時間創出1001の磨墨智 647(風が吹くまで昼寝)
647.風が吹くまで昼寝をしよう
「風車 風が吹くまで 昼寝かな」 (広田弘毅)
不遇の時には、あがいても無駄なエネルギーを使うだけ。風が吹かない時は自分を充電する時間にしよう。風が吹いた時、充電したエネルギーが時間を圧倒する。首相を務める能力のある広田弘毅が左遷で、閑職のオランダ公使に飛ばされた。彼は、1926年(大正15年)11月から1930年(昭和5年)9月までオランダに滞在した。その時期は辛かったはずだ。彼はそのオランダ公使赴任中の雌伏期間に、本を読みまくっていた。その後、大風が吹き、外務大臣(第49・50・51・55代)、内閣総理大臣(第32代)、貴族院議員などを歴任した。第二次世界大戦後の極東軍事裁判で文官としては唯一のA級戦犯として有罪判決を受け死刑となった。その生涯は城山三郎著『落日燃ゆ』に詳しい。
長い休止符
舟越圭「長い休止符」は、バイオリン(仕事)を奪われた演奏家が、弾きたくても楽器がなく、呆然と手を動かす様を表している。長い自身の影の横に、奪われたバイオリンが、影として地面をさ迷っている。この作品をメナード美術館(小牧市)で見て衝撃を受けた。ある時期、私も閑職に飛ばされて仕事のない悲哀を体験させられた。鬱症状もでて自殺も考えたこともある。でも意思を持って病気を治し、復帰をした。それで今の自分がある。負けていたら今はない。(著作権の関係で「長い休止符」の写真が掲載できないので、「舟越桂 長い休止符」で画像を検索して見てください。)
その経験があるから仕事をする意味が理解できる。社員として保証されても、お金があっても、仕事がない状態は地獄である。人は失ってみて始めてその価値に気づくもの。仕事のない死んだ時間を、次のチャンスのための準備時間にしょう。それは神様が与えてくれた黄金の時間である。勉強し放題である。不遇の時期、自己充実を図っていると、組織の方からにじり寄ってくる。
図1 オランダの風車の横で 1997年
当時、上司の不興を買って、花形の主力製品の開発業務から日の当たらない部署であるお国のプロジェクトの仕事に飛ばされた。そのプロジェクトの成果発表会を英仏蘭独の大学、研究所へ海外出張して行った。写真はオランダの国立研究所で発表をした後、市内観光で立ち寄った風車の館。本来、部長が出張するはずであったが、部長がドクターストップで海外出張できず、その代理としてお鉢が私に回ってきた。神様からのご褒美のような美味しい海外出張であった。栄光も地獄も長くは続かない。その仕事も2年後には終わり、私は超多忙の部署の異動となった。風が吹かない時期はせいぜい2年間である。長い人生中では一瞬である。
2017-07-24
久志能幾研究所 小田泰仙 HP: https://yukioodaii.wixsite.com/mysite
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