めたときに四天王造佛を依頼されたというご縁、年齢的なご縁(10年早くても、遅くても縁が結ばない)、全ての条件が整って松本明慶先生が造佛できるご縁となった。私もその縁の一端に接するご縁を頂いたことに感謝している。この世は全て縁起で回っていることを確認した四天王にまつわるご縁である。
2015年10月8日、三度目の撮影でベストの写真ができた。何事も三度くらいの試行は必要である。
2017-08-05
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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仏像の著作権は松本明慶師にあります。
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