ご先祖様人質作戦
津軽藩は、ご先祖を人質にして統治するというユニークな戦略でこの地を治めた。なかなかに知恵者の所業である。こういう例は他では皆無である。世界でも例がない所業である。
津軽藩は藩内の曹洞宗の33ものお寺を、弘前城下町の一カ所に集めた。それが新寺町寺院街(図1、図2-詳細)である。全国でも、これだけの曹洞宗のお寺が集まった地区はない。この目的は、藩内の家臣の菩提寺を弘前市内に集めて、そのご先祖様が入ったお墓を人質にして、謀反を防ぐことにあった。当時、信仰が厚く、ご先祖を大事にすることが当たり前であったことが前提の戦術である。今の時代や他の国では、成立しない戦術である。それがどれほど不幸かをわからないほど、現代人は不幸の鬼に取りつかれている。ご先祖あっての自分である。
昔と比べて、現代の我々は本当に人間としての進化を遂げたのだろうかと考えてしまう。昔のようにご先祖を敬うのではなく、拝金主義者となって、グローバル経済という美しい名の御旗の元、人の不幸を顧みず、自分だけの幸せを願い、利己主義の鬼のような考えで、財の総取りを目指し動いている。その結果が移民問題、貧富の差の拡大、テロの横行、政治経済社会の腐敗である。
2017-07-27
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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